エストニアの電子政府基盤を民間企業向けに作り変えたプラットフォーム

エストニアの電子政府基盤である「X-Road」や「Citizen ID」を日本向けに作り変えたプラットフォームを活用した事業について、プラネットウェイ社から発表がありました。
1 個人の許諾に基づくデータ利活用の促進(「攻め」)
2 個人データの護衛者たる人材の育成(「守り」)
の観点から「データ連携基盤である「PlanetCross」と個人認証基盤である「PlanetID」を共通基盤とし、特定のテーマのもと各社・団体と協力して、オープン・イノベーションによる新たなサービス開発を目的としたプログラム」と「ホワイトハッカーおよびセキュリティ人材の育成プログラム」の事業を開始するとのこと。
プレスリリースイベントの模様は、ASCII.jpやEnterpriseZineなどのメディアで紹介されています。
エストニア国家技術を使うスタートアップ  業界騒然! 一流企業9社プラネットウェイ発表会にずらり
http://ascii.jp/elem/000/001/674/1674213/
「Planet Eco(プラネット・エコ)」事業では、データ連携基盤「Planet Cross」と個人認証基盤「Planet ID」を使い、自社と他社のデータを連携させた新サービスを開発できる。
利用者が「医療情報を保険会社に公開してもいいですか?」というスマートフォンの通知を見て「はい・いいえ」を選択。データ連携により、面倒な書類のやりとりを電子化できるようになるサービスで、医療・ヘルスケア、不動産・スマートシティ、金融・フィンテック、自動車・シェアリングなどの分野をカバーする。
サイバーセキュリティ人材育成事業「Planet Guardians(プラネット・ガーディアンズ)」では、ホワイトハッカーおよびセキュリティ人材の育成プログラムを提供すると。
「データの主権を個人に」エストニア発の技術を日本展開するPlanetwayが事業発表
https://enterprisezine.jp/article/detail/10710
プラネットウェイ社のデータ連携基盤「Planet Cross」はエストニアの「X-Road」、同じく個人認証基盤「Planet ID」は「Citizen ID」を基に日本向けに作りかえたものであると。
自己コントロールを強化し、かつサイバーセキュリティ人材を育成するという方向性が、非常に建設的と思います。民間主導で進めて、公的機関や法律が追随せざるを得ない状況を作りたいものです。個人認証基盤「Planet ID」は、「Smart-ID」も含む感じでしょうか。
保険金請求、1カ月が数十分に 医療IT化 余地大きく
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28849770R30C18A3EA7000/
東京海上日動火災保険と米スタートアップ企業のプラネットウェイは病院と連携し、情報の秘匿性を保ちつつブロックチェーン技術で迅速に診療データをやり取りする実験に成功。将来的には秘匿性の高い個人の健康情報を病院間で共有して、病気を未然に防ぐ未病対策も進めやすくなると。プラネットウェイには、ジェアディス理事のラウル氏と石田氏が役員として参加しています。


「霞が関で働きたい人はいなくなる」官僚の長時間労働は“機能不全”な国会のせい
https://www.businessinsider.jp/post-166616
議員には質問通告時間の前倒しを求めたが、全議員に徹底されたとは言い難く、根本的な解決にはつながっていない。質問通告や資料請求の実態をより透明化すべきとした上で、「党議拘束の一部緩和(自由投票)を導入しても良いのではないか」と。
デジタル政府やオープンガバメントの流れを受けて、質問は3日前までと期限を定めた上で、オンライン質問のみ受付けるようにすれば良いでしょう。「オンライン質問受付システム」はインターネット上でオープンにして、どの議員がどのような質問をしたのかを国民が簡単に閲覧できるようにします。もちろん、期限が過ぎるとシステムが質問を受付けてくれません。ついでに、質問への回答も各省庁の職員が直接アップロードして誰でも閲覧できるようにすれば、国会の議論も円滑になり、より本質的な議論に集中できますね。
電子国家エストニアの衝撃【孫泰蔵】
http://diamond.jp/articles/-/165529
公的サービスの99%が電子化され、24時間年中無休で利用できる。そのため、行政の窓口が要らない。住民票の変更はパソコンやスマートフォンからアクセスして済ませる。面倒な確定申告についても、数分から15分程度で終わる。電子居住者になれば、エストニアで会社設立や銀行口座の開設ができるようになり、エストニアで会社を設立すれば、EU内で事業を行えると。
関連>>Jobbatical – International Job Opportunities
https://jobbatical.com
住みたい国や参加したいプロジェクトを求めて世界中を旅する「デジタルノマド」を支援し仕事を紹介するサービス。
Welcome to our digital nation, Payoneer
