2026年、イラン革命再び? 政権崩壊リスク急上昇と日本への現実的影響

イラン各地で起きている反体制デモが、日本でもニュースになっています。1月11日現在、抗議は2週間以上続き、全国31省すべてに広がり、数百万人が街頭に出ています。死者65人以上・逮捕者2,300人超の報告があり、インターネット・電話遮断は8日頃から全国的に開始され、「1%レベルの接続」と確認されています。近年では過去最大規模の抗議デモですが、イランを含めて中東周辺の問題は複雑なので、今後の展開を予測することは難しいのが現状です。


ジェアディスで実施したインテリジェンス・防諜に関する勉強会でも、中東の宗教ネットワークと情報連携を紹介しましたが、西側の国家中心モデルとは異なる地域・文化的な特徴があり、横断的連結性が強い傾向があります。

イランの情報機関は、MOIS(イラン情報省)とIRGC(革命防衛隊)の2機関が有名ですが、国家警察のサイバー犯罪部門や司法制度の内務部門など他の12の機関も情報機関の一部として機能する、宗教指導者をトップとした「宗教体制下の情報戦略」が特徴です。特にイラン革命防衛隊(IRGC)は公然の任務と秘密裏の活動の両方において、より強力な治安機関として活動しています。

中東の情報戦略は、イスラム教の宗派と同様にシーア派とスンニ派に分類することができますが、同じスンニ派内でも対立と連携が複合的に共存しているので、その境界は曖昧になっています。2020年のアブラハム合意(イスラエル-UAE/バーレーン等の外交正常化)後、防衛・情報分野の秘密協力が深化し、イラン脅威共有を軸に、サイバー諜報・共同訓練を実施していますが軍事同盟ではありません。

シーア派:イラン(イラン革命防衛隊)を中心に、レバノン(ヒズボラ)、イラク民兵、イエメン・フーシ派で情報・軍事の高度に調整された準統合作戦を実施
スンニ派:湾岸諸国(サウジ、UAE、カタール)が宗教機関や慈善団体を使い、ソフト勢力+情報収集を展開


イランでは2025年後半から2026年初頭にかけて、経済崩壊(通貨暴落、インフレ高騰、低油価)、大規模抗議デモ、治安部隊の忠誠心の揺らぎが深刻化しており、今回のニュースもその流れを受けています。2026年1月11日現在、Polymarketの予測市場では「イラン政権は2027年までに崩壊するだろうか?」が48%まで急上昇しており、政権崩壊の可能性は30-50%程度の推定(市場予測)が多いようです。

政権崩壊のシナリオでは、内部崩壊、革命防衛隊(IRGC)のクーデター、外部軍事介入による変化などがあり、可能性は高くないものの「王政復古(パーレビ王朝)による立憲君主制への移行」という期待もあります。

一方で、体制は複雑な権力構造(宗教指導者、軍、治安機関の絡み合い)により耐久性が高く、これまでも大規模な抗議を乗り切ってきた経緯があります。崩壊には軍の分裂や指導者(ハメネイ氏)の逃亡といった「引き金」が必要になりますが、そうした「危険ゾーン」に至る前に、軍事独裁やさらなる硬直化を招く可能性があり、こちらの方が崩壊より現実的と言えるでしょう。

また、イランの政権崩壊は中国の石油依存(エネルギー・制裁回避)とロシアの軍事同盟(軍事・ドローン・反西側連携)が打撃を受けるため、両国がイランの地政学的価値を認識し、崩壊を防ぐため支援を強化するシナリオが現実的です。


日本政府やメディアの姿勢は、基本的に「中東全体の安定・沈静化」を強く望むもので、イラン政権の急激な崩壊や軍事エスカレーション(米介入など)を最も避けたい立場にあります。最も大きい要因はエネルギー安全保障の観点で、供給中断の恐れがあるホルムズ海峡の不安定化を避けるため、日本政府は一貫して「事態の沈静化」「最大限の自制」を求め、政権交代による混乱より、現状の安定維持を優先する傾向が強いです。

日本とイランは歴史的に「親日」関係が続き、制裁下でも一定の経済・文化交流を維持してきました。日本は米国と同盟関係にありますが、対イランでは米中露とのバランスを考慮した外交的・地政学的な慎重さを優先しており、過度に政権批判や崩壊シナリオを煽る報道を控えめにし、事実ベースの最小限の報道に留まる傾向がありますが、これらは現実的な対応と言えるでしょう。