デジタル時代の政府会議の進め方、合理的な議論と意思決定を行なうために

なぜ会議は決裂したのか、海賊版対策TFの議論を検証する  日経 xTECH/日経コンピュータ
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/103000174/

浅川直輝記者による解説記事を読むと、法制化の推進を前提とした会議であることが明白だったのにもかかわらず、メンバー選定に難航したことで、事務局が人選を誤った(妥協したのか、それとも意図的にそうしたのかは不明ですが)という印象ですね。

インターネット上の海賊版対策は「ブロッキングありき」で考えておいた方が良いでも触れたように、そもそも「ブロッキングありき」の検討会ですから、議論の進め方や結論の出し方については、かなりの事前準備が必要なのですが、それができなかったということでしょう。

このように迷走した印象の強い「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」ですが、今後の政府における問題の検討や意思決定のあり方について、いくつかのヒントを与えてくれます。私の理解は、次のようなものです。

1 有識者は、ある専門分野の専門家であるが、議論の専門家ではない
2 合理的な議論や意思決定には、そのための専門的な知識や技術が必要である
3 推進派と反対派が参加する問題では、お互いの「勝ち負け」を競ってしまう

今後のデジタル社会では、こうした問題を解決するためにAI(人工知能)を活用するのが良いでしょう。具体的には、次のような役割分担で進めます。

有識者:問題に関するデータや論拠を提供する
AI:提供されたデータや論拠を検証し、一人二役で議論する
政治家等:議論の結果を踏まえて、意思決定を行なう

AIが行なう「一人二役の議論」は、AlphaGoが行なった「自己対戦による強化学習」のようなイメージです。人間と違って、議論が感情的になってしまうことはありませんし、主張や議論が苦手な有識者の優れた知見が生かされないといったことも回避できます。

ブロッキング法制化についての検討であれば、次のようになります。

1 ブロッキング法制化の有識者を賛成派・反対派・中立派で同じぐらい集めて検討メンバーにする

2 各メンバーは、自身の主張(賛成、反対、その他)と、その主張に関するデータ・論拠をデジタルデータで提供する

3 AIは提供されたデータ・論拠を検証し、賛成派の立場と反対派の立場で議論(自己対戦)する

4 議論の途中結果は2回ほど公開され、その結果に対して各メンバーは追加のデータや論拠を提供する

5 追加のデータや論拠も踏まえて、AIは最終結果を出し、その結果は公表される

6 意思決定者は、AIの最終結果を踏まえて、ブロッキング法制化の実施の有無を決める

上記の記事では「2年かかる議論を3カ月で」とありますが、AIによる議論であれば3ヶ月もあれば十分ではないかと思います。


オープンデータはなぜ簡単には進まないのか?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181025-00000005-ascii-sci

筑波大学教授の川島宏一教授のインタビュー。データには完全に誰にでもオープンにすべきものと、完全にクローズにしなければならないものがあるが、データはこの2つに完全に分けられるわけではない。課題解決に必要なデータからオープンにしてもらうのが良いと。私のオープンデータに対する認識も、川島教授とほぼ同じです。


大型討論番組グローバル・アジェンダ「個人データをどう守る?」
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=608&date=2018-11-02&ch=11&eid=22729&f=3546

IT先進国エストニアの事例も見ながら、個人・企業・国家それぞれの立場を重視する各国の専門家が討論し答えを探るそうです。パネリストとして、エストニア共和国のケルスティ・カリユライド大統領が出演します。

[BS1] 2018年11月2日(金) 午後6:00~午後6:50(50分)

番組内容:ネット上で相次ぐ個人データの流出。企業は対策に追われ各国の規制強化も続く。個人データ管理のためにどのようなルールを作れば、信頼は生まれるのか?専門家が討論する。

出演者ほか:【パネリスト】エストニア共和国大統領…ケルスティ・カリユライド,【パネリスト】中国・清華大学教授…李暁東,【パネリスト】アイオニックセキュリティ社創設者…アダム・ゲティ,【パネリスト】ハーバード大学法科大学院教授…ウルス・ガッサー,【司会】榎原美樹


