マナブー今週の注目記事(2007/4/1)

●自治体ISAC(仮称)実証実験の実施結果(総務省)
http://www.meti.go.jp/press/20070330002/20070330002.html
 「IT事故を想定した演習」の重要性が指摘されていますが、作者も賛成です。セキュリティに完全は無いわけですから、「事故の報告・記録・対応ルールと手順の明確化」、「バックアップ媒体からの復旧テスト」、「事故・障害の原因究明と再発防止の措置の実施」などが大切ですね。
 電子申請でも、「成りすましで電子申告された場合」や「公的個人認証の電子証明書を不正取得されて、保有する不動産を転売された場合」といった具体的なケースを想定し、リスク分析や演習を行いましょう。

関連>>「システム管理基準 追補版(財務報告に係るIT統制ガイダンス)」の公表について(経済産業省)自治体の業務継続性:ITpro災害イメージトレーニングの重要性(NTTデータ)

 

●「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/03/h0327-3.html
 自分の健診情報・診療情報等をインターネット等で収集・管理するとなれば、ますます「認証(Authentication)」が重要になります。作者は、個人に「電子署名」を使わせることは止めた方が良いと考えています。
 ただし、「認証」はしっかり行う。閲覧や取引等の行動履歴を安全な方法で記録し、本人がいつでも確認できると同時に、定期的に通知もすると。
 「電子署名」を使うとしたら、国家資格者、許認可された業者、政府機関(公印レベル)とするのが良いでしょうね。

 

●電子政府:巨額初期投資に問題–須藤修・電子政府評価委座長(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/seifu/news/20070329org00m300094000c.html
 新聞や雑誌などで、いわゆる「電子政府は無駄使い」という記事が出た場合、その内容については吟味する必要があります。IT投資は、何が「効果」で何が「無駄使い」なのかを判断するのが難しいからです。
 ただし、「目指す効果を明確にして」、「慎重に投資を行い」、「国民に対して情報公開し説明責任を果たす」ことが必要であり、今までの電子政府には不十分だったことは否定できないでしょう。

 

●電子申請:1件1500万円 5官庁でIT予算むだ遣い(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070329k0000e010079000c.html
 各省庁の電子申請(汎用システム)は「イーガブ」に統合される予定ですが、統合には時間が(お金も)かかるので、極端に利用が少ない場合は(=廃止しても困る人がほとんどいない)、統合を待たずに廃止して良いでしょう。

関連>>なぜ、電子政府で「一件当たりいくらか」を評価するべきなのか

 

●「大日本印刷株式会社からの個人情報漏洩事故」について
http://privacymark.jp/dainihon_rouei_seimei070327.pdf
 プライバシーマーク認定事業者が信頼できるかどうかは、士業等の国家資格者の信頼性と似ているかも。一定の信頼基準にはなるけれど、それだけでは安心できないと。
 委託する側は、委託先選定の基準を作る(見直す)と共に、委託契約中に損害賠償を含む情報漏洩時の対策を詳細に規定する必要がありますね。

 

●情報システム政府調達に関する提言((社)電子情報技術産業協会)
http://it.jeita.or.jp/infosys/report/070330ITservice/index.html
 受注者側からの提言は大切ですね。発注者である政府が、どれだけ受注者側の可能性を引き出すことができるか。
 業務・システムの最適化やBPRについては、行政が業務改革の意志を示すことが必要です。それを受けて、受注者は思い切って大胆な改革案(to be)を提示しましょう。考えられる限りシンプルで効率的な柔軟性の高い改革案で良いのです。そこから、発注者との間で妥協点を探っていきましょう。

 

●中堅・中小企業の業務アプリ利用実態(8)給与管理は「給与奉行」のシェアが抜きん出る:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070319/265552/
 業務アプリ(パッケージ)は、電子申請の仲介者として有望な存在です。企業の担当者は、わざわざ役所のウェブサイトにアクセスすることなく、使い慣れた業務アプリの画面上で電子申請できると。
 電子申請の利用率を増やしたければ、行政は業務アプリとの連携を推進・奨励する施策(技術情報の公開、開発・テスト環境の提供・支援など)を行いましょう。

 

●裁判記録からあぶり出すライブドア事件の核心 – ビジネススタイル – nikkei BPnet
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070323_4th/index.html
  旧態派・体制派からの抵抗を、どうやって「支援」に変えるか。
 電子政府・電子申請は、政治・社会・経済の動向に敏感でなければいけません。政府が何を重視し、市民が何に困り、企業が何を期待するのか。「それなら、こんな電子政府サービスはいかがでしょうか?」と提案できなければ、「電子政府」は孤立し、政治的・社会的・経済的な理解や支援を得られないのです。