番号制度における個人情報保護の役割、追跡機能を邪魔しないように

個人情報保護WG(第6回)が開催され、番号制度における個人情報保護方策について大綱に盛り込むべき事項案(PDF)個人情報保護WG報告書案(PDF)が公開されています。

このまま行けば、6月中の「社会保障・税番号大綱(仮称)」も何とか間に合いそうです。社会保障改革に関する集中検討会議で提示された社会保障改革案(PDF)にも「社会保障・税に関わる共通番号制度の早期導入」が明記されており、できる限り早期に制度を成立させたいという意志が感じられます。

情報連携基盤技術との合同会議の議事録(PDF)も公開されていて、こちらも、大変興味深い内容となっています。情報連携基盤は、優先順位としては高くないので、番号制度ができてから本格的に検討して「実際の役に立つもの」を目指して欲しいと思います。

番号制度の個人情報保護で大切なのは、「番号制度で期待される効果を後方支援すること(邪魔しないこと)」と「権利や機能の濫用・悪用を防止すること」と思います。これは、情報連携基盤にも共通することです。

そうした視点から、「個人情報保護方策について大綱に盛り込むべき事項案」や「個人情報保護WG報告書案」を読むと、上手くまとめてあると思いました。「番号」変更請求の要件についても「行政事務コストやシステム上の負荷等の観点も踏まえ、今後、引き続き検討する」としています。

●番号制度で追跡機能が強化

番号制度の重要な効果として、「個人を特定して(今よりも容易に効率的に)追跡できること」があります。追跡には二つの意味があり、一つは「場所の移動に対する追跡」で、もう一つは「時間の経過に対する追跡」です。

作者が行政書士をしていた時も、相続案件などでは特定の個人を追跡する必要がありました。70-80年といった長い人生の中で、結婚や引越しといったライフイベントをこなしてきた特定の個人を、その出生のルーツにまでさかのぼっていきます。

番号制度が対象とする社会保障・税の分野でも、共通番号をキーとして、
・特定の個人がどこに住んでいるのか(住所や居所の情報)
・過去における保険料や税金の納付状況はどうなっているか
などを追跡することで、特定の個人や世帯に対する適切な社会保障の提供が可能になり、不正受給や脱税などの行為も発見しやすくなります。

ですから、個人情報保護の名の下に、こうした追跡ができないようにしたり、著しく困難にしたりすることは避けなければいけません。追跡をできなくして得をするのは、「権利や機能を濫用・悪用する人たち」で、損をするのは「追跡機能による恩恵が受けられなくなる善良な市民」だからです。

オンラインショッピングや携帯電話などの民間事業者が、根拠の無いままに本人の知らないところで「追跡」することは問題ですが、民間と行政をごっちゃにした議論は避けなければいけません。

もちろん、こうした行政分野における追跡機能の活用については、法令に基づいた業務に必要なものでなければいけませんので、その行為をチェックして行政機関や公務員個人による悪用を防ぐことが大切です。