つぶやき電子政府情報(2014年5月13日):「しんせつ(親切・新設)」窓口(会津若松方式)の可能性

タブレット等を活用した「しんせつ(親切・新設)」窓口(会津若松方式)を開設しました 2014年5月2日 | 会津若松市
http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2014022700037/

タッチパネル受付サービス、タブレット受付サービス『ゆびナビシステム』、プッシュ型行政サービスを開始。対象(者)、申請できるもの、持ってくるもの、注意点など。サービスのデモンストレーション動画(2-3分で説明字幕付き。音声説明があると、さらに良いですね。)もあります。

関連>>タブレット活用 迅速に住民票など発行 会津若松市 | 河北新報オンラインニュース
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201405/20140509_61025.html
OSSオフィスソフトの普及・啓発活動 | 会津若松市
http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2008021400166/
便利なコンビニ交付をご利用ください | 会津若松市
http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2008111300024/

タブレット受付サービスでは、タブレット端末を利用して住基システム情報を無線で受信し、このデータを使用して窓口職員がお客様にかわって申請書を作成。職員がタブレット端末の画面をお客様へお見せしながら、必要な証明書の申請を聞き取り、タブレット端末へ入力していく。お客様は入力が完了したタブレット端末へ、手書き署名をするだけで、申請書を記入する必要がなく証明書を受け取ることができると。

さらに、プッシュ型行政サービスとして、タブレット端末を持つ職員がお客様の申請内容を聞き取りした際に、利用可能なサービスをタブレット端末へ表示し、職員が能動的に情報をお客様へ提供すると。現在は高齢者や障がい者、お子様を中心としたサービス情報を表示する段階ですが、今後の運用を経て、様々なサービス情報を提供していきたいと。

「しんせつ(親切・新設)」窓口(会津若松方式)は、「タブレット端末」という新しい機器の登場などが背景にありますが、「人が仲介する窓口サービス」というのは、実はかなり以前から存在します。

と言うのは、世界を見渡せば、現在の日本ほど識字率が高い国ばかりではないからです。つまり、無視できない割合で「申請書に必要事項を記入できない」国民・市民がいるので、そうした人たち向けに「口頭での申請・届出等」の受付サービスを提供しているのですね。

いわゆる「代書」ではないので、受付を仲介する職員は、行政の情報システムに直接データを入力したり、既に登録されている個人情報を閲覧・利用することができます。「「窓口で受付するけど、実際には電子申請システムで処理される」といったこともあります。

現在では、新興国はもちろん、発展途上国でもインターネット対応の端末(携帯電話等)が普及してきたので、「口頭での申請・届出等」受付サービスの役割も変わってきます。電子政府先進国を見れば、日本のように紙の証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍事項証明書等)が必要な場面は急速に減少しており、必要に応じてオンラインで登録データを直接確認するケースが増えています。

日本がデジタル社会へと移行し、本来の電子政府のメリットを享受するためには、「紙の証明書(莫大なコストが伴う)」が「単なる印刷物(コストは印刷代のみ)」になり、オンラインでデータを確認するための「きっかけ」になっていく必要があるでしょう。

それでは、タブレット等を活用した「しんせつ(親切・新設)」窓口(会津若松方式)は、あまり価値が無いものなのでしょうか。

たしかに、「そもそも、紙の証明書を減らすべきだ」と考える人から見れば、単なる新しいもの好きの奇策のように見えるかもしれません。

関連ブログ>>コンビニ証明書交付サービスは本当に必要か
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/02f3fda4b95e9de6ce9ea124d048118b

しかし、「しんせつ(親切・新設)」窓口(会津若松方式)には、次のように3つのメリットと可能性があります。

1 住民視点の情報共有(業務フローの見直しを含む)
2 機動力の高い行政サービス
3 対話による気づき

役所内部が縦割りのまま「住民視点での情報共有(業務フローの見直しを含む)」ができていないと、窓口職員が顧客(市民等))に代わって申請書を作成することも、利用可能なサービスをタブレット端末に表示して、顧客にサービスを提案することもできません。「住民視点での情報共有」やバックオフィス連携は、電子政府の基本であり、総合窓口の実現にも欠かせないものです。

関連>>インテリジェント型総合窓口|粕屋町ホームページ
http://www.town.kasuya.fukuoka.jp/gyosei/yakuba/chosha/sogomadoguchi/

