富山県の電子自治体:電子申請の使いやすさはトップレベル

富山県には、電子自治体の共同運営について、これといった組織はないものの、市町村と共同で電子申請サービス「eとやま.net」を提供しています。これが、実に使いやすく、都道府県ではトップレベルの出来栄えと言えます。

優れた電子申請サービスを作ることは、とても大変なことで、様々なノウハウや技術が必要となります。

しかし、ある電子申請が優れたサービスであるかは、誰でも判断できます。そう、自分で使ってみれば良いのです。その際に、難しい評価指標など考える必要はありません。インターネット利用者としての知識と経験が、適切な評価を導いてくれるからです。

「eとやま.net」の良さも、使ってみればわかりますが、優れいている点をいくつか挙げておきましょう。

1 電子申請が孤立していない

電子申請は、単体で存在するサービスではありません。様々な行政情報やサービスから派生し、相互に関係・補助し合うものなのです。

「eとやま.net」は、「県と市町村の電子申請・行政情報窓口」と位置づけられており、各市町村のホームページ、イベント情報などと連携しています。

電子申請サービスは、地域ポータルや市民行政サービスポータル等はもちろん、各サービス窓口や担当部局とも連携する必要があります。

2 欲しい手続がみつけやすい

手続の検索は、様々な機能を備える必要はありません。むしろ、シンプルで直感的に使える方式が好ましいのです。

「eとやま.net」の電子申請では、「よく使われる手続き」のベスト10が表示されています。市町村の手続は、ベスト5ぐらいで、全体の8割をカバーすると言われますので、月ごとのベスト10(市民向け、事業者向け)を表示していれば、9割の市民がワンクリックで目的の手続にたどり着くことができるでしょう。

3 利用者の声を聴く仕組みがある

各手続のページには、簡単なアンケート(評価)機能が付いている。利用者が気軽に評価できる仕組みは、電子申請サービスに必須の機能と言えます。

改善すべき点も多い

都道府県の電子申請サービスとしてはトップレベルですが、民間サービスと比較すると、まだまだ標準以下と言うのが現実です。

例えば、お知らせ情報(特に市町村)の更新が少ないのは寂しい。これは、各市町村のホームページが更新されると、自動的に「eとやま.net」のお知らせ情報に、サマリーとタイトルが掲載されるような仕組みにすれば良いでしょう。

手続のジャンル分けも、もう少し利用者視点で整理しなおすと、ずっと良くなるでしょう。

例えば、「子育て」というジャンルを作り、クリックすると、必要な手続はもちろん、市町村役場や保健所・保育所といった窓口の情報、富山県の分野別案内「子育て」や「子育てネッ!とやま」といった関連サイトへのリンクも表示されるといった具合です。

手続の分類も、子供の年齢別(0~1才、1~3才、3~5才、小学校、中学校など)に表示されると、ずっとわかりやすくなります。

ある手続を選択すると、それに関連する手続も一緒に表示されたり、利用者に簡単な質問をいくつか行い、必要な手続を絞り込んであげるといった機能も有効でしょう。

キーワード検索も、お役所言葉だけでなく、各手続に関連するキーワードを組み込んでおき、市民が日常的に使う言葉で検索できるようにしましょう。ちなみに、「育児」のキーワードで検索したところ、検索結果は0件でした。これでは、いけませんね。

ともあれ、富山県の電子申請サービスは、良いところがたくさんありますので、実際に使ってみて、そのノウハウを学びましょう

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