つぶやき電子政府情報(2014年12月9日):デジタル社会対応遅れのしわ寄せは「本当に弱い人たち」へ

災害復旧や地方再生を妨げる、日本の登記制度
所有権の壁は厚いが、放置すれば弱者にしわ寄せ
戸籍もそうですが、日本における基本公共情報のデータ管理はデジタル社会への対応が進んでいません。しかし、「調整コストが大きいので放置している」現状が許されなくなるのも、時間の問題でしょう。記事にあるように、そのしわ寄せは「本当に弱い人たち」へ向います。くれぐれも、「弱いフリをしている人たち」に惑わされないようにしたいものです。
 
平成26年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について
平成26年11月17日に,12年以上登記のない株式会社,5年以上登記のない一般社団法人又は一般財団法人について,法律の規定に基づき,法務大臣の公告を行い,管轄登記所から通知書の発送を行いました。
上記の株式会社,一般社団法人又は一般財団法人に該当する場合には,平成27年1月19日までにまだ事業を廃止していない旨の届出をする必要があります。その旨の届出等がされないときは,解散の登記をするなどの整理作業を行いますと。
日本では、会社設立の手続が煩雑で実費(定款認証や登録免許税)だけでも20万円はかかるので(海外では数万円)、職権で解散されないよう注意しましょう。
 
Companies House rebuilds core services on MongoDB
英国政府では、オープンガバメントの流れも受けて、企業・法人登録データベースをドキュメント指向データベースへ移行すると。企業は事業所や事務所を各地に開設したり、様々な許認可等を取得したりするので、ドキュメント指向の効果を発揮しやすいかもしれませんね。
関連>>ドキュメント指向データベースと列指向データベース
 

 
個人番号を活用した今後の行政サービスのあり方に関する研究会(第4回)
平成26(2014)年11月21日
マイナンバー制度におけるスケジュール、個人番号カードの普及・利活用、普及・利活用に関わるブレストアイデア、公的個人認証サービスの利活用など。アイデアとして、被災時の本人生存確認、番号カードで観光地マイスター、マイナンバーでマイフレンド、ライフログを活用した健康増進支援、オリンピックチケットとしての活用などが挙がっています。
 
住基ネットの時も、ほとんど使えない「住民票コード」の代わりに、住基カードと電子証明書(公的個人認証)を普及させようとしましたが、ほぼ失敗に終わりました。マイナンバー制度も同じ流れで進んでいますが、実質的な強制力が働くようなカード交付等が無い限りは普及は厳しいでしょう。現実的な目標値を設定した上で、税金を使わない取組みで試行錯誤を繰り返すことが大切ですが、そのためには個人番号カードや公的個人認証サービスのオープンな開発・利用環境を提供する必要があります。
 
 
 
 
なお、省令関係の予定は、次の通りです。
 
・住基法施行令改正① 12月中に公布
・住基法規則改正① 12月中にパブコメ開始
・住基法施行令・規則改正② 12月中にパブコメ開始
・厚生労働省関係省令改正 12月中にパブコメ開始
・地方税法施行規則改正 12月中に公布
・住基法施行令・規則改正② 1月以降年度末までに公布
・厚労省関係省令改正 1月以降年度末までに公布
 
福祉を始めとした厚労省関係の事務や手続は、窓口が自治体になっているものが多いので、スケジュール調整がさらに厳しくなりますね。市町村から住民へのマイナンバーの通知は間に合うとしても、実際の業務におけるマイナンバー利用については、一部で延期もあり得るのではないでしょうか。
 
都道府県CIOフォーラム報告 第12回年次総会 – ディスカッション1-1 マイナンバー制度のためのシステム実装
システム改修・整備への国庫補助金に関して、税務システムは比較的改修が進んでおり、おおむね十分が10団体、やや不足(2割程度以内)・大きく不足(3割程度以上)が21団体、不明が16団体。福祉関係システムは、37団体が不明と回答(おおむね十分1団体、不足9団体)で、改修が進んでいないことが明らかに。団体内統合宛名システムでは、41団体が補助金が大きく不足と回答し財源不足であると。フォーラムが開催されたのは8月ですが、12月現在、各自治体はどこまで進んだのでしょうか。
 

