ワークシェアリング―『オランダ・ウェイ』に学ぶ日本型雇用革命

ワークシェアリング―『オランダ・ウェイ』に学ぶ日本型雇用革命
根本 孝
ビジネス社

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ワークシェアリングによって、失業率を低下させたオランダの雇用政策を学べます。

日本のワークシェアリングは、景気悪化を受けての、緊急的な対応でしたが、オランダの場合は、ワークシェアリングを長期的に続けていくための構造改革を行ったうえで、実施しているのが特徴と言えるでしょう。

具体的には、

・政労使合意による賃金上昇の抑制
・生産性の向上(=パイを増やす)
・フルタイムとパートタイムの差別禁止
・雇用にかかる雇用主の金銭負担軽減
・社会保障制度の効率化
・フレキシキュリティーの法制化(解雇制限の緩和)

などがあります。「フレキシキュリティー」については、なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのかでも触れましたが、オランダでは既に1990年代の終わりに導入しています。

ところで、本書が出版されたのは2002年なのですが、オランダにおける失業率のその後はどうなったのかというと…

一時は2%代の失業率が、2003年には5.3%まで上がりました。

しかし、その後は徐々に低下しており、世界的な不況により各国の失業率が悪化する中で、3%代を維持しています。

また、国際競争力でも高順位国の常連となっています。

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日本では、あまりにも厳しい解雇制限があるため、社会的・経済的な負担が増加しています。しかも、その負担が一部の層に集中しています。

経済が順調に成長を続けるうちは、厳しい解雇制限もそれほど気にはなりませんが、経済が低迷してくると、その副作用が表面化してきます。

恐らくは、近い将来において、日本でも解雇制限が緩和される(判例の見直しを含めて)ことになるでしょう。

その上で、様々な差別が禁止され、やる気があれば誰もが何度でもやり直しできる社会を目指しましょう

オランダモデル―制度疲労なき成熟社会
長坂 寿久
日本経済新聞社

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