申請状況の追跡サービスはオフラインでも始めるべき

電子政府は、「オンライン電子申請を使わせること」が目的ではありません。国民に対して、より良い行政サービスを提供するためにあるのです。いたずらに「オンライン」にこだわることは、サービスの質だけでなく、費用対効果から見てもマイナスとなることが多いでしょう。

前々から不思議に思うのが、「申請状況の追跡サービス」がオンライン申請でしか機能していないことです。

宅配便などでは、荷物の配達状況をインターネットで確認できるのが一般的になっています。

これは、全ての荷物に「伝票番号」や「問い合わせ番号」などが付与され、共有されていることを意味します。

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電子政府でも、オンライン申請で受付けたものに限って、処理状況を追跡・確認できるようになっています。

しかし、これでは多くの国民はサービスを利用できません。

なにしろ、オンライン申請の利用率は数パーセントで、ほとんどの申請はオフライン(紙の申請書を窓口や郵送で提出)で行われているからです。

多額の税金を使って、申請状況の追跡サービスシステムを作ったは良いけれど、各省庁の申請システムごとにバラバラで、しかも利用されないままでは「無駄使い」と言われても仕方ありません。

●電子政府のインフラは、オフラインでも活用するべき

電子政府のインフラの一つとして稼動している住基ネットにより、オフライン申請でも「住民票の写し」を提出する必要がなくなりました。

このように、電子政府の費用対効果を高めるためには、オンラインサービスに比べて圧倒的に占有率が高いオフラインサービスでも、電子政府のインフラを活用することが有効です。

「申請状況の追跡サービス」についても、

・国が受付ける全ての申請等について
・共通の「受付番号」などを付与して
電子政府の総合窓口などから
・処理状況を追跡・確認できるようにする

こうしたサービスがあれば、補正が日常的に行われる登記申請、処理期間が事業活動に影響を与える許認可申請などで、非常に喜ばれることでしょう。

次世代電子行政サービス」も大切ですが、今一度、既存の制度やインフラで実現可能な「国民に喜ばれるサービス」を考えてみましょう

●関連法令

★行政手続法(第七条:申請に対する審査、応答)
 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

★商業登記法(第二十四条:申請の却下)
 登記官は、次の各号のいずれかに掲げる事由がある場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。以下、略