高知県の電子申請が休止、前向きな休止はサービス改善に繋がる

高知県の電子申請・届出システムが、平成18年3月末より休止となっています。電子政府サービスを休止することは悪いことではありません。むしろ、より良いサービスと健全な発展を目指す中では、必要なことと言えるでしょう。

投資でも「損切り」という言葉がありますが、ビジネスでは、「撤退」のタイミングが重要とされています。傷が深くならないうちに、止めてしまうということです。

ところが、行政では、「撤退」=「失敗」と考える向きが多いようで、高コストで利用が進まない電子政府サービスでも、そのまま続けられる傾向があります。

しかし、今後は国民や議会から、「そんなものは止めてしまえ」と言われることも増えてくるでしょう。それは当然なことで、電子政府の発展にとって必要なことです。

電子政府サービスを休止・中止する理由としては、

・利用状況が悪いので、新たに作り直すから
・費用削減とサービス改善を目指して、市町村共同利用等へ移行するから
・時代の変化に伴い、必要がなくなったから
・他のサービスと統合するから

などが考えられるでしょう。

PDCA(計画、実行、評価、改善)の中には、「撤退」という選択肢・シナリオがあることを、本来であれば、計画の段階から検討しておく必要があるのです。

なお、オンライン利用促進のための行動計画(案)への意見でも、次のように述べています。

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6.利用率が低いオンライン手続の停止を

 平成20年度までに利用率が1割を超えないものについては、原則停止して、手続の見直し等を含めた新たな方策を検討することが望まれる。こうした措置が無いと、利用もされずお金ばかりかかるシステムが増え、「電子政府=箱物行政」といった悪いイメージが国民に植え付けられ、電子政府の健全な発展に悪影響を及ぼす恐れがある。
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関連>>IT化推進施策に関する行政評価・監視「撤退」の意思決定が難しい三つの理由(PRESIDENT Online)

“高知県の電子申請が休止、前向きな休止はサービス改善に繋がる” に2件のコメントがあります

  1. 高知県の決断に重みを感じます
    昨年3月の岐阜県の運用休止に続く、高知県の休止です
    自分のところでも現在準備中なのですが、先例の教訓を生かしながら進めていけるものと思います

    うまくいかない理由の一つに電子申請が
    観客席にいる住民から見て舞台セットのような情況になっているのではないかと思っています

    客席から見るとそれなりの大道具小道具になっているものの
    舞台裏から見ると、張りぼての内容のないもので、
    行政サービスを提供する担当部署にとって全く魅力のないものになっているのではないかと感じます

    行政サービスを利用する側も、提供する側の双方にとってもうまみのない仕組みは
    長続きもするはずもなく、自然淘汰されていくと思います

  2. メリットの提示
    elicuriさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。

    まったくご指摘の通りと思います。

    利用者に対して、わかりやすいメリットを提示することが、利用増加の条件と思うのですが、なかなか難しいのが現実ですね。

    行政職員のメリット(仕事の効率化)と市民のメリット(サービスの改善)は、相互に影響を与え合う関係にありますので、両者のバランスを考えた電子申請を実現して欲しいと思います。

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