つぶやき電子政府情報(2014年6月15日):e-Taxとの決別が、新しい電子政府の始まり

財務省行政事業レビュー:国税電子申告・納税システム
http://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/review/2014/koukai/index.htm
評価結果は「事業全体の抜本的な改善」で、取りまとめコメントは、『次期の機器更新にあたっては、セキュリティの確保、システムの安定運用を前提としつつ、機器の集約化等を検討し、更なるコスト削減に努めること。また、マイナンバーの導入を機会として、マイポータルとの連携を踏まえ、個人認証の見直しを含め、利用者の利便性向上のための努力を引き続き行い、税務行政の効率化に努めること。』となっています。

日本の電子申告システムの開発・維持コストは異常な高さで、私の知る限り、他の先進国より10-30倍ぐらい高いです。ちなみに、オーストラリアの電子申告システムの構築費用が7億円ぐらい。日本国内を見ても、他の電子申請システムは、構築に2-15億円ぐらいで、運用経費が数千万円から数億円ほど。e-Taxのように毎年百億円規模の予算を計上し続けることはありません。

関連ブログ>>国の電子申請システムにおける費用ワースト3
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/0385dff3365f306846725c356bf53593
箱物行政よりヒドイ、使われない電子申請は今すぐ止めるべき
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/b00ce5169a74d4f8ea0f39456741636c

さらに、e-Taxの利用率には数字マジックがけっこうあって、自宅のパソコン等から電子申告している人は(公的個人認証の普及率を考えると)数パーセントかと。残りは、わざわざ税務署の窓口へ行って置いてあるパソコン使った人が大半。

これは成果指標や目標設定の失敗で、e-Taxに限らず「オンライン利用率50%」といった目標に対して、本来はオンライン利用じゃないものでも、これもあれもとオンライン利用があったことにしてしまい、もう無理やり「オンライン利用率50%」を達成させてしまうようなことが横行してしまったのです。これでは、真面目にオンライン利用者を増やしている電子政府サービスがバカみたいです。

この時点で、「ああ、これはもう評価しても仕方が無いな」「評価についても、各省庁が好き勝手しないように、政府CIO等が全体の品質管理をしないとダメだわ」と思うようになりました。

日本の電子政府がするべきは、政府CIO制度の下で、普通レベルの電子政府になれるよう、地道に努力を続けていくことです。今回の行政事業レビューが、バブル期の電子政府と決別し、普通レベルの電子政府へ進むきっかけになることを祈るばかりです。

関連>>激しい議論が行われた行政事業レビュー
http://www.huffingtonpost.jp/hajime-yamada/administrative-business-review_b_5490839.html
行政事業レビューに参加している東洋大学の山田肇先生が、今回のレビューについて投稿して下さいました。電子政府の透明性向上に期待です。

行政改革推進会議(第11回) 平成26年6月2日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gskaigi/dai11/gijisidai.html
平成26年行政事業レビュー、「秋のレビュー」等の指摘事項に対する各府省の対応状況、各府省の行政事業レビューにおける事業改善の取組など。

 

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則(仮称)案に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095140560&Mode=0
マイナンバー法施行令において主務省令(内閣府、総務省)に委任された事項を定めるもの。窓口・郵送・オンライン処理における本人確認の方法、通知カードを紛失した場合の対応、代理人がマイナンバーを提供する場合の確認書類、特定個人情報の安全を確保するために必要な措置など。

「通知カードに記載された氏名および出生年月日または住所」のことを「個人識別事項」と言っています。これは、特定の個人を識別するために「マイナンバー、氏名、生年月日」の3点セットが基本になる、ということでしょう。で、3点目の生年月日については、住所や預貯金口座番号等、他の事項でも代替可能となっています。出生時に正しく記録されることを前提とした場合、生年月日や出生地は過去の事実で将来に渡って不変なので、個人を識別するための有効な手がかりとなります。

