日本の電子政府が良くならない本当の理由(5):日本の競争力は20位、もはや二流国

今回は、「世界における日本」の現状を確認していく。

前回、日本は「ネットワーク化」や「ボーダレス化」への対応ができていないと書いた。これだけブロードバンドやモバイルのインターネットが普及しているのに、なぜ?と疑問に思うかもしれない。

確かに、通信等のインフラ環境は重要である。しかし、「ネットワーク化」や「ボーダレス化」では、「何を持っているか」ではなく、「持っているものや使えるものを、いかに賢く有効に使うか」で差が出てくる。

国際競争力の比較
http://www.manaboo.com/archive/egov_200515_competence.htm#competence
を見て欲しい。この表は、国の競争力に関する世界ランキングの平均点を出したものである。

日本の平均順位は20位。強さが際立っている米国を筆頭に、北欧・西欧、シンガポール・香港、オーストラリア、日本・韓国・台湾といった感じで、だいたい5番手グループに位置しているのがわかる。

日本は、経済規模(国別GDP)こそ米国に次いで2位だが、その競争力は年々下がってきており、国際的な競争力では、もはや二流・三流国というのが現実である。

他の国々の成長率を考えると、将来的にはEU(ロシアを含む)、米国、中国、インド、そして日本と、経済規模もやはり5番手グループぐらいになると予想されている。日本の人口と出生率、地理的環境などを考えると、まあ仕方のないことだ。

さらに、今後の日本は、世界に類を見ない少子高齢化に直面し、スウェーデンを抜いて、高齢者の占める割合が世界一となり、働き手(労働力人口)が減ってくる

日本が、現在の生活水準を維持したいのであれば、

  1. 労働生産性を初めとした国の競争力を高める
  2. 幸せを感じられる持続可能な新しい生活様式を確立する
  3. 世界で通じる人材を育てる

といったことが必要となる。

「ネットワーク化」や「ボーダレス化」に対応し、競争力を高めている国には、「教育に力を入れている」といった特徴がある。しかし、最も重要なのは、「機動性・移動性・流動性」に優れていることだ。

例えば、人口規模が500万人前後の国々。これぐらいの規模だと、とにかく国自体のフットワークが軽い。加えて、EUのような共同体だと、多国間でも人・物・お金の流れが円滑になり、その「機動性・移動性・流動性」はさらに高まる。

シンガポールや香港は、面積だけを見れば小さな国(行政区)であるが、アジアの中継地点として、人・物・お金がスムーズに流れる仕組み(港湾システムなど)を確立している。

米国や中国では、国としての人口規模は大きいが、国内の州や省が「機動性・移動性・流動性」を発揮している。

つまり、「ネットワーク化」や「ボーダレス化」に対応するには

  1. ほど良い規模で(小さ過ぎても大き過ぎてもダメ)
  2. 一定の自治権を持ち(国家でなくても良い)
  3. 経済的にも自立している(補助金頼りではダメ)

といったことが条件となる。

後は、国・地域の得意分野や地理的環境を生かした「機動性・移動性・流動性」を高める努力をすれば良い。

日本の場合、

  1. 国としては規模が大きく、動きが遅い
  2. 地域や自治体は、政治的にも経済的にも自立できていない

といった条件に加えて、「機動性・移動性・流動性」を阻害する規制や独占が数多く存在している

これでは、「ネットワーク化」や「ボーダレス化」といった世界的な潮流に逆らうばかりで、対応できるわけも無い。

このまま日本が、地域の自立も無く、時代遅れとなった規制や独占を放置するのであれば、当然ながら、国の競争力は下がり続けることになる。

次回は、「世界における日本の電子政府」を見ていく。

“日本の電子政府が良くならない本当の理由(5):日本の競争力は20位、もはや二流国” に3件のコメントがあります

  1. 行くわけがない!
    >教授もむたさんと同じようなことをご指摘です。
    え?教授だって、現場のことは知りません。それ以前に、職域争いで訴訟が起きるような業界があることもね。

    電子政府構想の説明責任を果たしていないことについての基本的な進め方には賛同しますが、そのあと官僚をどう料理するのかについては、やっぱ学者でしかありません。

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