2008年度「仮想政府」セミナー:電子政府の障壁-EU委員会報告書をめぐって

2008年度「仮想政府」セミナー 「電子政府の障壁-EU委員会報告書をめぐって」
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/news/2008/12/news20081226.htm
同時通訳あり。参加無料。定員150名に達し次第締め切り。

奥村裕一先生も参加される電子政府に関する無料セミナーのご案内です。申込みは、上記ウェブサイトからお早めにどうぞ。

基調講演のタイトルにもある「組織的文化的」という視点。電子政府に深く関われば関わるほど、組織や文化の問題が大半(8割か9割?)を占めることに気がつきます。

文化を意図的に変えることなんて、果てしてできるのだろうか。そのきっかけとして、電子政府はどの程度有効なのか。電子政府だけでは、限界があるのではないか。日本の電子政府は、行政職員だけでなく国民自身を映し出す鏡なのではないか。国民自身が変わらない限り、日本の電子政府も変わらないのではないか。

遅かれ早かれ、そんな思いにたどり着くのだと思います。

もともと、「電子政府」に対して過度な期待は禁物です。インターネットと同じように、電子政府自身が何かをしてくれる・与えてくれるわけではありません。国民や行政が変わりたい・何かを始めたいと思った時にだけ、電子政府は力を貸してくれるのです。

2008年度「仮想政府」セミナー
「電子政府の障壁-EU委員会報告書をめぐって」
主催:東京大学公共政策大学院、(社)行政情報システム研究所
後援:東京大学政策ビジョン研究センター
日時:2008年2月9日(月)14:00-17:30
場所:東京大学情報学環・福武ホールBF2 福武ラーニングシアター

趣旨
EU委員会は、効果的な電子政府を実現するための障壁は何かの分析をオックスフォード大学などに委託して3年がかりで行ってきた。その分析の取りまとめに携わった同大学インターネット研究所ヘレン・マーゲッツ教授を招いて、EUの電子政府の抱える7つの障壁を題材に、日本とEUの電子政府の共通の課題を模索する。

プログラム
(開会挨拶)
14:00-14:05 金本良嗣 東京大学公共政策大学院長
14:05-14:10 高森國臣 (社)行政情報システム研究所専務理事

(基調講演)
「デジタル時代のガバナンス:電子政府の障壁克服のための組織的文化的解決策」
14:15-15:15 ヘレン・マーゲッツ 英国オックスフォード大学インターネット研究所教授

(問題提起)
15:20-16:00 奥村裕一 東京大学公共政策大学院特任教授

(パネルディスカッション)
16:10-17:25
ヘレン・マーゲッツ 同上
座間敏如  内閣官房IT担当室 電子政府推進管理(GPMO)補佐官兼財務省CIO補佐官
奥村裕一  同上
城山英明  東京大学院法学政治学研究科教授(コーディネーター)

(閉会挨拶)
17:25-17:30 森田朗  東京大学政策ビジョン研究センター長

“2008年度「仮想政府」セミナー:電子政府の障壁-EU委員会報告書をめぐって” に12件のコメントがあります

  1. ありがちですが・・・
    イエモリさん、こんばんは。
    情報提供ありがとうございます。

    今の時代、情報漏えいは避けられないので、他人事ではありませんね。

    私の知る限りでも、外部への情報持出しが厳しく管理されている組織は、ほとんど無いと思います。

    セキュリティ製品を取り扱う企業でもそうなのですから、IPAのような独立行政法人では無理も無いことでしょう。

    ただ、今後の対応として、
    「今後は職員の私物パソコンにおけるファイル交換ソフトの使用を禁止するなど再発の防止に・・・」
    という見当違いのコメントは、セキュリティ対策を推進する公的機関としては恥ずかしいですね。

    こうしたコメントから、IPA自身がセキュリティの専門知識や技術を持っているわけではなく、セキュリティ事業を民間企業に丸投げして、そのマージンで収益を上げていることがわかってしまいます。

    かく言う私自身も、今回の件は他山の石としたいです

  2. オンライン申請は厳しいけれど
    イエモリさん、こんばんは。
    情報提供ありがとうございます。

    関係者の注目度が高いのは、「行政手続オンライン化法の全面改正(電子行政推進法)」でしょうか。

    「オンライン照会」等の行政間の情報共有や電子的なやり取りを義務付ければ、結果として問題箇所があぶりだされるので、中長期的には好ましいことだと思います。

    政府全体として電子政府を総合的に推進する「司令塔」機能の強化については、各省庁からの抵抗も予想されるため、調整が難しそうですね。

    電子政府評価委員会の事務局となっている「内閣官房(IT担当室)」も、各省庁や企業からの出向が多いので、どの程度の機能と役割を持ち得るのかわからないというのが正直な感想です。

    電子政府関係者、特に民や学の方とお話しても、「内閣官房(の仕事振り)はどうですか?」と聞かれることが多いです。

    そこには、政府に「より良い電子政府の実現」を期待する反面、「結局、省益や縦割りを乗り越えることはできないんでしょ」といった冷ややかな諦めの気持ちもうかがえます。

    私のスタンスとしては、厳しい状況や負の遺産をしっかりと見据えつつも、常に存在し見え隠れする「希望」を見失わないようにしています。そして、良い流れを生み出し、その流れを増幅する「機会」をうかがっているという状態です。

    ピンチの後にチャンスあり。ですね

  3. 流れに棹さしたい
    むたさんの、
    >私のスタンスとしては、厳しい状況や負の遺産をしっかりと見据えつつも、常に存在し見え隠れする「希望」を見失わないようにしています。そして、良い流れを生み出し、その流れを増幅する「機会」をうかがっているという状態です。

