今後の電子政府の試金石になる「マイナポータル」の改善

マイナンバーによる「書類手続き簡素化」と「マイナポータルの本格運用」が延期されるそうです。
 
書類手続き簡素化、10月に延期 マイナンバー使用 :日本経済新聞
窓口での混乱を防ぐため一定の時間が欲しいとの声が地方自治体から寄せられたほか、システムの使い勝手の改善に時間がかかるため、書類手続き簡素化と「マイナポータル」の本格運用を7月から10月ごろに延期すると。
 
日経BPでも取り上げています。
 
マイナポータル本格稼働が3カ月延期へ、使い勝手や「Java必須」を改善:ITpro
ロードマップでは改善の方向性として「パソコン向け専用アプリを開発。このアプリのみインストールすれば、準備完了」にする。Windows版アプリを2017年10月ごろ、Mac版は2018年4月以降にリリースすると。
 
 
マイナポータルは「政府(政治家)のやりたいこと」としての優先度は高いかもしれないが、現在の日本の省庁や自治体には、エストニアのようなポータルを実現するためのITガバナンス(セキュリティを含む)が確立されておらず、技術的・制度的・(人的資源を含む)財政的にも、マイナポータル構築・運用の準備ができていない。
 
と理解しています。ですから、今回の延期決定は良いことと受け止める一方で、3ヶ月という延期期間の短さを心配しています。電子政府コンサルタントの立場から言えば、マイナポータルについては少なくとも2-3年の猶予を持たせたスケジュールの見直しを行う必要があると考えています。
 
まずは、
1 マイナンバーカードの仕様等を公開し、民間利用を推奨するための双方向性のあるインフラ(テスト環境等)を整備する。
2 国および自治体が参加する情報提供ネットワークによる情報連携の効果を検証する。
 
を実行した上で、マイナンバーカードや公的個人認証の民間ニーズを見極める必要があるでしょう。モバイルIDについても、オープンを基本に進めることが必要です。
 
関連ブログ>>マイナンバーカードの受け取りで気になったこと、今後は普及に向けた開発環境の整備を
 
 
政府の公式発表も見ておきましょう。
 
マイナンバーカード利活用推進ロードマップ等
平成29年3月17日 総務省、内閣官房
マイナンバーカードの利便性を高める取組を分かりやすく発信するため、新たに「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ」を策定するとともに、「情報連携」や「マイナポータル」の本格運用のスケジュールについて、住民の皆様にとってより使い勝手がよくなるよう整理しましたとあります。マイナポータルの初期設定は、エストニア方式に近いでしょうか。
 
関連ブログ>>日本の電子政府サービスが「時代錯誤」にならないために
 
 
ロードマップの方向性は
 
1.マイナンバーカード・公的個人認証サービス等の利用範囲の拡大
2.マイナポータルの利便性向上
3.アクセス手段の多様化
 
となっています。しかし、より本質的な話を言えば、今後2-3年をかけて、マイナンバーを社会保障・税番号として社会に浸透させて国民の信頼を得ていく中で、中途半端な秘密主義から脱却したより使いやすいマイナンバーへと制度変更を行うことが、何より大切です。
 
何かと問題の多い日本年金機構でもマイナンバーの利用が始まっています。来年からは、預貯金口座へのマイナンバー利用も始まります。「医師資格(HPKI)との連携」もありますが、HPKIが無くても仕事に支障が無い状況が続く限り、全くゴールは見えません。
 
今のままでは、総務省を中心とした「やりたいことリスト」が増えていくばかりで、手段が目的化していく様子を国民は見守るばかりです。
 
とは言え、「マイナポータルの改善」が、今後の電子政府の試金石となるのは間違いありません。
 
これは改善した結果だけでなく、「本格運用を延期して、新しい方法を短期間で導入し実行する」という意思決定やそこへ至るプロセスを、高く評価するべきということです。10月の本格運用も「ベータ版の運用開始」と考えて、地道なABテストを回していくのが良いと思います。
 
「マイナポータルの改善」で得られた知見、スピード感や柔軟性が、モバイル電子政府の構築にも生かされることに期待します。
 

 
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デジタルガバメントアイディアボックス2017
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マイナンバーカードの電子署名機能については、
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日本銀行金融研究所
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自民党のIT・フィンテックのキーマン平井議員インタビュー
「フィンテックの法律はセキュリティ・バイ・デザインでつくる」
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