https://medium.com/e-residency-blog/welcome-to-our-digital-nation-payoneer-5fc1976f02de
E-ResidencyとPayoneer(ペイオニア:国際決済プラットフォーム)は、より多くのグローバル起業家がビジネスバンキングにオンラインでアクセスできるよう協力していると。E-Residencyにとって、法人銀行口座の開設は依然としてハードルが高いままですが、ビジネス用途で利用できる金融サービス(フィンテック)は増えています。銀行がもたもたしているうちに、法人銀行口座の開設は不要になるかもしれませんね。
関連>>Payoneer Japan
https://www.payoneer.com/ja/
Holvi for e-residents
https://about.holvi.com/e-residents/
デンマークのデジタルヘルスをめぐる動向(2)
遠隔医療・遠隔リハビリの展開-小規模実証実験から全国導入への道のり
http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/report/newsletter/2018/no18-007.html
eヘルス先進国とされるエストニアも、遠隔医療・遠隔リハビリの導入はあまり進んでいないようです。デンマークの事例は参考になりますね。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の呼吸リハビリは、タバコを吸うのが普通であった世代が後期高齢者になる中で、日本でもニーズが高そうです。


第2回 医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループ 平成30年5月10日
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205365.html
医療等分野の識別子(ID)の仕組み、全国保健医療情報ネットワークの主な検討課題と議論の方向性(案)、全国保健医療情報ネットワークと保健医療記録共有サービスの課題と対応(案) など。厚労省は、識別士として被保険者番号を用いることが望ましいのではないかと。
相変わらず「見える番号、見えない番号」といった不毛な議論が続いているようですね。過剰な要件を課して使いにくいものを作るのであれば、医療等分野の識別子(ID)は作らない方が良いでしょう。
「医療情報の利活用に当たって、最も注意を払うべきリスクは、医療情報が個人が識別される形で漏洩するリスクである。」とありますが、本当にそうなのでしょうか。。
全国保健医療情報ネットワークの主な検討課題を見ると、エストニアの医療情報交換基盤の優位性がよくわかりますね。
関連>>次世代医療基盤法の施行について 平成30年5月11日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/jisedai_kiban/houritsu.html
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号)に関する基本方針が4月27日(金)に閣議決定され、当法律は5月11日(金)に施行されました。
自らが受けた治療や保健指導の内容や結果を、データとして研究・分析のために提供し、その成果が自らを含む患者・国民全体のメリットとして還元されることへの患者・国民の期待に応え、ICTの技術革新を利用した治療の効果や効率性等に関する大規模な研究を通じて、患者に最適な医療の提供や新産業の創出を実現する。
匿名加工医療情報とは、特定の個人を識別することができないように医療情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該医療情報を復元することができないようにしたもの(「一般人又は一般的な事業者(一般的な医療従事者)をもって具体的な人物と情報の間に同一性を認めるに至ることができるか」により判断される)


漫画村は日本だけの問題ではない、世界を覆うブロッキングとデータ保護主義
http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/00421/
自国民の個人情報保護を目的とするデータローカライゼーションも、実は自国の体制維持や産業保護が真の目的であることが珍しくないと。
漫画家・赤松健さんに聞いた、「海賊版サイトをつぶす唯一の方法」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/11/news026.html
海賊版サイトが追い打ちをかけて「もうコミックを買わなくていいんだ」という常識ができてしまったのは問題。海賊版サイトをつぶす唯一の方法は、出版社横断の公式で便利な漫画プラットフォームを提供すること。これまで育ててもらった出版社や編集者、コミックを買ってくれた読者への恩返しをしたいので、これからも漫画業界のために活動を続けていくと。マンガへの愛と感謝があふれる提言ですね。
「所有できない電子書籍」問題 サービス閉鎖後、購入者はどうなる?
