文字情報基盤構築に関する研究開発事業、外字問題の解決に向けて

先日、第2回目となる文字基盤情報推進委員会に出席しました。

この委員会は、平成22年度電子経済産業省推進費による文字情報基盤構築に関する研究開発事業に設置されたもので、作者は主に「電子政府等の利用者視点」からの意見を求められて参加しています。

本事業は、主に次の二つを目的としています。

・文字を巡る課題と解決案の整理
・電子行政を推進するためのフォントと新漢字情報テーブルの整備

関連>>文字情報基盤構築事業の概要

住民登録は戸から個へ、国民IDで個人単位の記録・管理をする方法でも触れましたが、特に自治体における情報システムには外字の問題があります。

各市町村が、コンピュータで出てこない漢字を、自分達で作ってしまい、その漢字が自分たちのコンピュータでしか使えないという問題です。複数の機関や自治体間において電子データのやり取りをする時に、外字問題があると、正確なデータのやり取りができなくなってしまいます。

文字情報基盤、例えば、統一された文字コードに基づくフォントを税金で作って公開し、そのフォントを誰でも自由に使えるようになる仕組みがあれば、外字問題の解決にも役立つのではないかということです。

作者の周囲、特にITベンダーや自治体の情報システム担当者などからは、外字については「廃止して欲しい」といった声をよく聞きます。ベンダーさんにとっては外字自体が収益源で顧客の囲い込み策となっているのですが、日本の将来を考えた場合、廃止した方が良いであろうとベンダーさん自身も考えているようです。

作者自身も、時間をかけて外字を廃止する方向へ持っていくのが良いと考えています。

時間をかけることで、住民も職員もベンダーも対応が可能だろうということです。

基本的には、市販のパソコン等で表示できて、市販のプリンター等で出力・印字できる文字で足りるようにしていくのが良いでしょう。個人や地名の特定・識別は共通番号等の識別子を活用します。

ただし、戸籍については、色々と問題があるので、外字の利用を例外的に認めても良いと思います。

このあたりについて、委員会では下記のように提言しておきました。

●文字情報基盤構築事業への提言

・電子政府の観点、特に長期の視点から言えば
・行政事務で使用する文字については
・ベンダーやシステムに依存しないように
・中央省庁と自治体で統一共通化され公開された文字コードを利用するべきで
・時間はかかってもそこをゴールに定めるべきです。

・国際競争力のある電子政府を実現するために
・文字コードの標準化・共通化は欠かせない必須条件です。
・外字については、これ以上増やさないだけでなく
・期限を決めて廃止することも視野に入れる必要があります。

・統一された共通文字コードの利用は
・今後設置される政府CIO体制の下で
・法令等による権威付けや義務化が必要です。
※住民に対する説明の根拠としても有効

・戸籍については
・個人のアイデンティティ(自己同一性)や歴史文化の問題にも関係するので
・外字の利用を例外的に認めるなど別枠で扱っても良い。
・ただし、戸籍は、日本人の公的な記録のルーツとして
・行政事務には欠かせない情報なので
・外字によって事務処理が妨げられないようにしておく必要があります。

例えば、
・戸籍にも、住民票コードや共通番号を記載事項として追加し
・容易に個人を特定識別できるようにしておく。

・戸籍のデータベースを、各自治体で個別に管理するのは止めて
・諸外国の住民登録データベースのように
・ネットワーク化や統合化により、連携共有を進める。
・外字情報も共有化する。

などの方法が考えられます。

・いずれにしても、日本がデジタル社会への移行を本格的に進めるためには
・行政事務や行政情報管理のやり方・考え方を
・大幅に改めなければならない時期にきていることを
・本事業の成果の中に示して頂きますようお願いいたします。

これまで解決できなかった外字問題に、何らかの明るい方向性が示されるだけでも、電子政府を進める上で大きな影響を与え、関係者の励みとなります。今後の電子政府には、こうした「核となるスイッチ的な事業」を進める中で、これまでの制度や慣習を変えていくことで、閉塞感を打破していくことが求められます。

そんな視点から、文字情報基盤構築を見ていきたいと思っています