    こちらも、その流れに棹さして、速やかに流れるようにしたいところです。

    ところで、ポータルサイトもリニューアルされましたね。前バージョンのサイトが見難かった、醜かった。
    少しは前進したか。
    http://www.jpki.go.jp/index.html
    公的個人認証サービスポータルサイト

    また、総務省も次のサイトを設けていました。
    http://juki-card.com/index.html
    住民基本台帳カード総合情報サイト

    頑張っているのだろうけど、なかなかなぁ。

  4. 電子申請の義務化は違憲?
    http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090116-OYT8T00269.htm
    診療報酬の「電子申請義務化は違憲」…国を提訴へ  読売新聞

    「神奈川県や東京都、埼玉県などの医師計約1000人が国を相手取り、電子申請義務の不存在確認と、1人あたり100万円の慰謝料を求める訴訟を21日、横浜地裁に提訴する。」

    なるほどの訴訟ですが・・・。

  5. 無用な電子申請は淘汰される
    イエモリさん、こんにちは。
    情報提供ありがとうございます。

    「診療報酬明細書(レセプト)」の電子化は必要と思いますが、電子申請の義務化については、医療機関側の負担が大きいですね。

    特に気になるのは、原告側の「レセプト作成専用のパソコンを導入するには300万円前後が必要」という指摘です。もしこれが事実なら、訴えられるのは自業自得でしょう。

    こんなもの、レセプト作成&申請用のソフトウェアを国の予算で作成して、医療機関へ無料配布すれば済む話しです。国民のための電子申請なら、5万円パソコンで十分です。

    レセプトの電子化に限らず、社会保障(医療、年金、介護、福祉など)という巨大なマーケット
    http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/d7d231152a729404b5a1b64c311e94e5
    は、厚生労働省・外郭団体・業界団体・IT業界の食い物にされる恐れが大きいです。
    http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/1850aff4f5badffe275d6f0b96bc4aa8

    上記の原告側主張が事実であるなら、作者も義務化は止めるべきと思います。こういう「歪められた電子申請」は、電子政府・電子申請の健全な発展にとって害悪でしかありません。

  6. アンケートしました。
    遅ればせながら今年もよろしくお願いします。
    レセプトオンラインもなかなか難航しそうですね。やっぱ省令で義務化はいくらなんでもひどい。

    で、司法書士向けアンケートがあったので答えておきました。最後の意見は次のようにしました。うまくありませんが、年末年始に読んだ金融危機本にかぶれてますが、ちょっとやばいのじゃないのという状態ですね。埋蔵金も雇用、景気対策に使い尽くすことになるのか。

    ということで、効率の上がらないオンライン申請で税収を減らすことはできんので、あんまりオンライン申請はがんばらないようにします。(うちなんか微々たるものですが)

    ネットを節約してCO2削減に努めます。(京都議定書は詐欺だ、CO2削減は温暖化とは関係ないという主張の方を支持しますが、うちの光熱費節約のためだけです。)

    「経済危機(特にサブプライムローン問題を凌ぐといわれるCDS問題)に関して、政府自体が危機感をもっていないのが不安である。
    優先順位からみれば、電子政府、電子行政は低いのであるから、経済危機への対応を最優先し、メリットが早期に期待できないオンライン申請に関しては一旦凍結するなどの措置が必要と考える。
    技術革新により国際競争力をアップするというなら、一時的なデメリットについては目をつぶるが、登記オンラインについては、システム自体相当に前のものであり、技術革新には繋がらない。
    登記甲号事件については、多要素認証技術、乙号の証明書については韓国式プリントアウト技術など、積極的に取り入れようという姿勢がまったく感じられない。
    このまま、目標数値だけを追うのであれば凍結した方がいいと考える。」

  7. 電子政府と技術革新
    sagoさん、こんにちは。
    今年もよろしくお願い致します。

    電子政府の健全な発展にとって、経済危機は良い機会ですね。厳しい時こそ、人間力が発揮されるわけですから。

    ところで、電子政府による技術革新の例は、私の知る限りは聞いたことがありません。

    実際、日本の電子政府に使われている技術や手法は、欧米からの輸入品ばかりですし。。

    日本にとって技術開発や基礎研究は重要と思いますが、電子政府とは別枠でやって欲しいものです。電子政府を変な実験台にしないで欲しい。

  8. 国策ITは何やってんだ
    むたさんありがとうございます。
    政府調達で、国策ITは優遇されてるのですから、もっと意欲をもって、技術革新とその応用に努めてもらいたいですねえ。

    デジタルニューディールなんて出てきてますが、どこまで雇用創出できるのか疑問です。

    今 オンライン申請で使ってる電子封筒システムなんて、20世紀の産物ではなかったですかね。あれもアメリカ産だったのかな?

    これを止めない限り、Javaとは縁が切れないのではないですか?

  9. 技術革新って?
    この「技術革新」ってのは、単なるバージョンアップを指していることもあるので、要注意だな。

  10. ピンチはチャンス
    sagoさん、イエモリさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。

    たしかに「技術革新」って安易に使われがちですよね。

    規制が多く非効率で競争が少ない分野では、他の分野では誰もがやっているような当たり前なことを、ちょっとやっただけですごく効果が出たりして、これは「革新的だ」と言われたりします。

    「革新」という言葉にこだわらなければ、実際に効果を上げる良い方法はたくさんあると思います。それこそが、実務家の視点かと。

    情報が氾濫する現在は、「あーでもない、こーでもない」と言う人ばかりが増えるので、「やったもの勝ち」という側面が、これまで以上に強くなると思います。

コメントは停止中です。