第3回関東電子政府推進員協議会(1):電子政府推進員の活動と成果

先日、さいたま新都心合同庁舎で開催された「第3回関東電子政府推進員協議会」に参加してきました。今回は、国民にあまり知られていないと思われる「電子政府推進員」について解説した上で、協議会の様子や作者の感想を書いてみたいと思います。

●電子政府推進員とは

「電子政府推進員協議会」とは、年に一度「電子政府推進員」が集まるイベントで、代表者数名によるプレゼンテーション(現状の報告)、推進員間による意見・情報交換などが行われます。

全国9地区(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州及び沖縄)となっており、神奈川在住の作者は、「関東電子政府推進員協議会」に参加したというわけです。

「電子政府推進員」は、各地域における電子政府の実践・広報部隊のようなものです。

地域に合ったきめ細かな広報・普及活動、意見要望の把握活動をしてもらうために、各地域において電子政府利用促進の核となりそうな人を、政府が選んで委嘱しています。

平成17年7月に第一期の「電子政府推進員」が委嘱され、その任期は2年とされました。平成19年には新たな「電子政府推進員」が選ばれ(再任あり)、現在は第2期メンバーとなっています。

関連>>電子政府推進員の委嘱

電子政府推進員の人数は、全国で計250名程度となっていますので、各都道府県ごとに5、6名いることになります。

その構成は、第一期では
・地域のITオピニオンリーダー(学識経験者等)
・士業(司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士)
となっていましたが、

現在の第2期メンバーでは、新たに
・企業担当者(税務、社会・労働保険、人事・給与等)
・ITコーディネータ
が参加しています。企業担当者の中には、恐らく電子政府ベンダーさんも含まれていると思いますが、確認はしていません。

●現在までの活動と成果

協議会は年に一回、時間も2時間ほどですので、これだけでは意見・情報交換はできません。そこで、日頃の活動は、「電子政府推進員meeting room」という利用者限定の情報交換サイトを中心に行われています。

利用者には、電子政府推進員の他に、事務局(総務省行政管理局行政情報システム企画課)、各省庁の電子政府・電子申請担当者(閲覧のみ)が含まれます。

関連>>電子政府推進員meeting room

「電子政府推進員meeting room」には、
・行政からのお知らせ
・フォーラム(掲示板)
・受信箱(私信メール)

といった機能があり、意見・情報交換は「フォーラム」を中心に行われています。

「フォーラム」には、
・電子政府フォーラム
・PR(広報)フォーラム
・電子申請全般フォーラム
・登記関係手続フォーラム
・e-Taxフォーラム
・社会保険・労働保険関係手続フォーラム
などがあります。

フォーラムで提示された意見は、事務局で整理した上で、各省庁の担当部局へ送られ、次年度のアクションプラン等に反映されています。

関連>>電子政府推進計画の改定について

当初に比べると、フォーラムへの投稿数・投稿者・閲覧者も減っており(もともと積極的に投稿するメンバーは極々少数でしたが)、ウェブ上のコミュニティ運営の難しさを実感しています。

今後の設置が予定されている「IT戦略本部のオンブズマン機能」(電子申請手続に関する苦情・提案の受付)との関係も含めて、電子政府推進員制度のあり方が問われることになるでしょう。この点については、また後日改めて。

次回は、協議会の様子をご紹介すると共に、そこから見えてくる電子申請の問題点について考えてみたいと思います。

“第3回関東電子政府推進員協議会(1):電子政府推進員の活動と成果” に5件のコメントがあります

  1. 法務省のe-Giv統合は?
    今日、厚生労働省より、2月からe-Gov統合するとのメールが来ましたが、確か以前、電子政府推進員掲示板で確認したところでは、法務省も19年度中だったはず。
    まあ、ころころ変わるところですからあてにはしてませんでしたが、乙号証明だけでもe-Govに統合したらいいとは思います。

  2. 法務省はe-Gov統合予定なし
    sagoさんの、
    >子政府推進員掲示板で確認したところでは、法務省も19年度中だったはず。
    まあ、ころころ変わるところですからあてにはしてませんでしたが、乙号証明だけでもe-Govに統合したらいいとは思います。

    ある筋の情報では、
    法務省汎用システムは20年度に統合予定。ただし、登記システムは独自に運営するようです。

    ますます孤立化していく登記システムですね。

  3. 法務省システムのe-Gov統合について
    sagoさん、イエモリさん
    こんばんは。コメントありがとうございます。

    e-Gov統合については、
    2006年度の行政情報の電子的提供業務及び電子申請等受付業務の業務・システム最適化実施評価報告書
    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/dai27/pdf/siryou1_5.pdf
    に記載があります。

    ・2006年度末までに、15府省中9府省(内閣府、警察庁、金融庁、総務省、財務省、農林水産省、経済産業省、環境省、防衛省)が窓口システムを利用して申請を受け付けるように移行した。

    ・e-Gov窓口システムに集約対象となる各府省の汎用受付システム(15府省)に対する2006 年度までに集約した汎用受付システム(9 府省)の集約達成率は60%であり、目標値の67%に届かなかったが、これは、仕様調整に時間を要したことなどによるものである。集約していない汎用受付システムについては、2007年度以降、e-Gov窓口システムへの集約を進める予定。

    ということで、予定より少し遅れています。

    利用状況については、

    e-Gov 利用件数(単位:万件)
    < 本年度目標値> 3,000
    < 本年度実績値> 3,705
    < 評価>
    2006 年度におけるe-Gov へのアクセス件数は、3,705 万件であったことから、目標値の3,000 万件を達成した。

    e-Gov利用件数(単位:万件)が、「オンライン申請件数」ではなくて「アクセス件数」になっているのは問題ですね。「アクセス件数」も評価指標としては有効ですが、「オンライン申請件数」などの指標を追加する必要があるでしょう。

    法務省については、次のようになっています。

     法務省の汎用受付等システム(法務省総合的な受付・通知システム)で処理している手続についてe-Gov窓口システムに移行するための要件等を精査したところ、当該手続のうち登記等の手続を移行するには、個別業務システムと密接に関連した複雑な業務処理に対応するために、e-Gov窓口システムや個別業務システム等に大規模な改修を要することが明らかとなった。
     そこで、費用対効果の観点から、登記等の手続については、個別の専用システムとして業務を処理することが適当であるため、最適化計画の別紙4を別添のとおり改定する。

    ということで、「法務省の汎用受付等システム」は「e-Gov窓口システム」への集約されますが、オンライン登記申請については、個別の専用システムを構築することになると思います。

  4. Vistaに対応できない
    ちょっと忙しくなりました。
    手短で失礼します。
    e-Govに統合できないといつまでもVistaに対応できませんね。登記オンラインは。
    http://shinsei.moj.go.jp/new/new_top.html

    まあ買う予定はいまのところないけど、買い換え考えてる人は困るじゃありませんか。

  5. 士業の電子政府推進委員の削減を
    聞くところによると、士業の委員を削減したようですが。
    ここは思い切って削減したほうがよろしいかと。

    削減に大賛成です。利益誘導的にそれぞれの士業制度のPRをする者が見受けられましたし。第一回目のフォーラムでのパネラーは、すこし・・・・・・

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