厚生労働省:電子申請に関するアンケート調査、調査の姿勢や手法も評価の対象

厚生労働省が、電子申請に関するアンケート調査をお願いしています。労働・雇用関連の手続をされている方は、ご協力のほどよろしくお願い致します。

アンケート等を通じた利用対象者(利用してくれそうな人も含めて)へのアプローチは、電子申請のサービス品質を高める参考となるだけでなく、認知度や満足度も高めてくれるものです。

ですから、電子申請システム・サービスを評価する際も、どのように利用者との関係を維持・管理しているかは、重要な指標の一つとなります。

利用者アンケートの実施については、国税庁の電子申告・納税システム(e-Tax)が一歩も二歩もリードしていましたが、厚生労働省にもかなりの改善傾向が見られます。

関連ブログ>>国税電子申告・納税システム(e-Tax)のアンケート実施結果について

●利用者アンケート実施のポイント

行政にありがちなのが、「利用者アンケートを実施しましたよ」といったパフォーマンス&PRで終わってしまうパターンですが、これは避けなければいけません。

ポイントとしては、

1 目的を明確にすること

例えば、「新規の利用者を増やす」「継続利用者の満足度を上げる」「維持・管理コストを削減する」「より効果的な広報・マーケティングを実施する」といった具体的な目標を設定します。あれもこれもと欲張りすぎず、限られた資源(お金、人、時間)をどこにつぎ込むのが良いかを考えましょう。

2 質問内容を精査する

質問内容を絞り込むためには、前回のアンケート結果を参考にすると共に、数は少なくてもかまわないので、事前に個別・グループインタビューを実施しておくと良いでしょう。

最新の動向を理解でき、前回アンケートの結果を踏まえて実施された改善策の有効性も確認できるからです。このプロセスを経てから質問を絞り込めば、より具体的な改善に結びつく利用者の声を引き出す可能性が高まります。

3 募集告知の方法を工夫する

今回の厚生労働省アンケートでは、

(1)Excelファイルに回答の上、電子メールにより返信する場合
(2)電子メールに直接入力して返信する場合
(3)郵送またはFAXによる場合

と回答者に選択肢を提供しています。これだけでも、いくらか回答しやすくなりますが、ウェブ上のアンケートとしてはかなり特殊な形式に限られています。

現在は、ウェブサイト(厚生労働省のサイト、委託先の企業サイトなど。通常はSSL暗号化通信を採用)のアンケート専用のページにアクセスして、回答し、送信ボタンをクリックして完了。といった流れが一般的(=回答しやすい)です。

「給付金問題」で「政府から国民への支払手段・経路」が確立されていないことが明らかになりましたが、「ウェブサイトを経由して国民から意見をもらう手段・経路」についても、同様に確立されていない。これが、日本の電子政府の現状なのですね。

アンケートの実施については、インターネット上で実施されるものに限っても、既に多くのノウハウが蓄積されています。参考書籍や専門家のアドバイスを得ながら、できるだけ多くの、かつ質の高い(信頼性の高い)回答が得られるようにしましょう。

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4 結果の知らせ方・見せ方に配慮する

これも行政が苦手な分野です。

「結果を公開すること」が目的ではありません。

「結果の公開」を通じて、国民や利用対象者との関係を改善することが大切なのです。

まず、回答者に対しては、結果の概要や公開ページのURL等を電子メール等で知らせます。

結果の公開ページでは、図表等を用いてわかりやすく説明します。

さらに、主な意見・要望に対して

1)意見・要望の概要
2)意見・要望に対応する現在の機能やサービス
3)意見・要望に対応する今後の改善案

などを一覧して提示します。

こうしておけば、自分の意見や要望に対して、行政がどのように対応してくれるのか(既に対応済みなのか)がわかるので、「回答しても無駄だ」といった考えを減らすことができます。

上記の一覧を毎年更新していけば、意見・要望への対応状況の経過が一目でわかるようになり、評価もしやすくなります。

このように、「電子申請のアンケート調査」一つを取ってみても、行政が改善する余地は山ほどあり、合格レベルに達している行政機関は、驚くほど少ないのです。