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1805/01/news073.html
「長期間持っておきたい本は紙で、そうでなければ電子書籍」のような使い分けが確実そうと。個人的には既に「電子書籍は読むもので所有するものではない」と実感しているので、読み放題サービスの拡充に期待してます。
Netflixがカスタマーを誰よりも理解するためのデータ分析プロセス
コンシューマー・サイエンスの紹介
https://qiita.com/KanNishida/items/12f9ae0cee98fd54b0bb
電子政府関係者が学ぶべき点の多い民間サービスの一つがNetflixです。
何がカスタマーを喜ばせるのかを理解するために、既存のデータをもとにした分析やフォーカス・グループやインタビュー、アンケートなどを使ったクオリテイティブ(質的、Quantitative/定量的の逆)な分析から仮説を構築し、そこから出てきたたくさんのアイデアのどれが正しいのかをA/Bテストをして検証すると。
CRYPTREC暗号技術ガイドライン(SHA-1)改定版の公開 平成30年4月27日
国立研究開発法人 情報通信研究機構、独立行政法人 情報処理推進機構
http://www.cryptrec.go.jp/topics/cryptrec_20180427_eval_gl_2001_2013r1.html
現状、実運用環境においては SHA-1の継続利用を避けることが互換性維持の観点から現実的な選択肢ではない場面も想定されるため、CRYPTREC 暗号リストの電子政府推奨暗号リストにおいて補助関数として SHA-1を用いる場合(ただし、擬似乱数生成系を除く)に、互換性維持の目的であれば継続利用が容認されるかどうかを示す。SHA-1の危殆化に関する背景と参考情報も紹介しています。
SSL/TLS暗号設定ガイドライン~安全なウェブサイトのために(暗号設定対策編)~
2018年5月8日 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター
https://www.ipa.go.jp/security/vuln/ssl_crypt_config.html
「様々な利用上の判断材料も加味した合理的な根拠」を重視し、実現すべき安全性と必要となる相互接続性とのトレードオフを踏まえたうえで、実際に設定すべき「要求設定項目」として3つの設定基準(「高セキュリティ型」「推奨セキュリティ型」「セキュリティ例外型」)を提示していると。さて、個人HPの設定をどうしたものか。
“サイバー対策先進国” エストニアに防衛省職員派遣へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180506/k10011428911000.html
今後、防衛省から職員を派遣し、サイバー分野での協力関係を強化していくことで一致したと。
関連>>Guardtime joins cybersecurity tech accord
https://e-estonia.com/guardtime-joins-cybersecurity-tech-accord/
個人情報を守りすぎても弊害が?EU新法案で優良サイトが閉鎖する事態に
http://www.appps.jp/291897/
「違反基準が曖昧」で、サービスが違反しているかどうかもわからないリスクを背負った状態で存続させる事ができず、閉鎖を決定したと。
生徒の健康情報を装着型端末で管理 広島叡智学園「齟齬があった」と謝罪
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180507-00000018-jct-soci&p=1
「(ウエアラブル端末の)導入の適否も含めて現在検討中」と前置きしたうえで、(1)希望者のみ購入してもらう(2)生体データは学校側が強制的に取得することは無いと。まあ、普通に考えればそうですよね。
SNS等を活用した相談体制の構築に関する当面の考え方(最終報告)
平成30年3月28日 いじめ防止対策協議会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/131/houkoku/1404563.htm
平成30年以降行う相談の実施に際して留意すべき点について、即応性が求められるSNS等を活用した双方向による相談の仕組みを示しています。相談体制の在り方、緊急時等の具体的な対応要領、相談システム、民間団体等との連携・協力、その他の留意点など。
児童生徒が安心して相談できるように、相談内容等のプライバシーが確実に守られることを明確に示すことが必要であると。
全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)
パブリックユースデータ(擬似データ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/1404609.htm
調査結果の統計的性質を一部保存した上で、集計表の統計量から乱数を発生させて作成したデータ。これらのデータは教育目的等のため試行的に、自由にダウンロードして利用できますが、導かれた結果は実証研究の結果とみなすことはできません。
薬局で「オンライン診療」はじめました
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/emi/201805/555928.html
無料の公的医療が充実しているカナダでは、医師不足が問題で、クリニックや救急病院での待ち時間が長く、「お金を払ってでも早く診てもらいたい」ニーズがある。Mapleというグループは、週7日24時間、いつでもオンラインで医師に診察してもらえるサービスを提供していると。薬局のカウンセリングルームに、このオンライン診療のシステムを導入したところ、オンライン診療のために来る患者さんが増えたというのが面白いですね。
メンタルの不調をアプリで改善する
「こころの健康」にフォーカスした海外スタートアップ事例
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/column/15/374506/050800009/
Meru Health社は、認知行動療法に基づくアプリで、8週間のプログラムを提供していると。
疑惑のデパート財務省が「歳入庁」創設で狙う権力奪還
http://diamond.jp/articles/-/169400
徴税を担当する国税庁を分離させ、年金や健康保険などの社会保険料の徴収をセットにした「歳入庁」を創設するという議論が巻き起こっている。今や国家予算の半分を占める厚労予算を扱う財務官僚は、省内でも超エリートで、彼らは「財務省厚労族」と呼ばれていると。