 
50人対象に規模縮小、大阪駅ビル「顔画像追跡」実験の誤算
半年以上遅れてのスタートで、1日約43万人(乗車人員)の利用がある大阪駅全体ではなく、一般利用者が入れない場所で、かつ、あらかじめ文書による同意を得た50人程度の関係者限定で実験を開始することになったと。
今回のケースでは、法的には問題ないけど、運用面やリスクコミュニケーションに問題があったということでしょうか。外部有識者による第三者委員会に頼らざるを得ないような現状は改善するべきで、プライバシー影響評価(PIA)の制度を確立して、こうした実験への取組みが萎縮しないようにして欲しいと思います。
関連>>映像センサー使用大規模実証実験検討委員会(NICT)
 
「Microsoft Band」は予想以上、最高水準のウエアラブル!真の狙いは健康管理データ解析
医療機関とは別に、自分の健康情報を蓄積していく流れは加速しそうですね。個人的には、iPhone対応の手軽な心拍計として使えるバンドが欲しいので、「Microsoft Band」と「エプソン パルセンス」に注目しています。実際に買うのは、機器やアプリがもう少し安定・成熟してからかな。価格も1万円ぐらいだと嬉しい。
関連>>Microsoft Band | Official Site
PULSENSE   製品情報   エプソン
Gear Fit   ウェアラブル端末   SAMSUNG
Apple Watch
 

 
第7回 マイナンバー等分科会 平成26年12月2日
マイポータル/マイガバメント(仮称)の実現に向けたアクションプラン(素案)、デジタル郵便サービス(仮称)、ワンストップサービス等に対する意見・提案、ID・認証連携の動向など。
 
2017年1月よりサービスを開始するマイポータル/マイガバメント(仮称)について、主な機能や実現に向けた要件等を備えたうえでサービスを提供するものとして、設計・開発の調達手続を進めることとしたい。
マイポータル/マイガバメント(仮称)で実現する具体的なサービスについては、民間等の様々なアイディアを参考にしつつ、民間が順次参画でき、官民が連携して取り組むことのできるアクションプランを策定し、推進したい。2017年にリリース予定のサービスのロードマップについては2014年度末を目途に公表を目指すと。
 
提示されている要件を考えると、電子私書箱サービスは日本郵便の独壇場になりそうですが、それだけに終わらず電子政府仲介サービスも独占する可能性がありますね。税金を使わずに住民や企業の利便性が向上するのであれば、それも悪くないでしょう。
 
野村證券が提案している最新住所情報や顧客死亡情報については、(ほとんどの国民が利用しない)マイポータルに関係なく、企業等が一定の要件と手続に従って、全国統一されたデータベースに照会できる仕組みを作るのが効率的・効果的ですね。他方、「個人番号カードを活用した口座開設手続きの簡素化」と「利用可能範囲の拡大による証券サービスの向上(マイナンバーをキーコードに税務当局にオンラインで他金融機関との口座開設状況等の確認など)」は、ぜひ実現して欲しいところ。
 
 
 
 
中間サーバーはデータ移行に有用、業務フロー可視化で調達改革を
大山永昭教授による解説。中間サーバーには、国の機関やほかの自治体との間で住民情報を連携させるために、各自治体の各種業務システムの住民データが、副本として標準化されたフォーマットで保存される。各自治体は業務システムを更新する際に、業務システムにある原本のデータは捨てて、中間サーバーにある副本を使って原本を再生できるはずで、これを実現すれば、データの移植性の問題は解決できる。
 