締切は2014年6月20日と、こちらも募集期間が短い(スケジュールが逼迫しているためらしい)のでお早めに。今さら1-2週間遅れても、たいして変わらないと思うのですが。。あとは、厚生労働省ですね。

関連>>法人番号の指定等に関する省令案について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410260016&Mode=0
こちらは2014年7月6日まで受付。法人番号の構成、通知書の記載事項、変更があった事実の確認、公表の同意(人格の無い社団等)など。

番号法等の施行に伴う財務省関係政令の整備について
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う財務省関係政令の整備に関する政令
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2014/seirei/bangouhou.htm
さすがに財務省は早いですね。それにしても、正式なタイトルが長い。。要は、国税関係の申告書等に個人番号(マイナンバー)と法人番号の記入が必要になりますと。
税務署長等に提出する申告書等の記載事項に当該申告書等の提出者等の個人番号及び法人番号を追加し、利子、配当等の受領者の告知制度等について告知すべき事項に当該告知をする者の個人番号及び法人番号を追加する等の整備をする。

 

藤沢でも生活保護費を不正受給 女を再逮捕 静岡中央署
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140603-00000045-at_s-l22
三鷹市から生活保護費を受けていたのを隠し、藤沢市役所に生活困窮者を装って生活保護を申請し、6回にわたり生活保護費計約85万円をだまし取った疑いと。発覚したのは、携帯電話の通話履歴からも藤沢市役所とのやりとりがあったからだそうですが、各自治体が生活保護の情報をバラバラに保有・管理している状況を変えないと、マイナンバー制度を使ってもこうした不正受給を発見することは非常に困難です。

匿名化の崩壊
http://www.slideshare.net/hirsoshnakagawa3/netfix-after
個人情報保護法における「個人情報」の定義は、例示列挙で解釈の余地が大きいことを考えると、匿名化情報であっても特定の個人が識別された時点で「個人情報」となり、法律上の利用制限が課されると考えた方が良いでしょうね。
つまり、一つひとつの情報の個人識別性が低くても、それらが集積されていくと、ある時点で情報集合体全体として特定の個人を識別できるようになり、そうした情報集合体はもはや個人情報保護法における「個人情報」に他ならないということです。
ですから、個々の情報について、「その情報が個人情報であるか否か」に囚われてしまうと、「クッキーは個人情報じゃないから大丈夫」みたいな誤解が出てきます。より大切なのは、「情報集合体として、特定の個人を識別することができるか否か」ですから、「個人に関する情報」は全て法律上の「個人情報」の要素になり得る、と考えておくことが予防法務の観点からはオススメなのです。

米エバーノートCEOもうなる女子高生「ITのチカラ」
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO72546400Q4A610C1000000/
メディアで取り上げられることも多い品川女子学院ですが、私立ならではの思い切った試みができる強みがありますね。リービン氏が伝えた3つのメッセージと共に、漆校長の「起業マインドとは必ずしも会社を興すことを指すのではなく、社会に出たときに責任ある大人として周囲のために振る舞えるかの素養である」は名言です。

「人体こそが最大のビッグデータ」、ストレージ企業が語る医療ビッグデータへの期待
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140602/560999/
ゲノムやたんぱく質のような細胞・分子レベルの情報と、生活習慣情報を組み合わせることで何が分かってくるのかが、医療ビッグデータの重要なテーマになる。非構造化データ(X線診断装置や超音波診断装置で撮影された画像データなど)に向けて、診断装置のベンダーに依存しないアーカイブ(VNA:vendor neutral archive)を提供しており、あらゆる医用画像を分散させることなく一カ所で集中管理し、どこからでもアクセス可能と。

なぜ漁業補助金を撤廃できないのか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140605/266271/
補助金こそが乱獲を促し、水産業の発展を妨害していると。農林水産行政が日本の農林水産業をダメにしてきたのは有名ですが、漁業についてはお手本になる先進国があるので、いい加減に変わって欲しいです。

