ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略

ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略
鈴木 良介 (著)
翔泳社

最近よく話題になる「ビッグデータ」のビジネス活用ガイドブックといった内容です。

基礎知識から、海外等の活用事例、関連技術の解説、活用の障害、将来予測など一通りのことが学べますね。

ビッグデータの定義については、色々あるようです。

情報セキュリティブログの用語解説では、

ビッグデータは、「データ容量が巨大であること」「構造化データだけでなく非構造化データが存在すること」という2つの要素を備えていると一般的には定義されることが多い。

とあります。 Wikipedia(ビッグデータ)でも

通常のデータベース管理ツールなどで取り扱う事が困難なほど巨大な大きさのデータの集まり(構造化データ+半構造化データ+非構造化データ)であり、その格納、検索、共有、分析、可視化などに困難さを伴う。

日本IBMの解説では、ビッグデータには3つの側面があると言っています。

1 種類 (Variety):テキスト、音声、ビデオ、クリックストリーム、ログファイル等の非構造化データも存在する。
2 スピード(Velocity):即時性が求められる。
3 容量 (Volume):容量が巨大で、数テラバイトから数ペタバイトにもおよぶ。

さらに、本書ではビッグデータの定義を

事業に役立つ知見を導出するための
・高解像
・高頻度生成
・多様
なデータ

としています。

個人的には、行政におけるスピード感覚が改善されることを期待しているので、即時性、リアルタイム、高頻度生成といった視点はとても大切とと考えています。

例えば、住民票等の証明書を交付する市役所等の窓口の見やすい場所に、大画面のモニターが設置されていて、その画面には
・本日の来場者数
・時間帯別の申請件数
・本日の混雑ピーク予測
・証明書の種類別交付件数
・稼動中の職員人数

などがビジュアル化されてわかりやすくリアルタイムで表示されると、交付事務を処理する職員はもちろん、サービスを受ける住民側の意識にも影響を与えることでしょう。

さらに職員向けの情報として、業務の終了時に「1件あたりの処理時間」や「1人当たりの処理件数」などが提示されれば、サービス改善の刺激になるかもしれません。

これらはビッグ(大容量)のデータではありませんが、今後の行政サービスでは、住民の満足度や信頼度を向上するために、データのリアルタイム活用(公開)が重要になるでしょう。

電子政府においても、オープンガバメントの流れから、「Responsive Government」という言葉が良く聞かれるようになりました。

「反応が早い高感度な政府」という意味で、市民からのフィードバックを迅速に活用できる政府が求められるのですが、「市民からのフィードバック」に限らず、様々な手段や経路で入手された情報(ビッグデータ)の活用が求められます。

日本の国や自治体では、今後ますます厳しい財政状況が予想されます。これまでのようなバラマキや再分配ができなくなり、負担増や既存サービスの廃止・縮小が必要になってくるでしょう。

その時に備えて、常日頃から、住民や国民とのより良い関係を作り上げることが急務であり、その効果的な手段としてデータの活用があることを認識しておかないと、それこそギリシャのようになってしまうことでしょう。