日本の電子政府が良くならない本当の理由(3):「行政サービスを良くする」ことを宣言し約束せよ

まず始めに、多くのコメント頂いたことに対してお礼を申し上げたい。本連載に集中したいので、個別のお礼や返事は控えさせて頂くが、批判を含めて心より感謝申し上げる。読者の方は、それぞれのコメントを参考にしながら、作者の主張を吟味していただければと思う。

作者自身は、もちろん、国民が馬鹿だなんて思っていない。むしろ、「国民だけが、電子政府を良くすることができる」と考えている。なぜそう考えるのかは、連載の中で明らかにしていきたい。

また、「犯人探し」をするつもりもない。「独占という状態」が元凶であると考えるが、3つの独占業者(行政、外郭団体、士業)やITベンダーの行動には合理性があり、法令に違反するものでもないので、彼らが悪者とは考えていない。

作者がしたいのは、本連載を通じて

  1. 社会全体がどのような方向に動いているのか
  2. 日本の電子政府がどのような状態にあるのか
  3. 今後、日本の電子政府はどうすれば良いのか

この3点を明らかにしていくことである。

それでは、本題に入ろう。

電子政府を本気で良くしたいと願う作者は、次のような提案をする。

まず、政府が国民に対して、次の三つを宣言し、約束する

  1. 政府は、今よりも少ないコストで、行政サービスを良くする
  2. 国民は、今よりも少ないコストで、行政サービスを利用できるようになる
  3. その手段として、電子政府を最大限に活用する

その上で、次の三つを実施する。

(1)原則として、全ての電子政府サービス事業を民間に委託する

委託先の民間は、競争入札で決める。契約は、インセンティブ契約(成果に応じて報酬を与える)として、実際に「今よりも少ないコストで、行政サービスを良くする」を実現できなければ儲からない内容とする。

成果が上げられない委託先は、電子政府サービスから撤退することになる。

大切なのは、各サービスごとに「事業経営のリスクと責任を負わせる」と同時に、「リスクや責任に見合った報酬を与える」ことである。

なお、官や外郭団体は、入札に参加させない。官や外郭団体の知識やノウハウが必要な場合は、委託先の民間企業等に公務員や職員を一時的に出向させるか、テレワーキングさせれば良い。

(2)電子政府に関する事業やインフラについて、外郭団体の関与を禁止する

現在、様々な電子政府に関する事業(調査研究や実証実験を含む)やインフラ(各種ネットワークや認証基盤など)の構築・運営について、競争入札も無いまま外郭団体が関与し利益を受けている。

しかし、実際に事業を実施しインフラを整備・維持するのは、外郭団体から業務を受託するITベンダーやシンクタンク等の民間企業である。ほとんど丸投げと言って良いだろう。

こうした外郭団体を「中抜き」すれば、電子政府の維持費用は2割から5割ほど削減できるはずだ。

上述したように、外郭団体の知識やノウハウが必要な場合は、委託先の民間企業等に職員を出向させれば良い。

(3)士業の業務独占を廃止し、行政手続の仲介・代行サービスを自由競争とする

士業の業務独占を廃止することで、役所の手続やサービスを利用したいと考える国民は、次の選択肢から好きなものを選ぶことになる。

  1. 自分で行う(家族や友人に頼む)
  2. 無料の仲介・代行サービスを利用する(NPO、民間企業など)
  3. 有料の仲介・代行サービスを利用する(士業、民間企業など)

関連ブログ>>電子政府における仲介者の役割:士業は選択肢の一つに過ぎない
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/de5066411d52d2665aba012c1eaded79

