公的個人認証サービスの代替手段の検討を

「公的個人認証サービスの利用・活用の推進」への意見です。

●公的個人認証サービスの代替手段の検討を

現在までのヒアリングを踏まえて危惧することは、各省庁におけるオンライン申請の利用率が向上しなかった時に、その理由を「公的個人認証サービスの普及が進まないから」とされることです。同様に、公的個人認証サービスの普及が進まない理由を「オンライン申請のサービスが良くないから」とされる可能性もあります。

このように行政間で責任転嫁が始まれば、国民が利便性を実感するどころか、あきれられてしまいますので、そのような事態は、絶対に避けなければいけないと考えます。

政府が構築した公的個人認証サービスの普及促進を進めることは、当然なことです。また、公的個人認証サービスのようなインフラ系のサービスは、他のインフラやシステム・サービスへの影響が大きいので、その見直しについては慎重に検討する必要があります。

しかし、リスク管理・リスク分散の観点からも、公的個人認証サービスの普及を促進すると同時に、認証方法について他の代替手段を検討し、国民に選択肢を提供していくことが必要と考えます。

その際には、オンラインまたはオフラインの民間サービス・取引等で利用される認証方法を十分参考としながら、国民にとって使いやすい簡便な手段を採用することが望ましいと考えます。

2、3年経過した後に、「色々と推進策を実施しましたが公的個人認証サービスが普及しませんでした。」となってから、他の代替手段を検討するのでは遅すぎますので、今のうちから検討されることを強く望みます。

●認証方法について、手続の性質や実態に応じた整理を

現在の紙の申請手続き等では、手続の重要性や不正な申請等への配慮から、本人確認について、いくつかの方法が使い分けられ、あるいは併用されています。

他方、オンライン手続においては、一律に電子署名を採用する傾向があり、最近になってようやく他の方法を検討する動きが出てきましたが、そこでは電子署名かID・パスワードかといった単純な検討に留まっています。

今後、より安全で安心して利用できる電子政府を実現するためにも、国民の利便性を損なうこと無しに、手続の性質や実態に応じた本人確認ができるよう、認証方法の整理を行う必要があると考えます。

●入れ物については、公共・民間サービスとの連携を

公的個人認証サービスの電子証明書について、一定の基準の下で、住基カード以外の媒体にも格納できることとして、民間サービスとの連携を進めることが有効と考えます。

例:クレジットカード、キャッシュカード、携帯電話、運転免許証、社員証など。

★補足コメント:
「公的個人認証サービス」の見直しについて触れることは、住基ネットと共に、ちょっとタブーとなっている感もありますが、適切な評価を実施するためには、インフラ系の施策やサービスについても、当然に評価の対象となります。

電子証明書(電子署名)の普及については、国の制度やIT事情にもよりますが、かなり強力に、かつ工夫して実施しないと、まず成功しません。

日本の場合、そうした工夫が苦手なので、ほとんど成功する可能性がなかったと言えましょう。サービス内容、タイミング、推進方法などが適切ではなかったのです。

関連>>公的個人認証サービスは使えるか公的個人認証サービスの競争要因をチェック

★2007年(更新)問題
現在、公的個人認証サービスの電子証明書は、約11万枚が発行されています。しかし、電子証明書の有効期間は3年となっており、来年(2007年)あたりから期限切れの電子証明書が出てきます。こうした期限切れの電子証明書の多くが、更新手続がされないと思われますので、さらに発行枚数の増加が厳しくなるのですね。

電子政府では、電子入札のように実質的な強制力を持たせない限り、今までのような「役所のやり方を押し付ける」方法は通じません。

本当に電子証明書・電子署名を活用したいのであれば、それなりのビジネスモデル(business case)を考えてから実施しましょう。