平成28年度総務省所管予算概算要求に見る、マイナンバー制度のこれから

平成28年度 総務省所管予算概算要求の概要(PDF) 平成27年8月
平成28年度の要求額(一般会計)は、16兆4,983億円。「経済財政運営と改革の基本方針2015」で示された「経済・財政再生計画」を踏まえ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成27年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保。
 
個人番号制度の導入、個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進には204.3億円+事項要求。
 
内訳は、次の通り(カッコ内は前年度)。
 
(a) 個人番号カードの発行等に関する経費 141.2億(483.2) 
(b) 通知カード及び個人番号カードの有効性情報提供事業に要する経費 18.6億(新規)
(c) 個人番号制度の導入及び利活用等に要する経費 9.0億(5.9) 
(d) 情報提供ネットワークシステムの設置・管理 15.7億(1.2) 
(e) 地方公共団体の情報システムの整備への支援 15.5億(127.5)
(f) 自治体情報セキュリティ緊急対策事業 4.4億+事項要求(新規)
 
各自治体の情報システム整備は一段落して、個人番号カード費用もピークを過ぎた感じですね。自治体の情報セキュリティ対策は、対症療法的なものになりそう。。
 
その他、「ICTによる社会的課題の解決」45.3億円では、
 
・医療・教育分野等のICTの活用 21.3億円
・社会インフラ維持管理へのICTの活用 1.5億円
・若年層に対するプログラミング教育の推進 5.0億円
・ロボットや人工知能による行動支援(自動走行、自動制御等)17.5億円
 
とあり、「個人が自分自身の医療情報等を効率的に管理し、自分に合った医療サービス等を受けられる環境を整備すること等により、少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増大等の課題解決にICTで貢献」を目指しています。
 
オープンデータ関連の事業も多く、
 
・自治体データ開放による公共サービス産業化 4.2億(1.3)
・地域の産業・雇用創造チャート 1.6億(新規) 
・オープンデータ・ビッグデータ・クラウドの活用推進を通じた地域産業の生産性向上・活性化 5.9億(4.0)
・G空間2.0 9.5億(6.2) 
・統計オープンデータの高度化 13.3億(9.6)
 
などがあります。
 
 
平成27年度末までには、住民へのマイナンバー通知も終わり、個人番号カードの実際の需要が明らかになります。
 
平成28年度は、国・地方の情報連携やマイナポータルの開始に向けた準備や最終テストで忙しい1年になりますが、マイナンバーや法人番号を社会に浸透・普及させていく中で、国民の不安を少しずつ解消していくことが大切でしょう。
 
マイナンバーは、政府が宣伝するほど劇的な効果やメリットが実感できるものではなく、反対派が騒いでいるほど危険なものでもありません。マイナンバーへの期待も不安も過剰であることを、国民や政府や社会が理解し実感するために、2-3年はかかると思います。
 
平成28-30年度にかけては、社会保障や税の分野におけるマイナンバーや法人番号の利用を確実なものとするべく、地道な作業を積み重ねていくことが大切です。
 
マイナンバーの目的は、過剰な修飾語を排除した本音ベースで言えば、大きく分けて次の2つです。
 
1 税や保険料の確実な徴収
2 徴収した税や保険料の再分配の最適化
 
どちらか先かと言えば、間違いなく「税や保険料の確実な徴収」です。
 
「再分配の最適化」は、「日本の社会保障制度をどのようなものにするか」という選択で決まります。マイナンバーは、この「選択の幅・可能性を広げてくれるもの」と理解するのが良いでしょう。
 
「税や保険料の確実な徴収」が無ければ、現実的な選択はできません。社会保障制度に関する政府の提案は、楽観的予測にとどまっており、「現実的な選択」はできていないと思います。
 
いずれにせよ、臭いものにフタをしても、問題の先送りにしかなりません。必要なのは、政府や政治家の覚悟であり、「国民自身が現実的な選択をする覚悟があるか」を問われているのです。
 

 
日本年金機構における個人情報流出事案に関する原因究明調査結果(PDF)
平成27年8月20日 サイバーセキュリティ戦略本部
事案の状況と本部及びNISCの対応、事案に関する技術的検討、CSIRT(情報セキュリティインシデント対応チーム)の運用等に関する検討、今回のサイバー攻撃の特徴と対策、本部及びNISCがとるべき再発防止対策など。IT依存度の高まりに対して、IT専門職、一般職員とも、十分に対応できていない面が今回の調査を通じて明らかとなったと。
関連>>不正アクセスによる情報流出事案に関する調査結果報告について(PDF)
平成27年8月20日 日本年金機構
個人情報等重要情報については、インターネット接続環境から完全に遮断すると。電子政府の多くのサービスは、インターネット上で個人情報をやり取りするのが基本なのですが。。
日本年金機構における不正アクセスによる情報流出事案検証委員会検証報告書について
平成27年8月21日 厚生労働省
個人情報の一元管理(二重管理の禁止)を徹底して欲しいですね。
「年金機構の態度は論外」、年金情報流出問題に3つの調査報告書が出そろう
 
