なぜ大量の個人情報を持ち出せる状態を放置し続けるのか、国民ID制度に基づく情報管理が確立していない日本の役所

【佐賀・玄海町】全住民の「個人情報盗難」なぜ発覚?
https://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/1299850/

捜査関係者は「中島は役場の情報を持ち出した理由を『個人的な利便性のため』と話している。警察では一種の収集癖とみている。人のプライバシーをひそかに入手して『俺はオマエのこんなことを知っているんだぞ』と精神的に優位に立とうとしていたのではないかと。

元町住民福祉課長が、職場の女性職員らの健康診断票を不正に持ち出した容疑で追送検されたという東京スポーツのニュース記事です。

同容疑者は、玄海町の全住民6335人分の住民基本台帳データを不正に持ち出した疑いで逮捕されており、それ以外にも、職員の人事評価や給与や処分履歴などが分かるファイルを持ち出したとされています。なお、2019年3月27日現在、玄海町ホームページに、今回の件についての情報を見つけることはできませんでした。

関連>>私的利用目的で町民の個人情報6,300件を不正コピー、佐賀県玄海町住民福祉課の職員を逮捕

日本の役所の情報管理には、いくつか問題がありますが、その一つが「大量の個人情報を持ち出せる」ことです。日本では、自治体ごとに住民情報を管理しているので、情報セキュリティ意識の低い自治体では、今回のような情報持ち出しが簡単に起きてしまいます。

本来であれば、基本的な住民情報については、法令で定めたセキュリティ要件で、国の責任によって一元管理して、各自治体は住民情報を利用する側になれば良いのです。情報ガバナンスを見直さない限り、玄海町のような事件は今後も減ることは無いでしょう。

また、国および自治体の職員に共通のID制度が確立してないことも問題です。公的機関の情報管理では、「誰がいつ何のために情報にアクセスしたのか」を記録し、あとで確認できることが必須条件となりますが、それが徹底できていないのも、各組織ごとに差があるのも、公的業務に従事する職員に対する共通ID制度が無いことと無関係ではありません。

せっかくマイナンバーカードがあるのですから、公的業務に関わる情報システムへのアクセス管理は、すべてマイナンバーカードに共通化するべきでしょう。

10年ほど前に、下記のようなブログを書いたのですが、今回の玄海町の事件は「氷山の一角」でしょう。10年前と、ほとんど状況が変わっていないのは大変残念なことです。


国民IDは政府による監視社会を招くのか(1)、本当に恐れるべきなのは
https://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/bd87027baec8e1808ed58b11b22d13d9

これは作者の想像なので、冗談話と思って聞いて欲しいのですが、行政の人間の中には、国民データベースマニアがいて、個人的に個人情報データベースを作っているのではないかと思います。

今でこそ、行政内部においても個人情報の閲覧や外部持ち出しが多少は制限されるようになりましたが、基本的には行政内部の人間が個人データにアクセスすることは、外部から不正アクセスするよりはずっと簡単です。

そういう行政内部の人が、個人的な趣味でデータを持ち帰り、他で取得した情報と混合し、「芸能人データベース」や「高校同級生データベース」などを作っていても、発覚する可能性は非常に低いでしょう。

こうした行為を未然に防ぐためには、公務員にIDを付与して、業務上の活動を管理・監視することが有効です。


国会提出法案(第198回 通常国会)
H31.3.15 情報通信技術(IT)総合戦略室
情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案
http://www.cas.go.jp/jp/houan/198.html

本気でデジタル社会を目指したいのであれば、まずは、市町村ごとに住民基本台帳を作成・管理する方法を変えた上で、住民票(居住関係以外の記載項目を含む)の信頼性について国が保証する必要があるでしょう。