データ活用による“見える化”が大学病院を変えた
ITを駆使した医療サービス改善に取り組む岐阜大学病院
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20140609/357200/
日本の場合、広域の医療・介護連携、全国規模のデータ連携・二次利用は遅れていますが、個別の病院や狭い地域における医療の情報化は着実に進んでいますね。

ITを活用した、がん患者向け在宅医療プロジェクト「The itACiH Project」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140609/357231/
こちらは、がん患者が自宅で療養できるシステムを産学官の協力体制で構築したスウェーデンのプロジェクト。末期がん患者のみならず、透析予備軍の患者や未熟児の在宅医療にも応用が検討されていると。プロジェクトの共通プラットフォームは、欧州共同体のプロジェクトであるPalcomのミドルウエアフレームワーク上に構築しており、異機種間や異質のネットワーク上の情報を即座に統合・共有すると。
IT-sto”d fo”r Avancerad Cancerva*rd i Hemmet
http://itacih.cs.lth.se/
http://www.vinnova.se/sv/Resultat/Projekt/Effekta/IT-stod-for-avancerad-cancervard-i-hemmet/
日本企業ではソニー(モバイル通信)が参加しています。
Swedish Cancer Registry
http://www.socialstyrelsen.se/register/halsodataregister/cancerregistret/inenglish
スウェーデンには、1958年から全人口をカバーする「がん登録制度」があります。

4 Data Insights from Health Datapalooza
http://www.govtech.com/4-Data-Insights-from-Health-Datapalooza-Experts.html
オバマ政権により、米国の医療情報化は急速に進みました。政権発足当時はEHR(電子カルテ等)を導入する病院は1/8でしたが、現在は半数以上に増加。米国市民の1億5千万人以上が、自身の医療記録にアクセスすることができ、最近は検査結果にも直接アクセスできるようになっています。

第4回マイナンバー・税務執行ディスカッショングループ 議事録 平成26年4月8日
http://www.cao.go.jp/zei-cho/news/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/06/04/26dis24kai_3.pdf
マイナンバーを預金口座に拡大していくことは不可欠と考えます。一定の期間を目途に拡大へのロードマップを明らかにする必要があるのではないか。
所得把握が正確になれば、給付付き税額控除等の新たな税による再分配は可能になると思います。
多分国民にとって、マイナンバーができて非常にサービスが良くなったと思えるのは、恐らく地方自治体のところのワンストップサービスで、様々なところに行かなくても済むようになるというところは実感できるだろうと思いますと。
社会保障の給付やサービスには、所得・資産要件のあるものが多いですから、マイナンバーを利用した国民・住民一人ひとりの所得・資産の把握が進むのは避けられないでしょう。
関連>>論点整理(PDF)※会議後、修文を経て成案となったもの
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion2/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/04/21/26dis24kai6.pdf
マイナンバーを活用した、より適正・公平な課税を実現していくためには、法定調書の範囲の拡充を検討すべき。
現在、マイナンバー制度の導入に向け、各地方自治体で準備が進められているが、システムの効率的・安定的な整備・運用や自治体職員のICTリテラシーの向上といった課題もあり、政府による適切なサポートが望まれる。費用対効果、システムの安定運用の観点からは、クラウドの抜本的導入による共同化が不可欠との意見もあった。
地方自治体からすると、固定資産の捕捉は非常に大事であり、登記の段階で番号が付番され、それが自治体に送られてくれば非常に業務がやりやすい、との意見もあった。

公務員のワークスタイルの変革
http://www.e-gov.go.jp/doc/office/index.html
「世界最先端IT国家創造宣言」にある、「職員ワークスタイルにおける情報のデジタル化(ペーパーレス化)の推進と生産性向上」の取組み事例等を紹介。一元的な文書管理システム、電子決裁推進のためのアクションプラン、各府省における電子決裁の状況(平成24年度における「一元的な文書管理システム」の利用期間が3か月以上の機関について数値を計上)、会議のペーパーレス化等(総務省行政管理局の取組事例)など。総務省の電子決裁率90.6%に対して、IT総合戦略室のある内閣官房が0.9%というのは、さすがにまずいんじゃないのかな。。