「機動力の高い行政サービス」は、無線機能を搭載した視認性の高いタブレット端末の登場によって可能になります。「機動力の高い行政サービス」では、「受付窓口に市民が並ぶ」ではなく、「市民に合わせて職員が動く」ようになり、個々の職員が状況に応じてすばやく行動できるようになります。少子高齢化が急速に進む日本では、徹底した機械化・自動処理を進めると共に、「機動力の高い行政サービス」が求められる場面が増えていくでしょう。災害等の緊急時・非常時にも、「機動力の高い行政サービス」は有効ですね。

「対話による気づき」は、問題の早期発見につながり、結果として行政コストも低減にもなります。一人ひとりの市民が市町村役場の窓口に来ることは、それほど多くありません。貴重な市民との接触機会を「対話による気づき」として活用すれば、「そもそも証明書が不要なのではないか」「別の手続が必要なのではないか」といった発見も可能です。

予防医療に力を入れることで、全体としての医療費の低減を実現した自治体があります。それと同じように、各種社会保障サービスはもちろん、他の行政サービス全般において、問題の早期発見による予防策・対応策が、市民サービスの向上と行政コストの削減をもたらす可能性があります。

 
このように、「しんせつ(親切・新設)」窓口(会津若松方式)には、今後の行政サービスのあり方を示唆する、様々な可能性を秘めています。検証と改善を繰り返しながら、サービスを育てていって欲しいと思います。


戸籍情報の業務目的外閲覧等にかかる自己申告調査の中間とりまとめについて
2014年5月9日 大阪市 市民局
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/shimin/0000266170.html
平成26年2月に大阪市職員が業務とは関係なく、戸籍情報システムを利用し、勤務時間中に複数の戸籍情報を検索・閲覧していたことが判明したことを踏まえて、戸籍情報の業務目的外閲覧等にかかる実態を解明するための調査を実施。まずは、自己申告調査を行い、その結果を中間とりまとめとして報告。今回の自己申告調査で、一部の職員が「興味本位」等自己の都合といった理由から戸籍情報にアクセスしていたことが明らかになったと。
今後は、自己申告事例以外の事例の有無を確認するため、戸籍情報へのアクセス履歴を基にした調査を実施するなど、戸籍情報の業務目的外の閲覧等の全容を解明し、改めてその結果について公表する予定。
関連>>戸籍情報への業務外での不正なアクセスについて(2014年2月24日)
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/shimin/0000256102.html

調査結果を見ると、自己都合での「閲覧」だけでなく「出力」もあり、こうなると窃盗罪の可能性もあります。また、「操作研修」の名を借りた「興味本位の覗き見」があった可能性も否定できず、問題は深刻ですね。

マイナンバー制度の本格的な導入・運用の前に、こうした膿は全部出しておく必要があると思いますが、全ての自治体や行政機関等の実態が明るみになると、マイナンバー制度が運用前に廃止されるかもしれません。

大阪市だけの問題をせずに、政府全体で取組むべき問題と言えるでしょう。

関連ブログ>>国民IDは政府による監視社会を招くのか
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/bd87027baec8e1808ed58b11b22d13d9
これは作者の想像なので、冗談話と思って聞いて欲しいのですが、行政の人間の中には、国民データベースマニアがいて、個人的に個人情報データベースを作っているのではないかと思います。今でこそ、行政内部においても個人情報の閲覧や外部持ち出しが多少は制限されるようになりましたが、基本的には行政内部の人間が個人データにアクセスすることは、外部から不正アクセスするよりはずっと簡単です。
そういう行政内部の人が、個人的な趣味でデータを持ち帰り、他で取得した情報と混合し、「芸能人データベース」や「高校同級生データベース」などを作っていても、発覚する可能性は非常に低いでしょう。こうした行為を未然に防ぐためには、公務員にIDを付与して、業務上の活動を管理・監視することが有効です。

 

「姿を現し始めた「共通語彙基盤」 ~オープンデータをはじめとする電子行政サービスの基盤構築へ~」開催のご案内
http://goikiban.ipa.go.jp/node/20140501/
IPAが進める「共通語彙基盤事業」のツール群を、実際にどの様に活用するか、語彙基盤はどのように役に立つのかなどを、デモや現場の声なども交えて紹介しますと。2014年6月6日13:00から。津田塾大学 津田ホール(千駄ヶ谷)にて、参加費は無料。
関連>>共通語彙基盤プロジェクトについて | Open DATA METI
http://datameti.go.jp/goikiban