医療ビッグデータの活用に進む韓国
http://agora-web.jp/archives/2035273.html

もともと韓国には多くの健康保険組合があり、また非加入の国民もいたそうだが、1989年に国民皆保険を達成し、その 10年後に保険者統合を成し遂げ、今では単一保険者体制が定着していると。韓国の医療データベースの活用は、ほぼエストニアと同じ感じですが、人口5000万人規模で、それを実現しているのがすごいです。日本の電子政府でも、IT化をする前に、可能な限り整理・統合することを義務化して欲しいなあ。
関連>>ハンコ消えた?茨城県の改革に賛否 「実態は紙のまま」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181024-00000016-asahi-soci

認知症官民連携実証プラットフォームプロジェクトの情報登録サイトを開設
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181031009/20181031009.html
情報登録した機関(企業、自治体等)内や、一般向けに公開し、アカデミア・民間企業・自治体・介護事業者等の自発的なマッチングを促進させることで、「認知症の人にやさしい」新たな製品やサービスの開発・社会実装を加速化させることを目指すと。
関連>>認知症の検査/評価尺度・対応方法・フィールドに関する情報登録のご案内
https://www.amed.go.jp/news/program/dementia-match.html

電子カルテがウイルスに感染電子カルテがウイルスに感染
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20181023/2050001308.html
被害が「電子カルテのシステムが使えなくなった」だったのは、不幸中の幸いかと。これがカルテの書き換えや患者の入れ替え等だったら、医療事故になる可能性がありますよね。

女性医師を増やしても根本的な問題は解決しない
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t317/201810/558392.html
医師が馬車馬のように働かされるのは間違っている。東京医大の問題をターニングポイントとして、日本の医療界が舵を切る方向を変えるべきと。性別に関係なく、全ての職種が働きやすくて働きたくなる医療機関の実現を、政府が制度として保証することが必要ですね。


生活保護受給者に対する就労支援のあり方に対する研究会
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000375169.pdf
ケースワーカーに求めるもの
・精神障害者だからと差別しないでほしい
・こちらにも人権があるのだから尊重してほしい
・勝手にそうだと思い込んで、色々決めないでほしい
関連>>第4回 生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212499_00002.html

さらばパスワード ヤフー、生体認証でログイン可能に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36831110T21C18A0X13000/
「アンドロイド」を使ったスマホとブラウザー「クローム」の組み合わせで利用できる。スマホの生体認証を利用すればリスクを減らせて「なりすましによる被害はほぼゼロになる」と。

日本型プライバシーポリシーをGDPR対応させるために足りない要素まとめ
https://www.cloudsign.jp/media/20181025-privacypolicy-euvsjapan/
たんに文章を修正するだけではなく、EUがGDPRで求めている個人データ保護の水準にあわせ、自社の管理体制を見直したり、水準を持ち上げたりする必要があると。見直しのきっかけですね。

iOS12アップデートでGrayKeyによるiPhoneロック解除は不可能に
https://iphone-mania.jp/news-231068/
GrayKeyは、いわゆる「総当たり法(brute forcing)」を使い、何通りものパスコードを推測するという手段でiPhoneのパスワードを破ってきたが、iOS12ではこれが通用しなくなっていると。iPhoneユーザーとしては嬉しい変更です。


The Global Competitiveness Report 2018 (世界経済フォーラム)
https://www.weforum.org/reports/the-global-competitveness-report-2018

新しいグローバル競争力指数4.0の導入により、第4次産業革命の時代における生産性と長期的な成長の原動力である新興企業の動向がわかると。指標として、制度、インフラ、ICTの採用、マクロ経済の安定、健康、技能、製品市場、労働市場、金融システム、市場規模、ビジネスのダイナミズム、イノベーション能力など。適応性(adaptability)や敏捷性(Agility)の重要性が高まりそうです。
ベスト10は、米国(85.6)、シンガポール(83.5)、ドイツ(82.8)、スイス(82.6)、日本(82.5)、オランダ(82.4)、香港(82.3)、英国(82.0)、スウェーデン(81.7)、デンマーク(80.6)となっています。
関連>>IMD World Competitiveness Rankings 2018 Results
https://www.imd.org/wcc/world-competitiveness-center-rankings/world-competitiveness-ranking-2018/
こちらでも米国は1位ですが、日本は25位とかなり低い結果になっています。


