勇者たちの戦場

イラク戦争における兵士たちの葛藤を描いたドラマ『勇者たちの戦場』を観ました。戦争の傷跡は、見た目よりずっと深いことが、よくわかります。

国内外の報道や識者の見解によると、ブッシュ政権の支持率にも表れている通り、イラク侵攻が失敗だったことは、米国でも決定的となっているようだ。

本作品では、帰国後の兵士に焦点を当てているので、イラクにおける米軍の活動内容が見えてこない。

と思っていたら、ちょうど良いタイミングで、BS世界のドキュメンタリーで「シリーズ ブッシュの戦争」が放映されていた。

米国の軍事力を持ってすれば、イラクのような小国に侵攻することは容易いだろう。しかし、治安維持・復興となると全く話は違うわけで、米国が泥沼にはまっていく様子が良く描かれている。

本ドキュメンタリーを見ると、組織の限界というか、米国そしてホワイトハウスの弱点が見えてくる。

アメリカの大統領は、日本の首相はもちろん、フランス大統領などと比較しても権限が強いが、それゆえにリーダーとしての資質に左右されることになる。大統領への依存度が高いのだ。

イラク侵攻におけるブッシュ政権は、戦略性に欠け、極めて情緒的な理由や根拠で重要な場面における判断が下されていく。まるで、第二次世界大戦における日本軍や昨今の失敗企業を見ているかのようだ。

「リーダーの器以上に、組織は大きくならない」というが、改めて(状況に応じた)リーダーシップの重要性を認識できた。

ところで、本ドキュメンタリーを製作したのがボストンの公共放送というのには驚いた。伝統ある都市の公共放送とは言え、一地方の放送局がこれだけのドキュメンタリーを製作してしまうことに、米国の底力を感じる。

「脆さと力強さ」「愚かさと賢さ」を併せ持つ、その二面性がアメリカの魅力かもしれないなあ