入試問題ネット投稿事件で思ったこと

入試問題ネット投稿事件で盛り上がっているようなので、流行に敏感な作者も乗り遅れないようにしなくちゃ。

とは冗談ですが、思ったことを書いておきます。

●ネットへの情報流出を前提とした相互監視社会の到来

まずは、「ネットへの情報流出は避けらず、今後ますます増えていく」ということ。

別の言い方をすれば、尖閣問題の動画投稿やウィキリークスからの機密情報漏洩など、「ネットへの情報流出を前提とした相互監視社会」が確実に進んできていると。

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IT機器の進歩は驚異的で、行政や商取引の分野でも「印鑑」の信頼度が低下しています。だからと言って、印鑑文化を無理に守ろうとすると、ITの利活用が進まず社会や経済にとってマイナスの結果をもたらします。

●拡声器としてのネットパワー

「入試問題ネット投稿に対して、マスコミが騒ぎすぎ」といった意見があるようですが、作者は「ネットだからこそ騒がれる」と思いました。

インターネットは拡声器みたいなものなので、リアル社会では些細な問題でも、ネットを経由することで問題が大きくなってしまうことがあるからです。

突然大きな声で怒鳴られたら、大抵の人はビックリしてしまうでしょう。ネットに対して普段から脅威や不信を感じている人たちにとっては、ビックリ度やパニック度も倍増します。

こうしたネットの拡声器パワーは、「これまで見過ごされてきた問題が明らかになる」という意味では、良い効果をもたらしてくれる面があると思います。

●対応には発想の転換が必要

今回の問題に対して、「臭いものにフタをする」的な方法は、あまり効果的とは思えません。

対応の仕方を間違えると、京大に批判殺到といった記事のようになってしまうでしょう。

子供だけでなく大人にも「情報倫理教育」や「ネット利用時の自己防衛策(被害者や加害者にならないために)」は必要と思いますが、犯罪がゼロにはならないのと同じように、いくら規制をしても実際に行為に至ってしまう人は出てきます。

個人的には、大前研一のように、世の中に出れば、「カンニング」した者が勝ちだぐらいの発想転換が必要と思います。

例えば、
・基礎学力は、各学校で実施する「全国共通テスト」などで事前審査する
・上記は、3回ぐらいチャンスを与えて、一番良かった成績で審査する
・試験前にインターネット経由で問題(テーマ)を配信する
・筆記試験で、問題に対する理解度・準備度を審査する(携帯・辞書等の機器利用は自由)
・可能であれば、面接試験で個別に対応する

などが考えられます。むしろ「IT機器が使えること」をもっと高く評価する仕組みがあっても良いでしょう。