電子政府のレガシー問題解決に必要な「既存の枠組みからの脱却」

システム刷新に失敗した京都市、ITベンダーと契約解除で訴訟の可能性も
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/101101158/
置き去りにされているのは、このトラブルで行政サービス向上を期待通りに享受できなくなった京都市民であると。
関連>京都市大型汎用コンピュータオープン化事業検討委員会 調査報告書
http://www2.city.kyoto.lg.jp/shikai/img/iinkai/soumushoubou/data/290703souki02.pdf
これは、いわゆる「レガシー」問題で、日本の次世代電子政府を考える上で、非常に重要な意味を含んでいるので、整理しておきたいと思います。
雑誌「日経コンピュータ(2017 9/23)」の「動かないコンピュータ」によると、
・81億円投じた基幹系刷新に失敗
・バッジ処理が移行できず、予定の2017年1月4日に稼動できなかった
・現行の基幹系システムはNECのメインフレーム上にCOBOLで構築
・1986年から福祉、税、住民基本台帳など18業務を処理
・端末数は約1500台、帳票類は400種類
・システムの老朽化に伴い、2013年度にオープン化計画を策定
・オープン化は2014年度からの4年計画
・総事業費は94.6億円
・オープン化で年間4-5億円程度の運用費削減を見込む
わかりやすく言えば、
・景気がよく経済が成長する頃に始めた事業が
・当初は黒字だったものの
・景気の縮小と共に赤字事業となり
・時が経つごとに赤字規模が拡大し
・これ以上の赤字拡大は耐え切れないと考えて
・少しでも赤字を縮小しようと計画を立てた
ということです。ここで重要なのは、「赤字事業の廃止を決定しなかった」ということです。
「レガシー」問題は、内部の事情を知っていれば知っているほど、問題の根本解決が難しくなります。現状の枠組みの中で思考・判断し、「赤字事業の廃止はできない(不可能である)」としてしまうからです。
大規模(レガシー)システムの運用コストについては、電子政府という言葉が使われ始めた頃から問題となっており、国の情報システムにおいては「業務・システム最適化」という名目で解決しようとしてきました。
具体的な方法として、次の4つがあります。
1 汎用パッケージソフトウェアの活用
2 システムのオープン化
3 データ通信サービス契約の見直し
4 府省共通の業務・システムの一元化
今でこそ、多少は良くなりましたが、基本的には日本の電子政府は「お金持ちの道楽」みたいなものです。
こんなことを言うと、関係者から反論があるかもしれませんが、日本の電子政府は、エストニア政府の年間IT関連支出「70-80億円」をはるかに超える年間運用経費の大規模レガシーシステムをたくさん抱えています。
例えば、厚労省のハローワークシステムの2013年度運用経費は約472億円で、がんばって2年で34%ほど削減しましたが、削減後でも毎年317億円の運用費がかかります。
その他、削減後(2015年度)の運用費で見ても、
・記録管理・基礎年金番号管理システム:201億円
・年金給付システム:327億円(削減未定)
・国税総合管理システム:205億円
・登記情報システム:141億円
・特許事務システム:107億円
となっており、毎年エストニアの電子政府を50-100個ぐらい作れる費用が、国のシステムの「運用経費」として使われています。そして、「運用経費」の大半は、大規模レガシーシステムによるものです。
以前、エストニアの元政府CIOであるコトカ氏に、日本の電子政府に対してアドバイスを求めたところ、返ってきた答えは「get rid of legacy(レガシーを取り除け)」でした。これは、情報システムだけでなく、文化や習慣なども含めてのものと思いますが、「レガシーからの脱却」は、日本の次世代電子政府を考える上で、依然として避けては通れない問題であり、いまだ解決していないのです。
京都市の人口は147万人とエストニアより15万人多く、予算規模も5000億円ほど多い(特別会計を含む)です。なので、個人的には、7-10年の計画で業務改革を伴う新しいITシステムを確立するのが良いと思います。一つのやり方としては、バーチャルな京都市システムを新しく作り、そこに業務を見直したものから少しずつ移行していくというものです。仮想空間の活用が、次世代電子政府の重要な鍵となります。
もともと「お金持ちの道楽」ができない小規模な自治体(町村)では、すでに基幹系業務も含めて、民間クラウドを活用した共同利用へ移行するところもあります。
京都市が、本当にレガシー問題を解決したいのであれば、現行の業務を維持しながらも、詳しい事情を知らない人の支援を受けて、ゼロベースで「既存の枠組みからの脱却」を目指す必要があります。そこで必要となるのは、「捨てる技術」です。一度、既存の枠組みから脱却し、新しい枠組みの中にゴールを設定することができれば、その新たなゴールを達成するための道(方法)が見えてきます。新たなゴールの達成を支援してくれる人も見つかります。その過程を高い透明性で実行できれば、「できない」と考えていた人たちを含めて、より多くの支援を受けることができるでしょう。


マイナポータルアプリケーションのリリースについて
http://www.cao.go.jp/bangouseido/myna/index.html
