ブラックブック

ポール・ヴァーホーヴェン監督の『ブラックブック』を観ました。第二次世界大戦時のオランダで、ナチスに翻弄されるユダヤ人女性を描いたサスペンスドラマ。実に映画らしい大作でした。

本作は、ポール・ヴァーホーヴェン監督がハリウッドに背を向けて、故郷のオランダで撮った集大成的な作品と思う。

「ロボコップ」や「スターシップ・トゥルーパーズ」など、残酷な描写で知られるヴァーホーヴェン監督ですが、自らが戦争体験者で、街中に死体が転がる様子を子供ながらに観察していたそうだ。

その影響もあって、作品でも、キレイ事では済まされない戦争や犯罪の現実を訴えるために、暴力シーンや残酷な描写にこだわっていると。

それらが後付の理由(残酷描写への言い訳)でなかったことが、本作を観て理解できた気がする。

戦争の責任を個人に追求することは困難であるが、各自が犯した罪については、刑罰が課せられずとも、その罰を生涯をかけて向き合い償っていかなければいけないのだなあ