医療分野でのマイナンバー活用については、「個人番号カード」に内蔵される公的個人認証サービス(JPKI)注6)の利用者証明用電子証明書を使って、医療情報とひも付ける方法を提案、医療用に別の番号を割り当てて別のカードを発行するのは、コスト面から選択肢にはなりえないと。
 
「番号通知カード」に印刷されるバーコードについては、次のように触れています。
 
2015年10月以降に住民に郵送される紙製の「番号通知カード」には、事務処理用の番号がバーコードで印刷される見込み。証明写真用ボックスに付加したリーダーでバーコードを読み取らせてから顔写真を撮り、申請ボタンを押すと、個人番号カードの発行元となる地方公共団体情報システム機構へ暗号化してデータを送り、交付申請が済むという仕組みを考えていると。
 

 
第1回 行政イノベーション研究会 平成26年11月28日
国の行政の業務改革の推進方策などについて検討し、行政マネジメントの新機軸を打ち出すための調査研究を行うために開催。行政を取り巻く現状、これまでの行政改革等の取組、検討のたたき台、当面の検討予定など。若手の構成員が多いのは良い傾向ですね。ただ、挙げられた検討の方向性では、業務改革が進むことはないでしょう。
関連>>「行政イノベーション研究会」の開催
Finland’s Innovillage spurs open development of e-gov services
フィンランドには、電子政府をオープンな環境で開発・実装するためのオンライン協働プラットフォームがあります。
 
 
第4回歯科診療情報の標準化に関する検討会
平成26年11月25日
平成26年度厚生労働省実証事業では、レセコンに身元確認支援機能(標準情報の入出力機能や個人の検索機能等)を付加する方法を検討。東日本大震災の身元確認(宮城県の最新統計)では、身体特徴・所持品等86%、歯10%弱、DNA1%、指掌紋3%であったと。
東日本大震災でも歯科医師らの協力により身元確認作業が進められましたが、データの電子化・標準化・データベース化が進んでいないのは問題ですね。国としてデータベースを整備して、全国的に身元確認の検索ができるようにして欲しいと思います。
 
 
 
「ヒトES細胞の樹立に関する指針」及び「ヒトES細胞の分配及び使用に関する指針」の制定について 平成26年11月25日
ヒトES細胞を医療に利用するまでに遵守すべき事項について、新たな指針を策定。
・基礎的研究に加え、臨床利用を樹立の目的に追加
・臨床利用までを目的とする樹立は、文科大臣及び厚労大臣の確認を受けること
・胚の提供者の個人情報は、連結可能な形で匿名化することも可能に
・胚の提供者に対し、得られた成果・所見は個別に開示しない旨を説明
・ヒトES細胞は、基礎的研究(非臨床試験等)を行う機関から、書面契約を結んだ上で、臨床利用機関に分配
・ヒトES細胞に由来する生殖細胞を、臨床利用機関に分配しないこと
 
藤沢市が語るマイナンバーに向けた情報セキュリティの勘所
マイナンバーへの取り組みは関連法案などが成立する前の2011年5月に開始。本格的な準備は2013年7月からで、庁内関係者・議会・市民への説明、庁内における全体計画の作成、組織体制の整備、事務作業等の全庁調査(関係部署や事務の洗い出し、業務フローの見直し、個人番号の本人確認など)を実施。2014年度はシステム面や「特定個人情報保護評価(PIA)」の対応作業を進めている。PIAの実施はあくまでセキュリティの強化するための方法であり、それ自体が目的化してしまっては本末転倒と。
特定個人情報保護評価(PIA)は、情報公開や説明責任の側面も強いですね。表に出てくるのは、藤沢市のようにしっかり進めている自治体ばかりなので、遅れ気味の自治体の実態が気になるところです。
 