・マイナポータルを利用するためのアプリケーションソフトウェア「マイナポータルAP」を、平成29年10月7日にWindowsパソコン及びAndroidスマートフォン向けにリリース。
・マイナポータルAPを用いることにより、子育てワンストップサービス(ぴったりサービス)における電子申請を行う際、電子署名の付与を行うことができるように。
・マイナポータルAPをインストールすることにより短時間で簡単に利用者環境の設定が行えるよう、順次、利用者環境の改善を予定。
関連>>Java環境なしでマイナンバーカード利用可能に、内閣府がアドオン提供
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/100302391/
内閣府、情報連携の本格運用で940の事務手続きの添付書類が省略可能と公表
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/100302387/
「マイキープラットフォーム」の登録方法を解説!
マイナンバーカードの「自治体ポイント」を使うなら
自治体の図書館などで「マイキーID」を作成しよう!
http://diamond.jp/articles/-/144924
「マイキーID」とは、「マイキープラットフォーム」にログインするIDのこと。ICカードリーダライタを持っていない場合は、「マイキープラットフォーム」が導入されている自治体の図書館などで、マイキーIDを作成できると。
要件定義でモメないための発注者「5つの決め事」
http://diamond.jp/articles/-/143840
(1)企業や組織にどんな課題があるのかを確認する(IT導入の背景と目的)
(2)それを達成するために業務をどう変えるのかを考える(業務要件定義)
(3)そこにどんなITシステムが役立つのかを検討する(IT化の方針)
(4)さまざまな条件を考慮する(IT化の前提と制約)
(5)具体的にどんなシステムを導入するのかを決める(システム化要件)
の順番で進めると。たいていの問題は、ITを活用しなくても解決できるんですよね。
「貧困の下」に陥りかねない外国人の子どもたち、急がれる教育支援
http://diamond.jp/articles/-/144818
これからの日本を考える上で、もはや移民を避けて通るわけには行かない。社会的サービスの対象者の中に、日本語を母語としない人を位置づけてほしいと。
米、社会保障番号に代わる身元確認方法を検討 個人情報の漏えい相次ぎ
http://www.afpbb.com/articles/-/3145459
米国では長年にわたり、社会保障番号が銀行口座の開設やクレジットカードの申し込みの際の身元確認に使われてきたが、社会保障番号が盗まれると、偽の銀行口座の開設をはじめとするなりすまし犯罪に悪用される恐れがあると。今どき、こんな間抜けなシステムを先進国で採用しているのは、米国ぐらいでしょうね。
ブラック企業!オリンピックのスポーツファーマシスト募集要項がひどすぎる
アンチ・ドーピングの解説書
https://mettagiri.com/black/
官製ブラック企業も、ついにここまで来たか。。
HTML文書は文字エンコーディングUTF-8でなければなりません
http://momdo.hatenablog.jp/entry/20171008/1507462678
IT総合戦略本部のウェブサイトが文字化けするのは、HTMLエディタの文字コード指定がUTF-8になっていないからかもしれませんね。
関連>>IT総合戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/index.html
自治体での課題解決を通じ企業のリーダー人材育成
Code for Japanがコーポレート・フェローシップの募集説明会
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/report/092600073/
課題にアプローチする力や発想力、瞬発力はあっても、事業として持続させるには人材などのリソースが不足している地域が多いのが実情。企業とのコラボレーションが必要と。
進まないマイナンバーの収集、課題は不信感の払拭
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/100201146/
非課税で投資信託や株式に投資できるNISA口座の利用者に義務付けられているマイナンバーの金融機関への届出が進んでいない理由の一つに、マイナンバーへの誤解や不信があると。本人からの届出を待たずに、金融機関側で行政から取得して紐付けすることを法律で義務付ければ良いだけの話。どうして日本は、こんなくだらないことにコストをかけるのでしょうか。
中韓通貨スワップが終了 韓国の延長要求、中国拒否か
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171011-00000062-asahi-bus_all
韓国は延長を求めていたが、米軍の高高度迎撃ミサイルシステムの韓国配備を巡って両国関係が冷え込む中、中国が期限内に応じなかったと。要注意ですね。
関連>>中韓スワップ協定が満期で終了。いざという時、韓国を救う国なし!?