ただし、電子政府が目指すのは、あくまでも「今よりも少ないコストで、行政サービスを良くする」ことである。

そのために、「国民が負担するコストの最小化」と「サービスによって提供する価値や顧客満足の最大化」を追求する。

よって、電子政府においては「士業を利用せずとも、個人や企業が簡単に手続を済ませることができる」よう、最大限の努力をすることが求められる。

以上が、作者からの提案である。

その内容は、電子政府が単なるIT化の話しではなく、行政改革・規制改革・制度改革であることを示している。

「そんな大きな話、実現できるわけが無い」と考える人もいるだろう。

ところが、社会全体は、確実に上記の提案を実現する方向に動いているのである。日本の電子政府は、その動きに逆らい続けることはできない。

作者が本連載を始めたのも、「そろそろ機が熟してきた」と判断したからである。

また、公務員、外郭団体の職員、士業からの反発も当然に予想される。

しかし、そうした反発の多くは、既得権益への執着であり、国民の利益よりも自己保身を図るものに過ぎず、全く恐るるに足らずである。

もっともらしく聞こえる主張も、その内容をよくよく吟味すれば、仲間内の狭い世界だけで通じる常識であり、国民・世間・世界から見れば非常識であることがわかる。

電子政府を独占する業者は、自分達の常識が、すでに時代遅れで非常識となっていることに気が付いていない。あるいは、現実から目をそむけ、気が付こうとしないのである。

次回から、上記提案についての現状を整理していこう。 

“日本の電子政府が良くならない本当の理由(3):「行政サービスを良くする」ことを宣言し約束せよ” に9件のコメントがあります

  1. 士業の業務独占の廃止を
    むたさんの、
    >(3)士業の業務独占を廃止し、行政手続の仲介・代行サービスを自由競争とする

     この提案に大賛成です。特に電子的手続部分から独占の廃止をすべきだと。

     この独占廃止が進めば、電子政府全体に画期的変革をもたらすと思う。

  2. ま、言論は自由だから。
    業務独占をはずすのはかまいませんよ。きちんと手続きを代行してくれるならね。自然淘汰大いに結構。やれるものならやってごらんなさい。だけどね、現実はね、そうじゃないんですよ。オンライン以前の問題で、国民に不利益なんです。みんながみんな理想の士業じゃないんですよ。ある程度、訓練された士業だからこそ、オンラインが進んでいくんですよ。いっきに今ここで開放してもいいですが、元も子もなくなることも覚悟しなければなりませんよ。厳しい懲戒が待っていることも忘れないでくださいね。もし行政の監督もはずすのなら、それもいいですが、いままで営々と気づいてきた戸籍や登記の真実性が、崩壊することも覚悟せねばなりませんね。民営化して、耐震偽装などの問題が出てきた事実も忘れないでくださいね。まあ、価値観が違いすぎるからべつに議論するわけじゃないですけどね。違法行為を平気でやる士業に、法律論をされてもねえ。なぜある士業関係法の改正に、議員立法が多いのか?政治献金の・・・。

  3. それにしても、むたさんの鋭さに 感嘆
    むたさんの、
    >しかし、そうした反発の多くは、既得権益への執着であり、国民の利益よりも自己保身を図るものに過ぎず、全く恐るるに足らずである。

     全く仰せの通りです。低劣な士業等から今後いろいろと反発が出てこようが、「全く恐るるに足らず」で突き進めていただきたい。
     
     ここを突破しないかぎり、他の1と2の独占形態を突破切り崩しをすることはできないと思われます。特に電子政府推進には。

  4. 言論は自由だけど。
    >低劣な士業等から今後いろいろと反発が出てこようが・・・
    だれが?だよ。何をいっても良いってもんじゃないですよね。曲がりなりにも士業に携わっているならね。役所の現場が、すべての申請について、完璧にチェックできると思っているんじゃないでしょうね?本人申請による弊害というのを考えたことなどないんでしょうね?電子政府を突破しようとしてもいいですが、社会インフラ、経済インフラそのものを脆弱にしてしまうこともなど、思ってもみないんでしょうね、この方は。年金制度のようにならないことを祈ります。結局、士業というのは、誰のために何のためにあるのかということです。目先のことにとらわれて、根本を見失うなということだよ

  5. むたさんの鋭さは、どこから来るのか?
    より良い電子政府を推進するに、いたるところ様々な論者が主張を重ねているが、その中にあって、
    電子政府推進での3大阻害要因で、いわゆる士業の独占形態を指摘しているのは、むたさん、独りだと思う。

    むたさんが、これの独占形態にメスを入れようと考えている根拠を今後明らかにされるのだろうが。

    これの士業の独占形態が電子政府推進の阻害要因、元凶だとの認識も社会的に醸成されるように思う。
    その意味では、むたさんの独壇場とも思えますね。

    むたさんの、
    >もっともらしく聞こえる主張も、その内容をよくよく吟味すれば、仲間内の狭い世界だけで通じる常識であり、国民・世間・世界から見れば非常識であることがわかる。

     これらも、低劣な士業の主張を捉えての解説だとも思われますね。非常識な主張が崩壊するのも近いってことでしょう。たぶん。

  6. だから何をいってもいいけどさ。
    >これらも、低劣な士業の主張を捉えての解説だとも思われますね。非常識な主張が崩壊するのも近いってことでしょう。たぶん。
    自分のことを棚にあげて、「低劣」とか「非常識」とか、そういう言葉を使うなよ。まともな口の利き方ができるようになってからにしてもらいたいねえ。だからいつになっても信用されねえんだよ。違法行為を繰り返し挙句の果てに規制緩和といって正当化するあんたらのせいで、士業全体が代書屋どころか、悪徳業者になっちまうんだ。まともな同職がどれほど嘆いていることか。地道な努力をしている現場を見てからにしてくれよ。

  7. 組織的犯罪処罰法にて
    sagoさんご紹介の、
    >http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000000805100002

     こうした犯罪者の士業については、重ねて組織的犯罪処罰法の罰則を適用すべきだと思うのだが、検察は適用するかどうか? 期待したい。

  8. 目先の利益に目がくらむと
    士業から開放するなり、煮るなり焼くなりするのはかまわなんが、こういうやつらのえじきになるってこと。そうしたら、すぐ、制度がぐずぐずになるってこと。現実は厳しいんだ。厳しい現実から国民と制度を守る役割が、士業にはあるんだ。本人申請の頻度が増えれば、増えるほど、その制度は、ぐずぐずになっていく。実際、少しくらいなら審査なんて適当にしても見つからないと思った年金制度みたいに。戸籍だって住民異動だって、実際は、ひでえもんだ。後期高齢者医療制度に反対した社労士がどれだけいたんだろうか?そのうち体制に迎合して、オンラインにやみくもに促進した御バカ士業は?ってことにならなきゃいいが。

コメントは停止中です。