「認定個人情報保護団体の認定の申請等の手続についての指針」の改正案に対する意見公募について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595214015&Mode=0
近年の事業活動等のグローバル化に伴い、個人情報が頻繁に国境を越えて移動する状況下で、越境個人情報の保護が大きな課題になっていることを踏まえ、アジア太平洋経済協力(APEC)が、企業等の越境個人情報保護に関する取組に対してAPECプライバシー原則への適合性を認証することを目的とした、越境プライバシールールに定めるアカウンタビリティ・エージェントの業務を併せて実施する場合、第4条及び第5条において、当該アカウンタビリティ・エージェントに係る業務の認定の申請手続について定める。

「平成26年度オープンデータ調査研究事業」の事業実施協力団体の公募について
地方公共団体情報システム機構
https://www.j-lis.go.jp/kenkai/opendata/opendata_h26koubo.html
市町村におけるオープンデータの推進を目的に、市町村がオープンデータに取り組む際の課題や解決策を整理する調査研究を行うにあたり、課題や解決策の整理を行う調査研究に協力してくれる市町村を募集しますと。350万円を限度とし、5市町村(グループ)に助成。提案書の提出期限は、平成26年6月2日(月)17時必着。

番号法は個人情報保護法制の集大成、保護の専門機関の意義は大きい
特定個人情報保護委員会 委員長 堀部 政男氏
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140416/550883/
マイナンバー法は、個人情報保護法を基盤とした特別法として保護を手厚くするのに、プライバシー・バイ・デザインなどの国際的な考え方を組み込んで策定されました。社会保障と税、災害の分野に限られてはいるものの、発想・制度の観点では、世界の標準的な個人情報保護制度と遜色のないものになっています。分野は限られますが、個人情報保護法制の集大成ですと。

Open Data Barometer
http://www.opendataresearch.org/project/2013/odb
世界各国のオープンデータ政策と実践・普及について、3つの視点(準備、実装、実際の影響)で評価するプロジェクト。下記のページで地図上の国を選択すると、その国の状況が「見える化」されます。英国(1位)と日本(14位)を見比べると・・・
http://theodi.github.io/open-data-barometer-viz/
関連>>『官報』のオープンデータ化、改善を求める要請について
http://kanpoo.jp/20140319_opendata.html

 
7 Things to Know About the White House Big Data Report
http://www.govtech.com/7-Things-to-Know-About-the-White-House-Big-Data-Report.html
米国でも、リスクを最小限に抑えながら、官民がビッグデータのメリットを最大化する方法を模索中。ビッグデータに関する米大統領府の報告書で知っておくべき7つのポイントと6つの政策提言を紹介しています。
7つのポイントをまとめると、ビッグデータは避けられないもので、国家の重要資源であり、政府のあらゆるレベルにおける変革をもたらし、プライバシー改革と共に、カスタマイズ学習の新時代へと導く。ビッグデータを育てるためには人材や投資が必要で、市民の権利への配慮も必要。こんな感じかな。
関連>>ビッグデータに関する米大統領府の報告書、プライバシー保護の強化を提言、NSAには触れず
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/IDG/20140507/554862/
ビッグデータとプライバシー:オバマはシリコンバレーを敵に回さない
http://www.huffingtonpost.jp/kazuhiro-taira/post_7500_b_5265294.html
日本では、ビッグデータとプライバシーの論点が、情報漏洩、なりすまし、などの文脈で取り上げられることが多いが、報告書では現実的な被害が発生するケースとして「不正確なビッグデータの分析による間違ったプロフィールが作成されてしまう問題」を指摘すると。例えば、就職やクレジットカードによる信用付与などの場面で、〝差別〟という形での実害を発生させることになりかねないと。

ICT街づくり推進会議(第6回会合)配付資料 平成26年4月22日
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict-town/02tsushin01_03000242.html
地域懇談会の実施結果、ICT街づくりの地域実証プロジェクトの取組状況、普及展開WGにおけるこれまでの検討結果、共通ID利活用WGにおけるこれまでの検討結果、ICTスマートタウンに関する日欧意見交換会の結果など。個人番号カードのユースケース例としての「医療分野における資格確認」は、早期の実現が期待されますが、国がもたもたしている間に、どこかの自治体で「国民健康保険カードと個人番号カードとの統合」を進めた方が早いかもしれません。

