「IT新改革戦略 政策パッケージ」の決定

平成19年4月5日、IT戦略本部で「IT新改革戦略 政策パッケージ」が決定されました。これに合わせて、「IT新改革戦略評価専門調査会2006年度報告書」も公開されています。7月頃には「重点計画-2007」も策定される予定です。年度始めは、電子政府に関する様々な報告書や資料が公開されるので、目を通すだけでも大変

関連>>IT戦略本部第40回議事次第

「IT新改革戦略 政策パッケージ」における電子政府関連の取組み・施策は、次の通りです。政府提供の概要版(PDF)や作者の「電子政府タイムテーブル」も参考にしてください。

●国・地方の包括的な電子行政サービスの実現

・国・地方の枠を超えた電子行政窓口サービス実現の課題抽出と分析(2007年度)
・現行の申請・届出等に係るオンライン手続の利用状況の把握(2007年度)
・利用者視点に基づく行動フローの分析やニーズの把握(2007年度)
・事業化に当たっての個別具体的な課題の抽出・分析と改善(2008年度以降)
・第2世代の電子行政サービス基盤の標準モデル等の構築(2010年度を目途)

現状の把握・分析が、具体的な計画として盛り込まれたのは、とても良いことですね。急ぐことはありませんので、利用者との対話を大切にしながら、国民に愛される電子政府サービスを実現して欲しいと思います。

「国と地方」も大切ですが、まずは「国の行政機関(府省)間の連携」ができないとダメですね。

●国民の健康情報を大切に活用する情報基盤の実現

・希望する全ての国民が自らの健康情報を電子的に入手できる仕組みを構築
 →データ形式や提供ルール等の決定(2008年度末まで)

・全ての医療機関等が相互接続されるネットワーク基盤の構築(2011年度当初まで)
 →統一的なセキュリティ要件の確立(2007年度まで)
 →匿名で全国的に収集すべき項目・活用主体・方法の検討(2007年度中に結論)
 →上記項目の収集・分析(順次実施)

・個人の健康情報の閲覧・管理に使用する「健康ITカード(仮称)」の検討
 →2007年度中に結論を得る
 →必要となるインセンティブや制度整備について継続的に検討

「健康ITカード(医療保険証、介護保険証、年金手帳・証書等の統合)」の実現には、「社会保障番号(年金、医療、介護、雇用保険等の番号の統合)」の導入が必要となります。

一番悪いシナリオは、中途半端な改変を繰り返して、「お金ばかりがかかる使いにくい仕組み」が出来上がってしまうこと。

検討にあたっては、情報公開や国民との対話を基本として、国民の理解と信頼を得るための努力を惜しまないようにしましょう。

関連>>医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン(厚生労働省)「社会保障番号」に関する実務的な議論の整理について(経済財政諮問会議)

●国民視点の社会保障サービスの実現に向けての電子私書箱(仮称)の創設

・社会保障に関する情報を、国民自身が簡単に収集管理できる仕組みの構築
 →「電子私書箱(仮称)(電子情報アカウント)」の検討(2007年度)
   (サービスのあり方、安全に情報交換するための仕組み、データ形式等)
 →「電子私書箱」の電子申請・民間サービス等への利用拡大の検討(2007年度)
 →「電子私書箱」サービスの開始(2010年頃)

「国民個人の情報アカウントサービス」については、作者も考えているので、近いうちに本ブログでもご紹介したいと思います。

キーワードは、「認証」、「既存のインフラやサービスの活用」、「民間サービスとの連携」などでしょうか。

「電子私書箱」の考え方は悪くないと思いますが、やり方を誤ると、莫大な負の資産を抱えることになりますので、注意が必要です。

スケジュールを見ると、2007年度中に大枠が決まってしまうようですが、このままでは恐らく失敗するでしょう。

設計・開発が始まる前に、何とかしないといけませんね

“「IT新改革戦略 政策パッケージ」の決定” に2件のコメントがあります

  1. 箱だけ用意しても
    むたさん また出てきました。

    この前も出しましたが、経団連提言

    世界最先端の電子行政の実現に向けた提言

    ビジョンの共有と官民パートナーシップによる推進を

    http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/031.html

    この中にエストニアの例がありますが、X-ROADのような存在があって、電子私書箱は活きてくるのだと思います。

    しかし、日本の人口、高齢化、縦割り行政、使い物になる仕組みを作るには。ある世代を特定した大がかりな実証実験をやってからでないと失敗するでしょう。

  2. 申請のID管理
    sagoさん、こんばんは。

    いつもコメントありがとうございます。

    カナダのケベック州が採用するワンタイムパスワード

    は、ペイジーの電子決済と同じ感じですね。

    申請者情報を含む「申請」や「支払い(債務)」にIDを付与することで、申請者の認証を簡易化できるんですよね。

    確定申告のように毎年決まって行われる申請では、ワンタイムID&パスワード方式は有効と思います。

    エストニアは、欧州電子政府の成長株で、国の政策、人口規模、国民ID管理の制度などが上手くかみ合ってます。

    ●エストニアIDカードの利用状況

    http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/kojin_ninsho/pdf/070201_si4.pdf

    経団連提言は、経済界らしい提言内容ですが、さすがによく調べてありますね。

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