被災地の創造的復興に「バイオバンク」構築で寄与したい
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140602/561002/
医療情報と遺伝情報を組み合わせた「バイオバンク」の構築で、個別化医療の実現を目指すと。長期間の追跡を前提とするコホート研究を進める上でも、医療ID等の患者識別子は有効ですね。

ネット炎上、こわくない
ネットって悪口書かれる場所だから、気にしません
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140529/265755/
だって、ネットって悪口書かれる場所でしょう? 特に2ちゃんなんて、悪口言うための場所じゃないですか。そういうものだ、と思ってますと。そりゃそうだ。ハムスター速報は、私の周囲でも比較的若い女性に人気かな。通勤時にスマホで閲覧してるらしい。
関連>>ハムスター速報
http://hamusoku.com/

社会に開かれ,信頼の輪に支えられる少年院・少年鑑別所を目指して
http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei03_00019.html
第186回通常国会において、少年院法・少年鑑別所法が成立。施策のポイントは、再非行防止に向けた取組の充実、適切な処遇の実施、社会に開かれた施設運営の推進の3つ。大人に対する刑務所のコストを考えると、幼少から少年期までの教育費用や学習環境整備に税金を使った方が効率的といった考えもありますね。

国土強靱化推進本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokudo_kyoujinka/
平成26年6月3日に国土強靱化基本計画の案を作成するとともに、「国土強靱化アクションプラン2014」を決定し、同日の閣議において「国土強靱化基本計画」が決定されました。

ヤフーとCCCのポリシー改正と、個人情報保護法改正の行方を展望する
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20140604/561462/
ヤフーとCCCには、2015年に予定される個人情報保護法改正を見据え、データ利活用とプライバシー保護を両立する優れたモデルを作ってほしい、と陰ながら期待していたと。
期待が大きかっただけに、失望もあったようですが、全体的には悪くない対応と思います。

リスクコミュニケーションのモデル形成事業
http://www.mext.go.jp/a_menu/suishin/1348356.htm
各分野の専門家がリスクに関わる際に、社会への説明責任を全うするため、専門家集団や組織としてリスクコミュニケーションを行う取組を支援し、モデル化する補助事業。東日本大震災の経験を踏まえた原子力エネルギー政策での適用を想定していると思いますが、マイナンバー制度でもリスクコミュニケーションは重要な役割を担います。
関連>>リスクコミュニケーションの推進方策
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/064/houkoku/1347292.htm

「平成25年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)が閣議決定
http://www.meti.go.jp/press/2014/06/20140606001/20140606001.html
事業環境が変化する中での「稼ぐ力」向上、成長戦略を支えるものづくり人材を育成するための取組など。

Iowa Will Launch New Cloud-Based Unemployment App this Summer
http://www.govtech.com/Iowa-Department-of-Workforce-Development-to-Launch-New-Unemployment-App-this-Summer.html
米国のアイオワ州では、HTML5のインタフェースを備えたクラウドベースの失業者向けアプリを開発し、サービスの向上、不正受給やエラーの減少を目指すと。
関連>>ハローワーク求人情報オンライン提供
https://www.hellowork.go.jp/info/online02.html
求人情報外部提供用ウェブAPI利用手順書2014年4月版(PDF)
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/APImanual.pdf

アマゾンが獲得した“ゾンビ免許”
酒類販売制度に突きつけられた課題
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140606/266390/
全国に通信販売するはずのアマゾンが、大手の国産ビールを売れるのは、「一般」や「通販」の区別がない、平成元年6月より前に取得された「レア免許」を所得したからと。酒類販売制度に限らず、ネット時代・デジタル社会に対応した許認可行政の見直しが求められていますが、まだまだ反対派が多いです。