医師と治療目標を共有することで患者の満足度が向上
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/gakkai/jcr2014/201405/536238.html
医師との間で治療目標について十分にコミュニケーションをとっている関節リウマチ患者は、医療への満足度が高いことが患者調査により明らかとなったと。
これって、電子政府やマイナンバー制度でも大切なのですが、実際には具体的な目標も定められず、無責任体制のまま進められてしまうのが現状です。例えば、「個人番号カードは、3年以内に100万枚発行して、利用件数1000万件を達成する」とか「3年以内にマイポータルの利用者登録数を100万人にして、年間1000万アクセスを達成する」といった具体的な数字が必要です。「マイポータルに色々と必要な機能を足していったら、構築費用に100億円、年間維持費に10億円かかりました」というのは間違いで、年間数億円の収益(国民や行政職員への利益還元効果)しか見込めないものには、そもそも100億円をかけてはいけないのです。具体的な数値目標と共に、損益分岐点を定めて、それらを情報公開した上で、国民と広く共有することが必要でしょう。

パナソニック、国内回帰の勝算とは、工場の自動化を支える熟練技術者
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140501/263788/
パナソニックが国内生産を続けられている理由は、生産工程の自動化によるコストの削減で、将来的には自動化率を90%にまで上げていく。その一方で、工場にいる熟練の技術者が生産ラインの自動化を支えていると。電子政府が目指すのも、この辺りでしょうか。
関連>>製造業とIT業が同じになる日、インダストリー4.0と工場のスマホ化
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140430/263614/
「Industry 4.0」は、インターネットをさらに活用。開発・設計・生産・調達・販売などの基幹システムの統合。機械と製品の自律化であると。

ソーシャルクラウドが備えるBCP機構
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20140416/346847/
ソーシャルクラウド基盤に求められる機能要件および非機能要件として、大量データの収集・解析、非定型データ(SNSなど)の収集・解析、映像データ(定点カメラなど)の収集・解析、地図にマッピングされた各種情報の提供、カルテなど重要データへの柔軟なアクセス権付与、異なる情報システム間でのデータ共有があると。
関連>>平成23年度次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発事業報告書の公表
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/cloud/2011/index.html
第4回 防災・減災分科会 平成26年4月24日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/bousai/dai4/gijisidai.html
防災・減災に関するICT分野の最近の主な取組、総合防災情報システムの整備・運用、防災・減災におけるSNSの活用に関する検討など。

クラウドでSIがダメになる本当の理由
http://japan.zdnet.com/blog/netcommerce/2014/05/10/entry_30022690/
エンド・ユーザーが本当に使うシステムだけを作ることで、ムダな開発投資をなくしたい。エンド・ユーザーからの変更要求にも柔軟に対応し、ユーザーが納得して使えるシステムを実現したい。エンド・ユーザーが納得できる予算の中で最善の機能を実装し、約束した期間の中で最高の品質を実現したい。これが、SIビジネス本来のあるべき姿で、これらを実現しようとすれば、アジャイルや超高速開発、DevOpsは前提になるでしょうと。
電子政府の情報システム調達でも、抜本的な見直しは避けられそうにありません。
関連>>Updated assisted digital guidance in the Government Service Design Manual
https://gds.blog.gov.uk/2014/05/08/updated-assisted-digital-guidance-in-the-government-service-design-manual/
英国の電子政府サービスデザイン設計マニュアルが更新。英国では、サービス(品質)要件をクリアしているか、サービス設計の各段階(アルファ版、ベータ版、本稼動)ごとに評価されています。日本の電子政府では、そもそもサービスデザイン設計といった考え方があまり見られず、サービス品質基準も曖昧か不十分なのが現状かと。

日本の認証インフラ整備の取り組み
~公的個人認証サービスとID連携トラストフレームワーク~
DIGITAL GOVERNMENT & FINANCIAL TOPICS
http://e-public.nttdata.co.jp/topics_detail5/id=1082
「認証」についての日本の取り組み、現状と課題などをわかりやすく解説。日本にはインターネット上で安全・安心して本人確認を行う仕組みとして、JPKIとID連携トラストフレームワークの取り組みがある。これらは競合するものではなく、連携することでインターネットサービスをより安全・安心に利用できる認証インフラを提供できるものであると。
関連>>安全・安心なネット社会の構築 – 岡山県ホームページ
http://www.pref.okayama.jp/life/5/22/194/