公的個人認証サービスの普及策、その2:民間利用への安易な開放はNG

公的個人認証サービスの利用促進・普及を考えた場合、安易に民間利用に開放するべきではない。理解が不十分な利用者のリスク負担を増やし、自らのブランドを傷つけるからである。

現に、民間の電子証明書は、様々な用途で使えるものでも、それほど発行枚数は増えていない。むしろ、電子入札や電子契約など、用途を限定しているものの方が、実績を上げているのだ。

●本当に必要なときに使えれば良い

実印を考えた場合、実際に利用する頻度は非常に少ない。自動車や不動産の購入といった必要性に直面して、初めて実印を作り登録し使用するのである。その後は、印鑑登録カードと共にタンスの引き出しの奥へしまわれることになる。

官が関与するという信頼性があり、それほど利用頻度は高くないが、ここぞと言うときに必要となる。これが実印の強みであり、公的個人認証サービスは、そのスタンスを受け継ぐべきである。

●利用を強制できなければ、同等の優遇措置を

実印は、実質的な強制力があるために利用されるのであり、そうした場面に遭遇しなければ、実印は必要ないのである。これは、用途が限定され強制力を伴う電子入札用の電子証明書が、数多く発行されていることと似ている。

公的個人認証サービスは、官が発行するという特殊性と信頼性を最大限の売り(ブランド)にするべきである。そのためには、用途を厳格に限定する必要がある(入れ物は民間ブランドを活用して良い)。

その上で、特定の手続きを行う際に、公的個人認証サービスの利用について(制度的あるいは実質的に)強制力を持たせる必要がある。それが無理であれば、強制力に匹敵する優遇措置を持たせる必要がある。

もし強制力も優遇措置も持たせることができなければ、公的個人認証サービスの利用が拡大することは非常に難しいので、やはり止めた方が良いだろう。

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