・社会全体のデジタル化
・デジタル化の基本原則(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)
・行政手続のオンライン原則
・添付書類の撤廃
・デジタル化を実現するための情報システム整備計画
・デジタル・デバイドの是正
・民間手続における情報通信技術の活用の促進
・国外転出者の本人確認情報の公証
・国外転出者による公的個人認証(電子証明書)・個人番号カードの利用
・本人確認情報の長期かつ確実な保存及び公証
・利用者証明用電子証明書の利用方法の拡大(暗証番号入力を要しない方式)
・個人番号カードへの移行拡大(通知カードの廃止)
・個人番号利用事務及び情報連携対象の拡大 など

通知カードの廃止については、施行日時点で交付されている通知カードは、その記載事項に変更がない又は正しく変更手続きがとられている限りは、マイナンバー証明書類として利用(経過措置)としています。


情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案(平成31年3月15日提出)
https://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html

「暗号技術に基づく資産」ということでしょうか。なお、呼称のみの変更で、定義に変更はありません。

国際的な動向等を踏まえ、法令上の「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更。収益分 配を受ける権利が付与されたICO(Initial Coin Offering)トークンについて、
・金融商品取引規制の対象となることを明確化
・株式等と同様に、投資家への情報開示の制度や販売・勧誘規制等を整備
刑事訴訟法等と同様に、金融商品取引法の違反事案の調査において、電子的に保管されたデータの差押え等を可能とする規定を整備すると。

関連>>資金決済に関する法律
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=421AC0000000059
マウントゴックス社長、横領は無罪 東京地裁判決
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42492590V10C19A3CC0000/
ビットコインが値上がりして助かった?


2018年度 3月18日開催 公文書管理委員会(第74回)配布資料一覧
https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2018/20190318haifu.html
行政文書の電子的管理についての基本的な方針(案)、「今後目指すべき電子的管理」のイメージなど。文書管理の前に、必要性の低い会議や文書作成の業務を減らすべきでしょう。
関連>>行政文書の管理 公文書管理制度 – 内閣府
https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/shikumi/g_bun/g_bun.html

第6回 官民データ活用推進基本計画実行委員会
データ流通・活用ワーキンググループ 平成31年3月4日
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/detakatuyo_wg/dai6/gijisidai.html
我が国におけるデータ活用に関する意識調査、データ流通・活用ワーキンググループ論点整理(案)、これまでのWGにおける構成員からの主な意見など。「自分のパーソナルデータをお金に換える」という発想では、データ利用は進みませんが、公益性や社会貢献に訴えても人の行動は変わらないことは、マーケティングや行動経済学等で確認されているかと。このまま進めても、日本ンでパーソナルデータ利用サービスが普及することはないでしょう。

未来投資会議 産官協議会
「次世代インフラ」会合(第3回)平成31年3月5日
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/sankankyougikai/infrastructure/dai3/index.html
電気、ガス、鉄道、通信事業者における新技術開発の取組み、前回までの討議事項や中間整理に関する関係省庁での検討状況など。

「未来イノベーションワーキング・グループ」の中間取りまとめを行いました
2019年3月19日
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190319006/20190319006.html
2040年頃における未来の医療福祉分野の在り方を考える際には、足元において導入される技術が漸進的に改善していく姿を考えるのみならず、将来見込まれる社会・地域の変化や技術革新を見据え、バックキャストして中長期的な戦略を構築していくことが必要と。


特別交付税、実質配分ゼロ=ふるさと納税激増の4市町-総務省
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-00000046-jij-pol

石田総務相は「財源配分の均衡を図る観点で行ったもので、過度な返礼品を行う自治体へのペナルティーという趣旨ではない」と。地方自治体の情報システムが共通化・共同利用化できない理由の一つは、自治体が財政的に自立していないことですよね。総務省は、「地方自治」など望んでいないのです。

関連>>平成30年度特別交付税交付額の決定
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei02_02000220.html
地方交付税制度の概要
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html