http://diamond.jp/articles/-/145268
さすがに韓国がベネズエラより早く通貨危機となることはないでしょうが、北朝鮮に近い大統領がいることもあり、世界の金融市場では「要注意」とされているのかもしれないと。
第8回 シェアリングエコノミー検討会議 平成29年9月29日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/shiearingu/dai8/gijisidai.html
シェアリングエコノミー推進プログラムの進捗状況、関係省庁・企業(消費者庁、総務省地域力創造グループ、総務省情報流通行政局、経済産業省、環境省、北海道天塩町、パソナ)からの提出資料など。個人的には、初期投資が回収可能な収益性を前提とした「マッチングビジネス」とは、基本的な考え方からして異なると思うので、「シェアリングエコノミー」という言葉があまり好きではありません。
モバイルビッグデータを活用した「テレワーク・デイ」の効果検証
平成29年10月13日 総務省、ドコモ・インサイトマーケティング、KDDI、ソフトバンク
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000185.html
テレワーク・デイ当日の10時台に人口が減少した東京23区内の500mメッシュを比較すると、1位は豊洲、2位は浜松町、3位は品川。豊洲周辺(1.5kmメッシュ)の人口減は最大約4,900人(10%減)となり、特に40歳代男性の人口減が顕著であったと。
KDDIの資料によると、主な非特定化処理および秘匿処理は次の通り。
1 生活圏内の行動履歴の秘匿化:必要最低限の範囲のみ抽出)
2 個人識別子の秘匿化:1日毎にIDを変更
3 位置情報の秘匿化:位置情報は地域メッシュに加工
4 少人数の秘匿化:個人特定性を配慮し、一定数以下を非表示化とする
「「次世代学校ICT環境」の整備に向けた実証(スマートスクール・プラットフォーム実証事業)」に係る提案公募の結果 平成29年10月13日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000107.html
「教育クラウド・プラットフォーム」や、これら授業・学習系システムと校務系システムの連携システム「スマートスクール・プラットフォーム」を学校現場において円滑に活用するための基盤となる、次世代学校ICT環境整備の在り方を整理することを目的とした実証事業。16団体から提案があり、5団体を採択。学校ICTにも、AIとブロックチェーン技術の試験的な採用が進みそうです。
世界の学校体系(ウェブサイト版)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/detail/1396836.htm
公的な資料を基に、教育の普及状況、教育行政制度、学校体系、取得可能な資格・学位などを国別に整理してPDFファイルで提供しています。日本に関係が深いアジアでは、高等教育の在籍率が低い国も多く、来日している外国人は高学歴の人が多いことがわかりますね。
興味深いのは、国際競争力の高い国では、就学前教育の在籍率が100%に近い一方で、高等教育の就学率はあまり高くないということ。これは、「とりあえず大学へ行く」ということが無いように、中等教育における職業教育訓練が充実しているということでしょう。費用対効果の高い教育投資の一つのあり方だと思います。
「核のゴミ」処理問題を解決!?原発に一石投じたベンチャーの正体
http://diamond.jp/articles/-/142890
次世代のトリウム熔融塩炉の特性を存分に活かした「RinR」(Reacter in Reacter/炉の中の炉)というミニチュア炉により、処理工程を既存の軽水炉で実施・立証できる。今稼働中の原子炉は、全機が軽水炉の第2、第3世代型で、主役は第3プラス世代が中心。世界の目はすでに第4世代に移っていると。東日本大震災を経験した日本こそ、「原発ゼロ」といった思考停止に陥ることなく、次世代エネルギーの研究開発を進めて欲しいと思います。
納税環境整備の目指すもの - 韓国・ホームタックスからの示唆
https://tax.tkfd.or.jp/?post_type=article&p=533
年末調整は必要か、利便性向上の見える化、所得捕捉の重要性、地方住民税の現年化について、論点を整理しています。次世代電子政府の観点から言えば、「税の透明化」という視点も追加したほうが良いでしょう。