電子政府における司法・立法サービス、「三権分立」から「三権連携」へ

日本の電子政府(評価も含めて)に欠ける視点として、司法・立法サービスとの連携があります。政府の都合でサービスを区分けされると、利用者である国民の負担が増える場合が多い。そうした事態を避けるためにも、電子政府では、「三権分立」ではなくて「三権連携」が求められます。

政府の権力は、法律で三つに分けられています。

立法権(国会)、行政権(内閣)、司法権(裁判所)ですね。

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電子政府では「国民へのサービス提供」が核となることもあって、どうしても「行政」の役割が大きくなります。

しかし、国会も裁判所も、「サービス提供者」という顔を持っており、事務処理の効率性に課題を抱えているわけですから、電子政府の重要な担い手であることは間違いありません。

例えば、国会のインターネット審議中継や会議録検索などは、立派な電子政府サービスですし、

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裁判所では、すでにオンライン電子申請サービスを提供しています。

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「三権連携」を進めることで、今ある電子政府サービスは、もっともっと良くなります。

例えば、

★法令データと判例データの連携

まずは、egovの人気コンテンツ「法令データ提供システム」と裁判所の「判例検索サービス」の連携が望まれます。

これを核として、法律や司法に関する情報提供・解説を行っていけば、より便利で魅力的なサービスとなるでしょう。

そこから、裁判員制度などへの関心や理解が深まり、オンラインとオフラインの司法サービスの利用が進むといった効果も期待できますね。

★パブリックコメントと国会審議の連携

政府が、広く国民から意見や情報を募集する「意見公募手続(パブリックコメント)」という制度があります。

この制度自体は悪くないのですが、電子政府の成功を導く「双方向的(interactive))」や「感応・反応的(responsive)」といった要素に欠けています。

つまり、「意見の提出しがいがない」、「そっけない」、「その後のフォローが無い」という印象があるのです。

しかし、パブリックコメントと国会審議等を連携させることで、サービスの双方向性や感応性を高めることができます。

例えば、自分が提出した意見についての結果が通知される。さらに関連する法案等が審議される様子も通知される。法案が可決され、新しい法制度として確立し、具体的なサービスとして実行されていく過程までも、国民が追跡できる。

意見を提出しない人も、気になる事案にチェックを入れておけば、その後の経過が通知される。

こうなれば、より多くの国民が「意見提出しても良いかなあ」「意見提出した甲斐があったなあ」と思ってくれるかもしれませんし、新しい制度を積極的に支援し利用してくれるかもしれません。

このように、電子政府の可能性を楽しく広げてくれるのが、「三権連携」の視点です。

日本の電子政府も、「三権連携」でいきましょー

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