つぶやき電子政府情報(2014年8月26日):マイナンバーの過剰保護が生み出す高コスト化と国民負担

番号制度導入のためのコスト負担は誰がするのか
何かと議論を呼ぶヤフーの別所直哉氏による提言。
 
番号制度導入のコスト負担の多くを企業や住民が自費で負担するのはその通りで、本来であれば、企業や住民に対して、それ以上のメリットや負担軽減を提示しなければいけないですよね。
 
マイナンバー制度がコスト高になる理由の一つとして、「マイナンバーの過剰保護」があります。
 
エストニアのように、国民ID番号が名前と同じぐらいオープン(パブリック情報)になっていれば、「マイナンバーが漏洩したら大変だ、高度なセキュリティで守らなければ」といった必要がなくなります。日本のように、マイナンバーが漏洩するたびに、マイナンバーを変更していたら、システム管理のコストも増えるばかりです。
 
重要なのは、「マイナンバーが他人に知られても、そのマイナンバーを悪用できないようにすること」なのですが、残念なことに現在のマイナンバー制度では、「マイナンバーが漏洩すると、他の個人情報と比較して、成りすましや不正マッチングなど悪用される可能性が高く、その被害も大きい」といった前提に立っています。
 
企業や住民の負担軽減やメリットについては、バックオフィス連携により、多くの先進国で実現されて国民が利便性を実感している「記入済み税申告」や「電子処方箋」を実現すれば良いのですが、日本では、どちらもマイナンバー制度導入に合わせて実現する予定はありません。電子処方箋は、ようやく実現しそうな気配が少しありますが、条件が厳しすぎるので早期実現は無理でしょう。
 
これでは、「いったい誰のための、何のためのマイナンバー制度なのか」と言われそうです。
 

 
マイナンバーと民間サービスとの連携を目指して(PDF)
2014年8月26日 経済産業省CIO補佐官 満塩尚史
マイナンバー制度の概要、利用拡大の検討、個人番号カード、マイポータルとマイガバメント、法人番号などを解説。ID連携トラストフレームワークの仕組みも丁寧に解説されているのですが、なかなか一般には理解が難しいですね。
関連>>ID連携トラストフレームワーク(METI 経済産業省)
 
マイナンバーにどう対応?札幌市の命運をかけた130億円の基幹系オープン化プロジェクト
機種指定をしないハードウェアの競争入札を、またソフトウェアについても保守を含めて、原則競争入札にすることに。管理主体についても、従来のベンダ依存体質から、自分たちが業務を発注し、主体性も確保していくことを目指したと。クラウド移行が進むからこそ、発注者側の主体性と継続したレベルアップが求められますね。
 
ICT街づくり推進会議 共通ID利活用サブワーキンググループ(第7回会合)
平成26年8月6日
新体制の確認、前回SWG以降の状況、今後の進め方について(実証実験、予算要求等)など。マイナンバー制度の導入準備が進む中で、個人番号カードと公的個人認証(利用者証明)の官民利活用に向けた実証実験も進みますね。新しい構成員として、特定個人情報保護委員の手塚先生が参加されています。「個人番号を活用した今後の行政サービスのあり方に関する研究会」が発足されるようです。
 
 
行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会(第2回)
平成26年8月21日
関係団体等(日本経済団体連合会、新経済連盟、総務省政策統括官統計基準担当)からのヒアリングを実施。公共データの産業利用に関する調査結果(経団連)、公的統計データの二次的利用(総務省)、検討の論点など。
 
マイナンバーはどこまで使えるのか、医療情報は特別扱いにすべき?
レセプト(医療報酬明細書)のデータには、マイナンバーを付与できる。健康保険証と一緒にマイナンバーを提出してもらって、保健給付の事務に利用することは可能。一方で、地域医療連携や医療介護連携、研究の目的でマイナンバーを利用するには、法改正が必要。ただし、条例で定めれば、自治体が主導する地域医療連携などで、カルテにマイナンバーを振ることもできると。
この問題に日本医師会や歯科医師会が参加すると議論が進まないので、医療関係者は団体代表者ではなく個人として参加するようにして欲しい。。
 
「ファンで魔が差した」女性主査、男性タレントの個人情報盗み見
専用端末でタレントの名前と生年月日を入力して情報を閲覧。約2時間後、全国の住基ネットシステムを管理するセンターからタレントに関する情報検索があったとの通報があったため発覚したとあり、盗み見したのは「市民課の職員」なので、きちんと管理されていたと考えて良いでしょう。懲戒処分としては一番低い「戒告」となっていますが、マイナンバー制度が始まり、市民のプライバシー意識が高まる中で、今後は更なる厳罰化(減給、停職など)も進みそうです。
 