How Estonian e-Residency helps you sell on Amazon in Europe with FBA
https://medium.com/e-residency-blog/how-estonian-e-residency-helps-you-start-selling-on-amazon-in-europe-with-fba-5da5fe14513d
エストニアのe-ResidencyがFBA(Fulfillment by Amazon)を使ってヨーロッパのAmazonでで販売する方法を紹介しています。
関連>>Welcome to our digital nation, Bill Gates.
https://medium.com/e-residency-blog/welcome-to-our-digital-nation-bill-gates-a8c33edd79a8
ビル・ゲイツ氏もe-Residencyを取得しました。

全従業員がハイパフォーマー、ネットフリックスの最強すぎる人事戦略
https://diamond.jp/articles/-/183383
望ましい企業文化を生み出すために、全従業員がよりどころとすべき行動規範を設計する。そしてそれを周知させ、実践を求めることで、チームは驚くほど活性化すると。組織文化の重要性は、電子政府の先進国を見ていても感じますね。

「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」中間整理
2018年10月17日 経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181017005/20181017005.html
新しいモビリティサービスに関するグローバルな動向を整理した上で、それと対比する形で日本における現状と課題を整理したと。
1 デジタル投資促進とデータ連携・利活用拡大のための基盤整備
2 スタートアップや異業種等との協業の促進
3 企業と連携して新たな取組に挑戦する地域の支援

スパコンが8億年かかる計算を1秒で解く国産チップの驚異的潜在力
「新型コンピューター『デジタルアニーラ』」東 圭三/富士通AIサービス事業本部長
https://diamond.jp/articles/-/179433
デジタルアニーラは量子コンピューターのように、「0」でもあり「1」でもあるという状態を可能にし、並列的に情報を処理できると。久しぶりに富士通関連の良いニュースを読みました。


彼らがトランプ氏を憎む本当の理由
https://diamond.jp/articles/-/183313

トランプ氏を憎む人々が実際に、平均的な米国人――男性であっても女性であっても、白人でも黒人でも――を憎んでいることと同じだと筆者は考える。そうした人間はたいてい、米国も憎んでいると。これは、日本にも当てはまるような。。

ホントに効果あるの?「睡眠衛生指導」
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/mishima/201810/558350.html
医療現場で遭遇する患者さんの睡眠問題をどう診立て、いかに対処するかを紹介しています。医療費を抑制するためには、「お金のかからない予防医療」の発展が急務と思いますが、「睡眠衛生指導」もその一つですね。「お金のかからない政府のデジタル化」を考えた場合、「睡眠衛生指導」に該当するのは何かなあ。。


情報通信審議会 電気通信事業政策部会 電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証に関する特別委員会(第1回)配布資料・議事録 平成30年10月4日
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/denki_hokatsu/02kiban02_04000358.html
事務局から「2030年頃を見据えたネットワークビジョンに関する考察〈議論のたたき台〉」が出ています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000578003.pdf
・プラットフォームサービスが重要性を増す中、プラットフォーマが、各レイヤにおいて寡占を強め、利用者がその提供条件(利用規約等)に同意せざるをえない環境が固定化されるのではないか。
・実質的に、ありとあらゆるデータが、国外に拠点を有する事業者によって管理・運用されるようになるのではないか。
・通信ネットワークがエコシステムの一部に組み込まれ、モジュール化するのではないか。
・オペレーション制御において、AI能力が市場支配力を決定づけるのではないか。
・インテリジェンスの偏在により、セキュリティの脅威が増大するのではないか。など

人間中心のAI社会原則検討会議(第6回) 平成30年10月2日
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/humanai/6kai/6kai.html
AI戦略の抜本的強化に向けた政府の検討状況、AI戦略(案)全体俯瞰図、労働政策審議会労働政策基本部会報告書、UNESCOにおけるラウンドテーブル参加報告など。

「クラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示指針」における「IoTクラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示指針」の追加 平成30年10月26日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000216.html
同じような情報開示指針が増えてきて、混乱しますね。ASP・SaaS編とIaaS・PaaS編があります。


民法改正がITに与える影響
https://cyberlawissues.hatenablog.com/entry/2018/10/25/092735
水町雅子弁護士のIT情報法ブログより。瑕疵担保責任、消滅時効、法定利率、契約の解除、原始的不能の場合の損害賠償、定型約款など。

海賊版サイト「捜査を渋る」日本の警察こそ弊害である
https://ironna.jp/article/10999
本来であれば、警察に海賊版サイトの存在を通報して被害届を出すだけで、警察が捜査を行って海賊版サイトの犯人を逮捕し、サイトを閉鎖することが、あるべき法治国家の姿であると。サイバー犯罪対策の優先度として、海賊版サイトはどうしても低くなりがちですよね。「警察によるサイバー犯罪に対する捜査態勢の強化」は、諸刃の剣でもあるので、気をつけたいところ。警察自身が、政府の一部であり行政機関なのですから。
関連>>検証・評価・企画委員会コンテンツ分野会合(第1回)の開催について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2019/contents/dai1/kaisai.html
「ブロッキングについてはまとまらず」混乱つづいた海賊版対策「座長メモ」の形で報告
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181030-00008767-bengocom-soci

サイバー攻撃から身を守る4つの方法
マルウェアアナリストが語る、日本が狙われる危険性とその対策
https://logmi.jp/business/articles/317229
最近のサイバー攻撃・犯罪の動向や対策が、わかりやすく整理されています。すべてのマルウェアの検出合計では、日本は全世界の2パーセント程度で、とくに検出が多い国ではないが、Downloaderが非常に多く検出されている点が特徴的と。


インターネットを通じた遊技機サービスの提供について
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181031006/20181031006.html

この照会と回答って、けっこう重要だと思うのですが、あまり注目されていないですね。
客の立ち入らない倉庫等に設置したメダルゲーム等の遊技設備(風営法第2条第1項第5号の営業において用いられるもの)を、インターネットを介して遠隔操作させることにより客に遊技させるサービス提供が、第2条第1項第4号又は第5号に規定する営業に該当するか否かについて、国家公安委員会が同法の規定による規制を受けないと解して差し支えないと回答。
関連>>風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000122


日印デジタル・パートナーシップに合意しました
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181029004/20181029004.html
協力の範囲をさらに企業間連携、IT人材、AIに関する研究開発、次世代ネットワーク、エレクトロニクスといった分野にも拡げると。

「Connected Industries」実現に向けた官民の取組の進捗と課題
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181018007/20181018007-1.pdf
スマートライフ分科会では、生活データを活用した健康・介護等のサービス市場の創出に向けた取組を実施。
関連>>CEATEC JAPAN 2018「Connected Industries」シンポジウムを開催
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181018007/20181018007.html

紫波町「オガール」、視察ランキングで2年連続1位
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/091800002/100200005/
国内旅行する際の参考にもなりますね。

シリアから解放の安田氏に問われる、ジャーナリストとしての“2つの姿勢”
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181101-00000012-zdn_mkt-bus_all
拘束された安田氏はジャーナリストとして「無謀」だったのではないか。フリーのジャーナリストが戦地に取材に行くのは、とにかくリスクが高すぎる。「戦地に入る」という判断をするなら、さまざまなケースを想定し、準備を徹底することが必要。人が行かないところに潜入して、人が知り得ない現実を伝えたいという動機も分かるが、それは、考えられる限りの安全を確保した上で初めて実行に移すべきであると。

韓国の民主主義はなぜ「脆弱」なのか?強権的な政権が生まれる構造
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58167
朴鍾哲と李韓烈の死に象徴される分断暴力による夥しい犠牲を礎に、やっと勝ち取られた1987年6月の民主化宣言。それが李明博(イ・ミョンバク)と朴槿恵の政権で見るも無残に破壊された現状に足を踏みしめ、改めて「1987」とは何だったのかを問い、再び民主主義を鼓舞しようとしたのが本作ではないだろうかと。