LINE株式会社との地域ICT化推進事業に関する包括連携協定
2019年3月19日 千葉県市川市
http://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/1111000258.html
市川市とLINE株式会社は、高度な情報通信技術を活用して社会的課題を解決し、地域の活性化及び市民サービスの向上に寄与することを目的として、本日協定を締結したと。個人データの取り扱いが気になりますね。
関連>>納付書のLINE Payでの支払いについて
http://www.city.ichikawa.lg.jp/fin07/1111000084.html
LINE、市川市と地域ICT化推進事業に関する包括連携協定を締結
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2642
LINEによる住民票オンライン申請実証実験を開始。市民は、「市川市LINE公式アカウント」上から、場所・曜日・時間を問わず、24時間いつでもどこでも住民票の写し等の申請が可能に。手数料の支払いは、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を利用。申請した住民票の写し等は、後日郵送で自宅に届くと。


複雑な行政手続きの方法が簡単にわかる「Graffer手続きガイド」、埼玉県横瀬町で試験運用開始
https://jp.techcrunch.com/2019/03/05/graffer-guides-yokoze/

スマホやウェブから質問に答えていくだけで必要な手続きがわかると。住民視点で考えると、必ずしも「オンライン申請」にこだわる必要はないですよね。日本の電子政府のレベルや費用対効果を考えると、これぐらいがちょうど良いかと。
試しに転入手続きガイドを使ってみたら、必要なアクションが7件もありましたが、車を持っていなければ一つの窓口の3件で済みました。
関連>>横瀬町 手続きガイド
https://ttzk.graffer.jp/town-yokoze

印鑑義務の廃止反対!“抵抗勢力”の主張を読んだ
http://agora-web.jp/archives/2037747.html
残念なことに、一般市民にとっては、オンラインサービスや電子署名よりも、紙文書や印鑑制度への信頼が高いのも事実かと。政府が粛々と進めるべきことは、「一定の要件を備えるデジタル手段による本人確認・意思確認」について、「署名(記名捺印)と同等の効力」を認めるだけでなく、「印鑑登録制度を利用した本人確認・意思確認」および「対面による本人確認・意思確認」の法的効力についても、「一定の要件を備えるデジタル手段による本人確認・意思確認」と同等であることを法制度として確立し明示することです。
関連>>「デジタル・ガバメント実行計画」に関する要望書
http://www.inshou.or.jp/inshou/common/pdf/yobosho.pdf
印鑑の市場規模が1700億円もあるんですね。「印章業界が被る被害に対する国の売上補償」は、受け狙いかと思いました。

スマホを持たないシニアが生活弱者になる恐れ、打つ手はあるか
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00086/00058/
シニア層でも、日常的に若い世代との接点が多い場合は、スマホを使っている人が多いですよね。他方、シニア層より若い世代でも、いまだに割高なキャリアのスマホを使い続けている人もいますし。

欧州アクセシビリティ法が成立した!
http://agora-web.jp/archives/2037884.html
目的は障害者や高齢者の日常生活を改善し、さらなるイノベーションの扉を開くことにあると。

FB、パスワードずさん管理 数億人単位で暗号処理せず
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42758330S9A320C1000000/
米フェイスブックは21日、数億人単位のユーザーパスワードを暗号処理せず保管していたと発表。すでに対策済みで、パスワードの社外流出や社員による不正使用の形跡はないと。フェイスブックについては「パスワードの定期的な変更」が必要かもしれません。。


閉鎖した「破産者マップ」、行政指導されていた 個人情報保護法に違反?
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/20/news112.html

行政指導(従う義務は無い)というのがポイントですね。正直、個人情報保護法違反で訴追するのは難しいと思いますが、名誉棄損(公知の事実であるか非公知の事実であるかを問わない)などで訴訟されるリスクを恐れての閉鎖かと。(「官報情報検索サービス」(有料)のように)会員限定のサービスとして提供していれば、これほど大きな問題にはならなかったでしょう。

今回の件で、サイトの運営者を非難するのは簡単ですが、問題の本質はそこではないと思います。期間限定とは言え、インターネットで官報が公開されている以上、官報に掲載される個人情報の取り扱いについて、その法的な位置づけを明確にする必要があります。官報には、破産者の情報(破産法第10条)だけでなく、帰化による日本国籍の取得に関する情報(国籍法第10条)も掲載されるのですから。同様に、法令に基づく手続き等で必要となる「公告」や「告示」についても、掲載される個人情報の取り扱いについて、個人情報保護委員会等が明示する必要があるでしょう。