2016年スタートのマイナンバー制度 環境整備や課題解決がビジネスチャンスに
短期的には公立図書館カードや健康保険証、自治体病院の診察券などとの統合が行われ、住民サービスの向上に関連した利活用が進む。2020年度ごろまでには医療・福祉分野の利活用が進み、薬の処方情報との連携や高齢者福祉に関する活用、さらに金融分野では預金口座へのマイナンバー付番が普及するほか、個人番号カードの活用による手続きの簡素化も進むと予想。この中で当たりそうなのは、預金口座へのマイナンバー付番ぐらいでしょうか。他方、マイナンバー制度の環境整備や課題解決を図るための新たなサービスが増えるのは確実で、個人情報保護法施行の時と同等以上の経済効果とビジネスチャンスがあるでしょう。
 
「マイナンバー導入で企業の不正がバレやすくなる」税理士が「導入後の変化」を予想
法人や個人(役員・従業員)に、税と保険に共通のマイナンバーが付けられると、番号をソートするだけで、社会保険に未加入の法人や、高額の給与があるにもかかわらず社会保険に加入していない人が、すぐにわかるようになる。高額の所得がありながら国民年金を払っていない個人事業者も、番号のソートですぐに発見されるようになるのではないかと。
 
マイナンバー制度 -民間企業への影響と求められる対応
公認会計士さんによる解説。どのような業務が影響を受けるか、制度対応に向けた留意事項、民間企業が対応すべき事項など。
 
事業者が適切に個人情報を利用するなら同意は不要【インタビュー】崎村 夏彦氏(野村総合研究所上席研究員)
ドイツはすでにレイヤー構造にすることが指導されていて、最初に2ページ程度の分量で重要事項を表示し、望んだ利用者だけが詳細な規約を読めるようになっていますと。コンセントレシートのような仕組みは良いですね。「自分の状況を確認できること」は、不正利用を防止するために有効ですので。
 
「地方創生」論議で注目、増田レポート「地方が消滅する」は本当か? 木下斉
地方消滅ではなく、「地方自治体の破綻」を人口統計分析から警告を発したにすぎない。自治体は直近の財政破綻を危惧すべきで、国民を移動させる前に、自治体経営の見直しを。人口がたとえ減ったとしても、苦しくとも破綻しない行政サービスを実現するために、様々な工夫をするべきと。正論ですね。 
 
夕張市財政再生計画の変更の同意 平成26年11月26日
9月16日に夕張市の財政再生計画の変更に同意したが、その後に発生した新たな事情に早急に対応するため、財政の再生に必要な計画及び歳入又は歳出の増減額並びに財政再生計画に計上した平成26年度分の歳入・歳出額を変更するもの。
障害福祉サービス給付費と生活扶助等給付費、共に前年度実績をもとに当初予算を計上していたが、利用者及び利用量の増加、医療費扶助の増加により経費が増加したため、不足額について追加計上すると。一般職給与も削減し、軽自動車税 標準税率の1.5倍以内に。
夕張市の現状は、あたかも全国の自治体の未来を予測しているようですが、世間は他人事のように消費税10%で大騒ぎしています。
 
異分野協力に消極的では自立生活支援サービスに乗り出せない
東洋大学の山田肇先生による投稿。自立生活支援サービスを提供するには、機器・住宅・通信・介護など、多くの業界が協力する必要があり、その上、自治体や地域コミュニティにも参加してもらわなければならないと。厚生労働省が考える「地域包括ケアシステム」も、機器や通信の分野が弱いですね。
関連>>地域包括ケアシステム |厚生労働省
生活支援サービスの充実と高齢者の社会参加(PDF)
介護保険外のサービスの開発とそれを活用した介護予防と自立生活支援(PDF)
 
 
 
 
国が地域経済のビッグデータ活用システム、各自治体に「データ分析官」を来春に配置へ
企業の取引データをベースに、地域経済の現状を分析するシステムを各自治体に提供し、経済政策や人口減少対策の立案などに生かすと。
 
重要インフラ13分野が一堂に会してIT障害対応のための演習を実施(PDF)
~【2014 年度分野横断的演習】~
情報通信、金融、航空、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油が重要インフラ13分野として位置づけられています。今回で9回目となり、過去最大規模になる見込みと。