霞が関「解体」戦争、自治体に求められる能力とは

霞が関「解体」戦争
猪瀬 直樹
草思社

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著者は、地方分権改革推進委員会委員を務める猪瀬氏。

タイトルに「戦争」とあるように、その内容はかなり過激で「戦闘日記」と言っても良いぐらい。

国民が支持して、政治的な判断で「解体」を決めてしまえば、後はどのように解体して処理していくかを議論することになりますが、まだ「解体するかどうか」は決まっていません。

地方分権改革推進委員会は、『地方分権改革の推進に関する基本的事項について調査審議するため』に設置されたもので、「解体するかどうか」の判断は、これからなのですね。

作者個人としては、現在の閉塞感を打破するためには、地方分権改革は必須と思います。国と地方が連携する次世代電子行政サービスを実現する上でも、地方の自立は欠かせません。

しかし、経済力や職員の意識などで、地方や自治体間の格差が大きいのも事実で、中央政府が面倒を見ている現状もあると思います。

地域ごとに複数の知事や市町村長が集まり、住民の支持を得た上で「うちは分権でやっていきます」と手を挙げたところから、地方分権を進めていくのも一つのやり方でしょう。

市町村によっては、現在の窮屈な体制においても、行政サービス・財務健全性・地域経済を維持・改善しているところがあります。

つまり、自治体に求められる能力は、どんな環境や資源配分においても、たくましく生き残っていける柔軟な思考や行動力ということです。

本当に住民が地方を変えたいと思えば、そうした能力を向上してくれるだろう首長やマニュフェストを選ぶでしょう。

以前、「官に任せようが、民に任せようが、しっかりチェックしていないと、暴走する。」と書きましたが、

それと同様に、中央省庁に任せようが、地方に任せようが、しっかりチェックしないと、やはり暴走します。

要は、「どちらのチェック機能がより有効で、より優れたガバナンスとパフォーマンスを期待できるか」ということ。

残念ながら、今の省庁の出先機関には、チェック機能もガバナンスもパフォーマンスも期待できそうにない。。。かと言って、地方に期待できるかといえば、地方議会の現状を考えると、ごく一部の自治体にかすかな光明が見られる程度かと。

いずれにせよ、省庁の出先機関が改革を迫られるのは時間の問題と思います。

出先機関で働く人たちは、どちらに転んでも良いように、今のうちから準備・勉強しておくことをオススメします