奥村先生との意見交換:電子政府の深い話

先日、東京大学公共政策大学院の奥村裕一先生と意見交換させて頂く機会がありました。

奥村先生とは、以前、情報処理推進機構(IPA)のアドバイザリボード委員(業務・システム最適化計画の策定・管理手法)でご一緒させて頂いたのですが、今回は作者のブログ『日本の電子政府が良くならない本当の理由』をご覧頂いたことがきっかけでした。

行政学・公共政策学といった学問分野においては、「電子政府」は、まだまだマイナーで、マニアックな存在。

それらは、「電子政府」に対する誤解から生まれる部分も多いのですが、いずれにせよ「電子政府」の深い部分について意見交換できる機会は、非常に少ないというのが現状です。

奥村先生とのお話では、情報部門におけるマネジメント視点の欠如、公務員のヒエラレルキー(階級構造)とインセンティブ、徹底した顧客視点からの行動を通じた公務員の意識改革など、普段の「電子政府」議論では中々出てこない内容が多く、大変勉強になりました。

「公務員の動機付け(行動心理学といっても良い)」については、作者も関心の深い分野で、電子政府評価委員会においても「職員の満足度調査」の必要性を提案し、報告書の中にも含めてもらいました。

電子政府のサービスを民間企業等へアウトソーシングした場合でも、公務員の役割の重要性は逆に高まると、作者は理解しています。

電子政府が良くなるためには、公務員・行政の役割について見直し・再確認が必要であり、その上で公務員のやる気を引き出すことが大切なのです。

もう一つ、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ、いわゆる「業務・システムの最適化」で採用されている考え方・手法)のお話を聞いていて感じたのが、これからの「情報システム構造」のあり方です。

作者の中では、おおよその答えは出ているのですが、その基礎となるのが「身体の構造」「組織の構造」そして「情報システムの構造」には、共通する点が多いということです。

歴史の古さや完成度から言えば、「身体の構造」が抜きん出ており、近年になって「バイオメカトロニクス」といった研究に発展しています。

次に歴史があるのが「組織の構造」であり、水準以上のパフォーマンスを維持しつつ、環境の変化にも対応できるという組織が明らかにされつつあります。

「情報システムの構造」は、最も歴史が浅く、まだまだ未発達・未成熟の分野です。

優れたパフォーマンスを生み出す「身体」「組織」「情報システム」となるためには、

1 全体像の俯瞰(現状認識)
2 使命と成果(あるべき姿)の確認
3 分化
4 統合

といったプロセスが必要となります。

「分化」「統合」と言っても、「バラバラにしたものを組み立てなおす」ということではありません。「バラバラにし、個々が自律・自立したまま、結びつける」ということです。

この「結びつける」も、「固く」ではなく「ゆるやかに」行います。

この「ゆるやかな結びつき」こそが、1+1=2ではなく、それ以上の効果を生み出してくれます。「ゆるやかさ」ゆえの「伸びシロ」があるからです。

このような考え方を持っていると、電子政府における「業務・システムの最適化」といった「複雑そうな問題」も、わりと見極めやすくなるでしょう。

ということで、電子政府の深い(マニアックな)話でした