社会保障・税に関する番号制度についての基本方針(7)、個人情報保護はバランス感覚と国民の理解が大切

社会保障・税に関する番号制度についての基本方針(6)、番号制度の効果を生み出す7つのステップの続きです。まずは最近の動きから。

社会保障改革に関する集中検討会議(第三回)平成23年2月26日
新聞社からの公開ヒアリング。毎日、読売、日経、産経が参加。

社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会(第5回)平成23年2月22日

関係団体からの意見聴取。日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、全国銀行協会、日本証券業協会、生命保険協会、日本損害保険協会

社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会(第6回)平成23年2月23日

関係団体からの意見聴取。日本医師会、日本歯科医師会、 日本薬剤師会、健康保険組合連合会、全国老人福祉施設協議会、日本年金機構、日本弁護士連合会、日本税理士会連合会、日本労働組合総連合会

国民の皆様から「共通番号」の名称を募集します
番号制度創設推進本部から。応募はWEBフォーム、E-mail、郵送で。平成23年3月23日(水)締め切り

今回は、マイポータルと個人情報保護の方策について見てみましょう。

(4)国民が自己情報を確認し、行政機関等からのサービスを受けられるようにする

・インターネット上にマイ・ポータルを設置して
・国民一人ひとりが、自己情報へのアクセス記録を確認できるようにする
・行政機関等からの情報提供によりサービスを受けられるようにする
・個人情報保護に配意しつつ、民間サービスの活用も視野に検討する

★作者コメント

ここで言う「マイ・ポータル」は、政府の資料等でも紹介されているデンマークの「borger.dk」などをイメージしているのでしょう。

住民一人ひとりにカスタマイズした「マイポータル」は、電子政府先進国でも発展途上の段階です。一部の人だけが利用するサービスだったり、煩雑な認証方法が利用の障害になったり、自分が住んでいる地域の情報が不十分だったりと。

ですから、日本で実現しようとしている「マイ・ポータル」は、非常に難しいものと理解した方が良いです。情報連携基盤を確立させるだけでなく、関連する制度や慣習を変えながら、段階的に実施していくのが現実的と思います。API公開を進めて、民間に任せることも必要でしょう。

「年金個人情報提供サービス」を引き継いだ「ねんきんネット」サービスを拡張して、その利用者を上手に取り込むのも一つの方法です。

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(5)個人情報保護の方策

・個人情報保護の具体的方策は、社会保障・税番号大綱に向けて一定の結論を得る
・国民の利便性とプライバシー保護とのバランス等も併せて多角的に検討する

・国民が自己情報へのアクセス記録を確認できる法制度を検討する

・個人情報保護法制の執行と運用を担保する第三者機関を設置する
・第三者機関の設置に当たっては
・監視機能の実効性、独立性、責任主体、設置形態、人員構成、調査権限、規模等を検討する
・諸外国の事例も踏まえて検討する

・実効性のある目的外利用・提供の制限を明示する
・公益に資する個人情報の二次利用の在り方については
・個人情報保護法制と整合を図りつつ検討する

・不正な情報活用を防止するため、関係法令の罰則強化を検討する

・番号制度を利活用する各システムの構築に当たり
・プライバシーに対する影響評価を実施する
・評価結果を公表する仕組みも検討する

・「番号」の導入に伴う個人情報保護の方策については
・「番号」を取り扱う事業者に関しても検討する
・特定の分野(金融、医療等)については、追加的措置の必要性も検討する

★作者コメント

番号制度に関連して個人情報保護を考える際には、保護自体を目的化しないことでしょう。「政府が保有する個人情報を連携・活用するためには、どのような個人情報保護が有効か」ということです。

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第三者機関やプライバシー影響評価については、番号制度の有無に関係なく必要な制度と思いますので、番号制度をきっかけとして検討されるのは良いことです。

個人情報の漏洩や不正利用は、どんなプライバシー先進国でも必ず起きています。しかし、第三者機関などを有効に機能させることで、一定の信頼性や安心感を国民に提供しています。

まずは、100%の安心・安全・満足など無いことを、政府と国民が理解し共有することが大切ですね