実現するべきは「霞ヶ関クラウド」ではなく、政府のシェアードサービスか
「オープンなAPIで電子政府クラウドの標準化を目指す」、コンソーシアムが発足しその方向性を表明:ITpro
という記事がありました。
電子政府や電子自治体の業務やデータ形式の標準化が進み、オープンなAPIをみんなで利用できる環境が整えば、電子政府のIT投資効率は、大きく改善すると思いますので、こうした民間からの働きかけは歓迎するところですね。
新たな雇用創出を見据えた「電子政府のプラットフォーム戦略」では、
1 他業種やベンチャー企業による参入を可能とする
2 民間の既存プラットフォームを活用する
3 政府が保有する情報を提供する
4 上記3つを実現するために必要なルールを整備する
とするのが良いと提案しましたが、「Open API」は、他業種やベンチャー企業による参入を容易にし、電子政府におけるベンダー寡占状態を変えてくれるかもしれません。
もう一つ、関連する記事を紹介しておきましょう。
Shared Services Roadblocks and Rewards Examined at Harvard Summit
参考>>シェアードサービス - @IT情報マネジメント用語事典
行政の業務が標準化され、さらに業務を処理するための情報システムもオープン化・標準化が進むと、「誰でも、どこでもできる」業務となり、民間に委託することも容易になります。
例えば、
1 各省庁で個別に行っていた同種類の業務(給与管理、調達など)を標準化・共通化する
2 上記の共通業務を処理するシステムを、「Open API」で構築する。
3 共通業務を民間にアウトソーシングする。
4 民間は、共通業務を処理しつつ、業務の更なる効率化を進め、システムを改良していく。
5 上記の業務処理やシステム開発・改良のノウハウは、オープンなライブラリとして、誰でも利用できるようにする。
といった流れが考えられるでしょう。
大切なのは、現在の特定ベンダー寡占状態をなくし、よりオープンな環境で、行政業務の効率化を実現していくことです。
その過程で、公務員が不要となれば、その部門は縮小・人員整理削減して、他の人手が足りない別の部門に振り分ければ良いのでしょう。
政府が進める「霞ヶ関クラウド」で心配されるのは、独自クラウドを構築する中で、上記のようなオープンな環境の実現が妨げられるのではないか?ということです。
「箱物行政」的な電子政府だけは、なんとしても避けなければと思います