ANA公式ホームページにおける「Webパスワード」の導入について
Webパスワードとして、任意の英文字(大小)と数字で構成する8桁以上16桁以下のパスワードを導入予定。2014年9月4日(木)午前 5:00(日本時間)より。
関連>>やっと強化されたANAのユーザー認証
あなたはパスワードをいくつ覚えていますか
 
日本人のあなたが外国人として逮捕される日。
見た目が外国人っぽいと、滞在資格の証明書等(旅券、在留カード等)を携帯していないと判断される可能性がありますね。通常は身分証明書の提示を求められて、それを拒否しない限りは、記事にあるような間違いは起きないと思いますが、日本人の場合は公的な身分証明書を所持する法令上の義務が無いので、身分証明書を提示できないケースがあります。こうしたトラブルを防止するためには、個人番号カードの全員配布(取得の義務化)が有効でしょう。
 
経済団体に対して個人情報保護法等の遵守に関する周知徹底を要請しました
平成26年8月18日 経済産業省
経済産業大臣名により、日本経済団体連合会、新経済連盟、日本商工会議所、全国商工会連合会及び全国中小企業団体中央会の計5団体(団体所属の会員各社)に対して、
1.社内の安全管理措置
2.委託先及びその先に関与する事業者の監督
3.外部からの適正な個人情報の取得
を含めた個人情報保護法等の遵守について、現場担当者にとどまらず、社内全体、委託先事業者等に、周知徹底を図るよう要請したと。
 
EUのデータ保護指令第29条作業部会が、Google、Microsoft、Yahoo!と会合:“忘れられる権利”をめぐるEUの裁定に関して
個々のデータ削除要請について検索エンジン側が拒否し、各国の担当部局に申し立てがあった場合の対応等に関して、ガイドラインの作成を進めると。
関連>>EUも悩む、データ活用とプライバシーの両立
利活用とプライバシー保護を両立するに当たって、EUでは「どの(What)データを利活用するか」ではなく「データをどのように(How)使うか」が問われると。「EUデータ保護規則」による一本化は、日本の自治体における個人情報条例の一本化の参考になるかも。
 
第1回自治体普及作業部会
自治体におけるオープンデータの取組に関する考え方の整理等を行う部会。オープンデータの取組について、静岡県、福岡市、石巻市、藤沢市、須坂市から資料が出ています。静岡県からは「予想外の活用方法が出てきたからこそ、どんなデータでも公開することが大切」と。12月までに、「自治体オープンデータ推進ガイドライン」(仮称)を取りまとめる予定。
 
情報の管理の在り方に関する検討チーム(第2回) 平成26年7月18日
政府における情報管理ルールの現状、統一ルールの在り方について。配布資料として、秘密情報等を記録する行政文書の相互関係、秘密情報等を記録する行政文書の一覧表など。全体的に情報管理面で不備があるようですね。政府の委員会等でも、一般的に閲覧する機会があるのは「機密性2情報」まででしょうか。
 
 
北欧の巨人はよみがえる ノキアが狙う新領土 
事業再構築で狙っているのは、位置情報によるビッグデータのインフラ整備。米国のGEと同じような逞しさを感じますね。「東京五輪が開かれる20年には世界の無線通信需要は1人あたり1日1ギガバイトになる」との予想も興味深いです。
 
「先導的教育システム実証事業における実証地域の選定」に係る提案公募開始
平成26年8月11日 総務省
教育情報化の全国展開を念頭に、家庭・学校・民間教育事業者とのシームレスな学習環境を実現するため、クラウドシステムを中心とした最先端の情報通信技術を活用し、多種多様な情報端末に対応した低コストの教育ICTシステムの実証を行うと。
 
 
 
安心して利用できる電子メール環境への取り組みについて
~ なりすましメール防止安心マークを銀行へ導入開始。~
2014年8月11日 日本情報経済社会推進協会
真贋判定が可能な電子署名(S/MIME)によるセキュリティ対策に加えて、Webメール利用の際に有効な対策として「安心マーク」を提案。
 
