電子自治体オンライン利用促進指針(案)の公表

総務省から「電子自治体オンライン利用促進指針」(案)が公表され、国民からの意見を募集しています。参考資料「地方公共団体におけるオンライン利用促進に向けた取組について(案)」にある、地方公共団体版の「オンライン利用促進対象手続(案)」と利用実績は興味深いですね。

全体の構成は、

1 基本的な考え方
2 オンライン利用促進対象手続の選定
3 オンライン利用促進に向け各地方公共団体が取り組む事項
4 総務省の取り組み

省庁で行っている利用促進策と、ほぼ同じ内容ですね。

オンライン利用促進対象手続は、次の通り。

【主に住民向け手続】
① 図書館の図書貸出予約等
② 文化・スポーツ施設等の利用予約
③ 粗大ごみ収集の申込
④ 水道使用開始届等
⑤ 研修・講習・各種イベント等の申込
⑥ 浄化槽使用開始報告等
⑦ 自動車税住所変更届
⑧ 職員採用試験申込
⑨ 犬の登録申請、死亡届
⑩ 公文書開示請求

【主に事業者向け手続】
⑪ 地方税申告手続(eLTAX)
⑫ 入札参加資格審査申請等
⑬ 道路占用許可申請等
⑭ 入札
⑮ 産業廃棄物の処理、運搬の実績報告
⑯ 感染症調査報告
⑰ 港湾関係手続
⑱ 食品営業関係の届出
⑲ 特定化学物質取扱量届出
⑳ 後援名義の申請

住民向け手続については、できるだけ簡便な方法で、まずは利用してもらうことが大切です。その上で、市民と行政が学びながら、他の手続きに拡大していくのが良いでしょう。

事業者向け手続については、定期的な届出・報告や更新手続き等は、電子申請を義務付けるなどして、企業と行政間の電子取引を促進することが有効です。

その際には、使いにくい電子申請を無理やり企業に強いるのではなく、行政の電子化・簡素化・効率化と企業の電子化・効率化による競争力の向上を目指すことが大切です。

地方自治体は、市民と距離が近いので、より積極的かつ日常的に市民と意見交換・交流することが必要です。サービスの構築・改善を実現する過程で、市民と行政の関係が良好なものとなるよう努力しましょう

関連>>オンライン利用促進のための行動計画

“電子自治体オンライン利用促進指針(案)の公表” に4件のコメントがあります

  1. 静岡県の市町村による電子申請共同運営協議会における事業者が過日決定しました
    お久しぶりです

    以前に取り上げていただいた静岡県の市町村による電子申請共同運営協議会における事業者が過日決定しました
    価格と性能評価による総合評価方式によりN○C株式会社となりました

    協議会としてはASPでの運用を求めており、今後運営されるシステムに対しリクエストはするものの、その機能の実装の有無及び時期に関しては事業者の判断とする。また、協議会はそこで築かれたシステムに対する権利の主張はしない、

    このことにより事業者は協議会との権利関係の調整をせずに、ASPとして全国展開をすることが可能となると同時に、協議会に対する同程度のサービス内容と価格にて全国規模で事業展開をすることを義務付けられるものです

    協議会としては権利の留保をしないことで、事業者の規模拡大に協力し、事業者は規模拡大によるスケールメリットを前提に価格を安価に設定し提供する
    そういう構図を描いていたはずです、事務局の公式見解ではないのですが、仕様を固める段階での検討委員会では、そういうASPに対する理念を共有していたはずです

    結果として、住民一人あたり年に15円弱という価格が提示され、ASPサービスが提供されることとなりました
    自分が以前(5月2日のコメントhttp://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/ec0006e4f8178c4abcf515d6130dfea2)に主張していた住民一人当たり月1円(1円×12=12円強)という価格に近いものとなりました

    この提示額は経験からしてとして、従前の共同利用によるコストに対し価格破壊的なものと思います
    住民一人年に15円弱ということは、人口100万人の県での市町村による運用で考えると年に1500万ということになります
    県と市町村とでの共同運営においても年3000万程度で運用可能となることを意味します。3万人程度の自治体でのコストは年に45万円程度となります
    電子申請の運用が始まったばかりの頃、都道府県の共同利用で10数億が相場といわれていたようなことが嘘のようです

