ライブドア問題に見る法令順守の難しさ

ライブドア問題がマスコミを賑わせているが、ここから学ぶべき点は多い。その一つが、企業の法令順守問題(コンプライアンス経営)である。

ライブドア問題に関する報道を見ると、やはりホリエモン批判が多い。市場の影響が大きく、社長のタレント活動等による知名度の高さによるものだろう。

もちろん、嫉妬やヤッカミから来るものも多いと思う。株式投資しない人などは、直接被害を受けないのであるが、そういう人に限って批判を繰り返す。その一方で、談合など大手企業による税金搾取の被害には鈍感なのだから、なんとも日本人らしい。

上場廃止となったカネボウの例に見るように、大企業だから、大手の会計事務所だから安心ということは全くの嘘である。

それは、ほとんどの企業が違法性を認識して(確信犯で)悪いことをしているということではない。これだけ法体系が複雑になり、毎年のように法令改正や規制緩和・変更があると、法令順守を徹底することは非常に難しいということである。

実際、法令遵守の経営を完璧にできている企業は、まずあり得ない。違法性・悪質性が少ないか、表に出てこないか、社長も知らないか等の違いであろう。

記憶に新しいところだけでも、
・ヤマハ発動機のヘリコプター不正輸出
・日本テレビのやらせ問題
・松下電器産業のFF式石油ファンヒーター問題
・橋梁談合事件(新日本製鉄など5社)
・三菱自動車の欠陥隠し問題

などいくらでもある。粉飾決算で人は死なないが、車や電気製品の欠陥では、発表が遅れれば人の命が奪われることもあり、他人事では済まされない。

つまり、全ての企業は第二のライブドアになる可能性があるということだ。

それは、私が犯罪行為で逮捕される可能性があるのと同じことである。どんなに真面目に生きている人も、いつ犯罪に巻き込まれるか(被害者または加害者)わからないのである。立小便や駐車違反も、立派?な違法行為なんだし。

もちろん、企業のトップが違法性を認識して先導するのは悪いことであり、犯罪行為が事実であれば、司法判断に基づき罪の償いをすることになる。しかし、これがグレーゾーン(違法かどうか微妙)となると、リスクマネジメントや経営方針の問題であり、一方的に批判することはできない。

ところで、ライブドア問題に関するテレビや新聞の報道は、時折、見るに耐えないものがある。逮捕後に犯罪行為を批判するのは良いが、今になって経営手法を批判する人たちを見る度に、人間の残忍性とご都合主義を感じてしまうからだ。

ま、これだから人間は面白いんだけどね

関連>>Yahoo!ニュース:ライブドア事件公益通報者保護制度ウェブサイト(内閣府国民生活局)