病院がないほうが死亡率が下がる! 夕張市のドクターが説く、”医療崩壊”のススメ
日本人の死因の1位がガン。2位が心臓系。3位が肺炎。1、2、3、全部下がっちゃった。すごいですよね。何がポイントか。多分、僕が思うに予防の意識ですね。市民が予防のほうに意識を変える。病院があるから安心、ではなくて、しっかり自分で出来る事はやるんだぞと。「病は気から」と言いますが、医療費の抑制に心理学的なアプローチは有効ということでしょうか。
 
官僚も継続的トレーニングを続けよ!
国会審議から官僚と政治家を解放せよと。公務員制度改革で、公務員の役割を見直した方が良いですね。
 
個人データ、信託方式で管理 「情報銀行」構想も (藤元健太郎)
高度な人工知能型のエージェントモデルを導入して、個人がエージェント機関にパーソナルデータの管理運用を信託する方法が良いと。私も個人的には、そうなると考えています。自分に関するデータ(個人情報に限らない)の利用ポリシーを決めて(いくつかの質問に答えれば作成される)、そのポリシーに従って「人工知能型のエージェント」が管理してくれて、状況を報告してくれると。これを企業や政府がサービスとして提供するのか、あるいは機器やブラウザ等の基本機能として実装されるのかはわかりませんが。。
関連ブログ>>クラウド時代のマイポータルを考える、個人情報の自己責任管理型で広がる自分だけの電子政府
 
藤井市長を人質に籠城する検察
不可解な点の多い、藤井美濃加茂市長の収賄事件。国家権力たる警察・検察が、追い詰められていくのか、経過を見守りたいと思います。
 
日本にはIT産業は無くIT利用産業も無い
SIや受託ソフト開発が日本のITベンダーの主要事業であり、枯れ切った技術を使い、旧態依然たるIT業界の多重下請け構造の中で人月商売を続けている。“商品”の多くは、顧客の要求のままに作った、費用対効果のはっきりしない一品モノの間接業務支援システムであると。電子政府関係者にとっては、耳の痛い話です。。
 
「共同利用」から「第三者提供」に、CCCがT会員規約を大幅改訂へ
T会員は、第三者提供を差し止めるオプトアウト手続きを行うことで、情報の共有を停止できると。また、ヤフーとのID連携に関する特約について変更はないが、現時点では、ヤフーとの履歴情報の相互提供は始まってないと。
「サービス利用者に対して、個人情報利用の仕組みをわかりやすく伝えること」の重要性は高まるばかりですが、そのためには仕組み自体をシンプルに設計する必要がありますね。規約については、法令や業界ガイドラインへの対応と共に、利用者の意見を聞きながら試行錯誤していくしかないでしょう。
 
年金財政の破綻を回避する4つの選択肢
何もしなければ収支がやがてマイナスになりシステムが破綻するという状況の中、選択肢は支給額を減らすか、税を増やすしかなく、どちらの選択肢をとっても好意的に受け止められることはない。負担を分担する以外にない改革はだれにとっても耳の痛い話であると。現実的な正論ですね。
 
AV出演を強要される被害が続出~ 女子大生が続々食い物になっています。安易に勧誘にのらず早めに相談を
高校卒業までに、契約等に関する最低限の法律知識を、子供たちが身に付けられる仕組みが必要ですね。
 
人手不足で中小の倒産増…人件費の高騰、負担に
建設業界の好景気はちょっと官製バブルの面もありますが、適正水準の給与を支払える企業だけが生き残っていく状況は、長い目で見れば悪いことではないですね。介護や福祉といったサービス産業にも同じような競争が欲しいのですが。。
関連>>一般職業紹介状況(平成26年6月分)について
公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況。
 
平成25年度電子経済産業省構築事業(オープンデータの利用に係る民間、地方公共団体の連携基盤の開発・活用実証事業)事業報告書(PDF)
平成26年3月 一般財団法人日本情報経済社会推進協会
経済効果が大きいと思われる地理空間情報を中心として、行政が保有する公共データの公開を促し、民間の所有するデータと融合するための支援ツールを開発してサービス実証を行うとともに、有効な公共データ利活用ユースケースを抽出し、将来にわたる公共データ利用の拡大とサービス創出を可能にする環境の確立を目指すと全488ページとボリュームがすごい。。
ビジネス創出に寄与するモデルケースの実証、共通ツールの開発、カタログ化の実施、普及啓蒙活動、アクションプラン(案)の作成など。
 
リアルタイム・ワントゥワン・マーケティングとは
過去の購買記録だけでなく、現在の顧客の興味を把握して商品を薦め、購入確率を高める手法。電子政府でも活用が期待される手法です。