明確な根拠法が存在せず法制度として確立していない「官報」については、政府のあらゆる行為の根拠となる「法令の原本性の保証」という大きな問題も内包しています。デジタル社会に対応した「公告」や「告示」のあり方を考えた上で、制度として確立する必要があります。

関連>>官報及び法令全書に関する内閣府令
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324M50000042001


患者宅で治験、期間短く ネットでデータ送信
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42274680Q9A310C1TJC000/
スイスのノバルティスなど世界の製薬大手が海外で、患者宅での臨床試験(治験)に取り組み始めた。日本でも実用化が近づいていると。

オンライン診療の真の実力 便利さが患者の意識高める
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO40318340S9A120C1000000
私たちが目指すのは患者さんをエンパワーメントすること。日常の健康管理について、患者さん自身から積極的になってもらうと。

中国人が日本でワクチンを大量接種する訳
日本人の医療知識は世界で周回遅れ
https://president.jp/articles/-/27778
海外では、9つの型のHPV感染を抑える9価のガーダシル(ガーダシル9)が世界標準となっているが、日本にはいまだ4価のガーダシルしか導入されていない。接種するかしないかは、効果と副作用を天秤にかけ、本人が判断すればいいことだが、判断材料となる正しい情報が手に入らなければ、損をするのは日本人、それも若い世代の人たちであると。

「透析しない選択肢」も意思決定支援に必要
東京大学大学院人文社会系研究科上廣死生学・応用倫理講座特任教授の会田薫子氏に聞く
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/201903/560154.html
「透析療法を行わない=自然にゆだねる」選択肢では、医療行為を何もしないのではなく、透析療法以外の治療法、つまり、薬物療法や食事療法、生活管理を行って、QOLを優先した療養生活を送っていただくことを提案しています。その場合、穏やかな最終段階の実現のために、呼吸困難や高カリウム血症、吐き気・嘔吐などへの緩和ケアも必要ですので、それらのケアについても併せて解説していますと。

グーグルマップに不具合 ゼンリンとの契約変更か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4283088023032019EA5000/
グーグルに地図情報を提供してきたゼンリンとの契約変更が背景にあるのではないかとの観測が広がっていると。恐らくは、不具合が解消されていくスピードを見て、人々がグーグルの強さを再確認するのかな。日本の電子政府に必要な「重要な意思決定力とスピード」を、グーグルは備えているのでしょうね。
関連>>日本の Google マップが変わります!(近日公開予定)2019年3月6日水曜日
https://japan.googleblog.com/2019/03/GoogleMapsRefresh.html
地域のユーザーからのフィードバックというのは、とても大事なポイントですと。

ノルウェーの大臣が説く「補助金ゼロ漁業」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/031900010/
我々が最も重視するのは「持続可能性」。生産量を重視するあまり、生態系を崩したり、海洋環境が悪化したりする事態は最も避けるべき。生活の糧を得ている海を守ることが最優先と。

「日本語学校」の悲惨な実態、授業崩壊・入学翌日に失踪…
https://diamond.jp/articles/-/197557
日本語を一所懸命に教えようとしても、留学生も学校側も、それを望んでいないと。
ここまでひどくはありませんが、日本語学校に勤務する知人らの話を聞くと、確かに似たような状況にあるようです。私が参加する日本語教室には、学びたい意思がある外国人学習者しか来ませんが、「日本語ができないと良い仕事がみつからない」といった動機は多いですね。その一方で、「学習する言語として、日本語は面白い」という意見もよく聞きます。

準強姦で起訴の男性会社役員に無罪判決 地裁久留米支部
https://mainichi.jp/articles/20190312/k00/00m/040/099000c
Change.orgからの配信でニュースを知りましたが、毎日新聞なので信ぴょう性に疑問が。。判決文を読みたいところ。