    住民一人あたり年に15円弱という価格が、安いのか高いのか適当なのか、その判断は難しいところですが、少なくとも過去の経験からすると、非常に安価であるといえると思います

    今後この事例が全国に波及していいう影響は大きいと思いますし、N○C株式会社はこのサービスと価格で全国にASP事業を展開していく責任と義務を負ったことになります

    従来メーカ系のベンダーは、ハードとソフトを自治体や国の機関に消費させることでビジネスを展開してきたところですが、ついにASPによるサービスを提供するという、新しいビジネスモデルの展開に踏み切ったのです

    世界を見ても、MSがWindowsやOfficeといったソフトを売って築き上げてきたビジネスモデルを、Googleがインターネットによるサービスを提供するという新しいビジネスモデルで、MSに脅威となるところまできています
    日本においても新しいビジネスモデルの展開で、高止まりしていたシステム開発運用にかかる経費の適正化が進むことを期待しています

  2. ASPのリスク
    elicuriさん、こんにちは。

    ご無沙汰しております。静岡県市町村の電子申請情報、ありがとうございます。

    まさに、電子申請の価格破壊ですね。すごい!

    契約の内容を見ていないので、詳しいことはわかりませんが、大手ベンダーさんですので、それ相当の考えがあっての落札と思います。(しっかり、儲け方を考えている)

    ASPサービスは、撤退しやすいビジネスモデルでもありますので、電子申請のような公共サービスにとって、対応の難しいリスクもあると思いますが、新しい電子政府サービスモデルとして全国普及できるよう応援していますね。

  3. しっかり儲け方は考えていると思います
    おっしゃるとおり、しっかり儲け方を考えていると思います
    落札後事業者が挨拶に回ってきましたが、フェアの案内のチラシを置いていきました

    その中には電子申請を後方支援するため必須である、文書管理のシステムのデモがされることが案内されています
    そう、多分フロントエンドである電子申請を安価に押えて、後方支援の文書管理他のシステムで儲けようと考えているのではと想像できます
    既にN○Cのシステムは全国で実績もあるもので、それほどに静岡県の要望で手を入れる部分も無いでしょうし、機器のコストが賄えれば十分と考えたのでしょう

    N○Cのシステムは従来N○○コムが表に立っていたようですが、流石にこれだけの低価格で勝負するためには、過去に高額で売ってきたユーザに対する配慮から、N○○コムが表に出ないでN○C本体が出てきたものと想像します

    まあ、過程はどうあれ自治体や国機関にとって一つの選択肢が増えたと考えれば、今回の静岡県の挑戦が意味のあったことと言えると、自我自尊の想いです

    オープンソース花盛りの今日この頃ですが、オープンソースは決してバラ色ではないと思っています
    自前で電算システムを抱え職員がプログラムを作っているところは、当然プログラムのソースは職員やそれを保守管理する事業者にとってもオープンだったのです。ところがその管理に汲々としているのです

    プログラムソースがオープンになって地元の事業者が管理可能になったところで、膨大なプログラムソースとドキュメントの中で、設計思想が自分達と異なる体系で作られた他の事業者のプログラムの管理が困難になることは経験からして、想像するのに難しくありません

  4. ASPの活用
    elicuriさん、こんにちは

    儲け方は、色々ありますね。

    ちまたに、これだけ電子申請システムが溢れていることを考えると、低価格の提供も、昔ほど大変ではないのだと思います。

    個人的には、良いものを作るのであれば、ベンダーさんには、しっかり儲けて欲しいと思っているのですが。。。

    他の自治体が採用している電子申請システムを導入する場合、その価格や機能はもちろんですが、

    ・当該システムの設計思想
    ・システム導入に伴う業務改革のプロセス
    ・行政職員や市民への教育・啓蒙

    といったものを、一緒に導入することが大切と思います。他の自治体で上手くいっているから・・・といった安易な理由で真似しても、同じ効果は得られないと思います。

    今回の静岡県の挑戦についても、その考え方や心意気に賛同することが、他自治体におけるASP活用のポイントとなるように思います。

    オープンソースは、ご指摘の通り、まだまだ難しい面が多いですね。

    こちらも、なぜオープンソースなのかを熟慮しないままの採用は避けて欲しいと思います。

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