実務で使われる電子証明書:電子申請のインセンティブへの応用

日本商工会議所のビジネス認証サービスのウェブサイトが新しくなりました。トップページでは、使用目的に応じて電子証明書を選べるようになっていて、関連情報も提供されています。

一般の人に馴染みが少ない電子証明書は、利用者を特定して(誰が使える?)、その利用目的(何ができる?)を明確にすることが大切ですね。

比較的に成功していると言われる電子証明書には、共通する条件(状況)があります。それは、

「その電子証明書が無いと業務で困る(不利益を受ける、競争に負ける)」

ということです。具体的には、

・公共事業の入札に参加できない
・顧客からの要望に応えられない(電子定款が作成できない)

などなど。。

「サイバー空間における安全・安心のインフラ」という風に表現される電子認証・電子証明書ですが、実務においては、「安全・安心」のためというよりも、もっと切実で泥臭い理由から利用されているんですよね。

このような実利用への動機付けは、インセンティブ(利用を促すもの:奨励金、優遇措置等)の提供が必要と言われる電子政府・電子申請サービスでも、応用が可能です。

例えば、申請・届出等で必要な実費(登録免許税、所得税・法人税、保険料、手数料など)を割引します。

実際には、電子申請を利用するのにも費用も手間もかかるので、多少の割引では見合わないことが多く、必ずしも、申請者(企業、個人)の実利用に結びつくわけではありません。

しかし、士業(司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、行政書士など)にとっては、この割引が大きなプレッシャーとなるのです。

なぜなら、お客さんが士業に払うお金は「報酬+実費」が通常ですから、依頼するお客さんは、当然に「実費の安い方でお願いします。」となるわけです。

お客さんからの要望が増えれば、士業も対応しないわけにはいかないので、士業における電子申請の利用が進むことになります。

もちろん、個々の電子申請におけるサービス品質を高め、利用者に応じた実務で使いやすい環境を作っていく努力が必要なのは言うまでもありません。

“実務で使われる電子証明書:電子申請のインセンティブへの応用” に1件のコメントがあります

  1. インセンティブ
    電子定款で行政書士が積極的に利用しているケースですが・・・確かに印紙税の4万が不要というのがあります。

    もう一つ重要な点があると思っているのです。発起人が必ずしも電子証明書を所持していなくてもよろしいというのがあるのです。要するに代理人の行政書士さえ電子署名できればよろしい、という点です。

    これがインセンティブといえるかどうかは別にして。

    発起人が絶対的に電子証明書を求めるともなれば、電子定款はほとんど普及しなかったものと思う。普及しないから、相乗的に行政書士用電子証明書の普及も芳しくないという悪循環に陥るところでした。

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