はじめての「独立・起業」なるほど成功ガイド、士業も経営戦略やマーケティングが当たり前に

はじめての「独立・起業」なるほど成功ガイド
吉澤 大
日本実業出版社

このアイテムの詳細を見る

税理士・中小企業診断士である著者による、独立・起業ガイド。資金繰りや経理などお金に関する話が多いですが、事業戦略やマーケティングなどにも触れています。

2003年に行政書士を廃業した作者は、いわゆる「ハウツー本」を定期的に読むようにしています。行政書士をしている時は、ほとんど読まなかったのですが。。。

なぜ読むかと言えば、「ハウツー本」を通じて、実務家としての視点や業界の動向を学ぶことができるからです。

「業界の動向」というのは、「ビジネスとしての成熟度」やインターネットを中心とした「IT利活用度」などのことです。

ここ5-10年ぐらいで、士業における「ビジネスとしての成熟度」や「IT利活用度」は、急速に進展しています。

日本の電子政府が良くならない本当の理由(23):士業における「仕事の質」と「サービスの質」 で書いたように、士業の仕事の質・やり方は変わりつつあります。

仕事柄、作者の周囲には、いわゆる「オンライン申請に詳しい士業の方々」が多いのですが、そうした人たちが「ビジネスとしての成熟度」や「IT利活用度」が高いかと言えば、決してそうではありません。むしろ、その逆であることが多いと思います。

しかし、「オンライン申請に詳しい士業の方々」は、そのように思っておらず、「士業の中では自分達が先端を行っている」といった自負があるようです。

士業のように過度に保護されてきた業界では、競争の激しい他業界において当たり前のことがされていませんでした。経営戦略や事業分析、マーケティングなどなど。

しかし、一定の規制緩和が進んだ2000年頃から、士業にも経営戦略やマーケティングが導入されるようになり、その効果を上げてきました。ほとんど手付かずの状態だったため、その効果はかなりのものでした。

今では、士業も経営戦略やマーケティングが当たり前になり、ちょっとやそっとの手法では効果を上げることが難しくなってきたと言えるでしょう。

さて、ここで興味深いのは、これから士業に新規参入する若い人たちにとっては、経営戦略やマーケティングが当たり前になっている、ということです。

あたかも、「物心ついた時から、パソコンや携帯によるインターネット利用が当たり前だった」と感じるようにです。

「オンライン申請に詳しい士業の方々」が、渋滞や事故の多い低速有料道路を選んで走っている一方で、そうした若くて実力のある士業たちは、空いた高速無料道路をスイスイと走っていくことになるでしょう。

こうした流れに、作者は電子政府の希望があるのではないかと思います。

国民自身が変わることで電子政府も変わっていくとすれば、「士業が変わり新たなステージへ上がっていくことで、電子政府サービスも後追いで変わっていくのではないか」という期待です。

「オンライン申請に詳しいベテラン士業の方々」も、たまには若手士業が書いたハウツー本を読んでみてはいかがでしょうか。心配なのは、「書いてある内容と価値を理解できるか」なのですが。。。

インターネットを使って自宅で1億円稼いだ! 超・マーケティング
金森 重樹
ダイヤモンド社

このアイテムの詳細を見る

“はじめての「独立・起業」なるほど成功ガイド、士業も経営戦略やマーケティングが当たり前に” に2件のコメントがあります

  1. サルでもできる各種士業
    >しかし、「オンライン申請に詳しい士業の方々」は、そのように思っておらず、「士業の中では自分達が先端を行っている」といった自負があるようです。

    ん? 私の周りにはそうした自負がある方がいないので、なんともだが。(笑)

    別件ですが、
    http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4344996550/ref=sib_dp_pt#reader-link
    「サルでもできる弁護士業」(幻冬舎)西田弁護士によるものです。

    マーケッティング論としても参考になるし、次の書籍も参考になりますね。
    http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4344996577/ref=sib_dp_pt#reader-link
    「眠れる二十兆円マーケット~法務ビジネスという名の埋蔵金~」

  2. 士業も格差と淘汰の時代?
    イエモリさん、こんにちは。
    コメントありがとうございます。

    あ、もちろん「オンライン申請に詳しい士業の方々」で、士業の最先端を行っている方もいらっしゃると思います(苦笑)

    思うのですが、先端を行っている士業にとっては、業務の役に立たない電子申請なんて、興味の対象外かと。

    仕事で使えるレベルになったら、使ってくれるかもしれませんが。。

    インターネットの普及により士業間のネットーワーク化は進んでいますが、それをビジネス化・システム化できているところは、まだ少数でしょうね。

    士業の仕事が、労働集約型(知識集約型)産業であると信じていたいベテラン?士業の意思に反して、多くの仕事が分業化され、システムに置き変わりつつあります。

    分業化・システム化された士業の仕事は、もはや入力代行業務と差がなくなり、本当に知識や高度な判断が必要とされる仕事は、ほとんど残りません。

    仲介業としての士業が無くなるとは思いませんが、競争激化と淘汰は避けられないでしょうね。

コメントは停止中です。