国家公務員の就労意向に見る公務員のインセンティブと求められる人材

総務省から、「国家公務員の就労意向等に関する調査結果」が公表されています。30歳代半ばから40歳代半ばの中堅国家公務員の生涯生活設計に関する意向把握を目的とした調査で、一般職の国家公務員及び防衛省職員(自衛官を除く)を対象としています。

公務員として働く中で「最も重視していること」については、やはり「安定性」を選ぶ人が多い中で、I種では「能力の発揮」が最も多くなっています。

公務員として「どのような働き方を希望するか」については、「専門分野の職務に特化したスペシャリスト」と「様々な職務を経験したゼネラリスト」に分かれています。

民間の利益と公共の利益を合致させる仕組みを作れ』で触れたように、今後の行政の役割は、

・国民や社会のニーズ把握
・サービスの品質管理
・関係者の利害調整
・リスクマネジメント
・事業の評価

などへ移行するでしょう。当然ながら、求められる公務員も変わってきます。

公務員が上記の役割を担うためには、「核となる専門分野の能力を備え」かつ「様々な職務・分野の知識と経験を備える」人材が必要となってきます。つまり、スペシャリストでありながらゼネラリストでもあるということです。

OECD等の調査を見ると、公務員のインセンティブとして効果が高いのが、「雇用の予見可能性が高いこと」とされています。

簡単に言えば、「先が見える」「将来設計がしやすい」ということです。

日本人が好きな「終身雇用・年功序列」の雇用システムは、「雇用の予見可能性が高いこと」のわかりやすい例ですね。

しかし、「能力・成果重視の有期雇用・年俸制」であっても、いわゆる「キャリアパス」が明確で、今の仕事の経験が次の仕事や職場で生かされ、能力・地位を高めることができるのであれば、それも「雇用の予見可能性が高いこと」の一例となります。

現在のように、経済が不安定で将来が見えにくい時代においては、昨日まであった「終身雇用・年功序列」が明日にはなくなってしまう可能性もあるので、安定しているようで実はリスクが高いとも言えます。

人間には、「安定」への欲求があると同時に、「変化」「向上」への欲求もあります。どちらを重視するかは、個人の性格、家族環境、年齢、価値観などによって異なり変化します。

電子政府の人材不足は以前から指摘されているところですが、「雇用の予見可能性」という視点から、公務員に選択肢し、努力が報われるインセンティブを提供することが有効でしょう。

参考資料>>行政機関におけるIT人材の育成・確保指針(PDF)