人間性の心理学-モチベーションとパーソナリティ-

人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ

米国の心理学者マズローの集大成的な作品。「現代の聖書」とも言われるだけあって、多くの人の心に訴えかける内容です。

この本では、健全な人たちの特徴から、人生を楽しく幸せに暮らすためのヒントを探しています。

そこには、「人間は、不完全で未熟な存在であるけれど、肉体的にも精神的にも健康で幸せなることができる。」という希望があります。

電子政府でも同じようなことが言えます。

電子政府は歴史も浅く、不完全で未熟な存在です。関連するサービスや施策も、失敗すること、思ったほどのパフォーマンスを上げられないことの方が、圧倒的に多いのです。

しかし、そうした中でも、そこそこのパフォーマンスを上げ、頑張っているサービスや施策が存在します。そうした「健全な電子政府」を見つめることで、電子政府をより豊かにするためのヒントも見えてくるのです。

いわゆる「ベストプラクティス」という手法ですが、その際には「内観」を重視します。つまり、外的な要因よりも内部、とりわけ「健全な電子政府」に関与した人たちを見るのです。

関与した人は、組織トップクラスの人もいれば、部長、課長、係長、新人職員など様々です。その中で、特にキーとなっている人物の考え方や人への接し方、行動パターンを見ていくと、「健全な電子政府」に必要な人材がわかってきます。

マズローの考えでは、成長の過程で欲求を満たしてあげることが大切なようです。

例えば、愛情が欲しい子供がいれば、与え過ぎに注意しつつも、惜しみなく愛情を与え満たしてあげると。

そうして育った子供は、悪いことや苦しいことへの耐性が強くなる。

物事をプラスに捉え、他人の痛みを受け止めつつ、他人の喜びには素直に共感できる。

人を見る目に長けていると言われる投資家のウォーレン・バフェット氏は、人を雇う時に「素直であること」を最も重視するそうです。

他の能力が優れていても、素直さが欠けると、自分を苦しめるためにその能力が使われる恐れがあるからです。

電子政府を考える時も、「役所は無能だ」「ベンダーは儲けばかりだ」「国民は無関心だ」といった考えばかりが先行すると、「健全な電子政府」は生まれません。

そもそも、全ての人や組織は不完全で未熟なのだから、彼らの優れた面をいかに引き出すか、いかに素直で誠実な人材を見つけ出すかを考えるのが得策でしょう。

うーん、ドアーズのジム・モリソンなら、いかにして彼らのハートに火をつけるのか