 
政府サイバー戦略が2カ月遅れでようやく確定へ、年金機構問題踏まえ見直し
見直し後の戦略案ではNISCによる監視対象の拡大を掲げ、「政府機関全体としてのサイバーセキュリティを強化するため、独立行政法人や、府省庁と一体となり公的業務を行う特殊法人等における対策の総合的な強化を図る」と明記。重要なのは、「組織」ではなく、「どのような情報を扱っているか」なので、当然の対応ですね。この意味では、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」も変えるべきであり、行政機関でも独立行政法人でも民間企業でも、法令に基づく公的業務で処理される情報については、一つの法律で管理できるようにするべきです。
関連>>サイバーセキュリティ戦略本部
Public Information Act (エストニア)
§ 3.  Public information
 (1) Public information (hereinafter information) is information which is recorded and documented in any manner and on any medium and which is obtained or created upon performance of public duties provided by law or legislation issued on the basis thereof.
 
ソニーの電子お薬手帳「harmo」はこうして生まれた
2015年7月末時点で、導入薬局は413カ所、導入医療機関は16カ所に達し、利用者は1万7400人を超えたと。心配なのは、こうした「電子お薬手帳」が乱立する中で、デンマークやエストニアのような電子処方箋の導入が一向に進まない状況が続くことです。
 
社員・職員のマイナンバーはどうやって集める?
入社時などに、運転免許証や顔写真付き学生証などで本人確認を済ませてあり、顔を見ることで明らかに本人であることを知覚できるなら、通知カードだけを持ってきてもらえばよいと。番号の間違いについては、検査用数字の活用を推奨。
 
郵便局のみまもりサービス – 日本郵便
提供地域は、今のところ、かなり限られているようですね。日本の高齢者は、日本郵便に取り込まれていくことになるのでしょうか。
 
移動に役立つデータのオープンデータ化開始 平成27年7月21日
国土交通省が保有する約5万件のデータからスタートすると。
 
関連>>歩行者移動支援サービスに関するデータサイト
鉄道駅等の旅客施設や不特定多数の者が利用する建築物のバリアフリーに関するデータ(約7千件)、無料公衆無線LANスポット(約4.2万件)に関するデータなど。
 
 
【必修 企業のマイナンバー取り扱い実務とは】第4回
マイナンバーの取り扱いのうち「利用・提供」「廃棄」「公表・開示・訂正・利用停止等」について解説。企業グループなどではグループ会社の人事情報を統合し、人事データベースを共同利用していることもあるだろう。個人情報保護法では問題なかったが、マイナンバーでは問題となるケースが出てくると。
 
「事業者における特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応について(案)」に関する意見募集 2015年07月25日  2015年08月24日締切
事業者が取り扱う特定個人情報について、漏えい事案その他の番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案が発覚した場合について、次の事項について必要な措置を講ずることが望ましいと。報告についても言及。
① 事業者内部における報告、被害の拡大防止
② 事実関係の調査、原因の究明
③ 影響範囲の特定
④ 再発防止策の検討・実施
⑤ 影響を受ける可能性のある本人への連絡等
⑥ 事実関係、再発防止策等の公表
 
 
「情報セキュリティ管理基準(改正案)」に対する意見公募
 2015年07月22日  2015年08月24日締切
平成27年改正版として。大幅な変更が加えられたJIS Q 27001:2014及びJIS Q 27002:2014と整合を取り、旧版に引き続き、多くの利用者がISOに則った情報セキュリティマネジメント体制の構築と、適切な管理策の整備と運用を行えるよう、構成の変更も含め、情報セキュリティ管理基準(平成20年改正版)を大幅に改正し、実施すべき管理策の見直しも行ったと。
 
ODI announces winners Open Data Awards 2015
Open Data Instituteが発表するオープンデータ賞2015。ビジネス賞、イノベーション賞、社会的影響、個人賞、出版社賞、ジョブチャレンジなど。
関連>>OpenCorporates(世界最大の企業オープンデータベース)
 
バイオビジネスにまたもやグーグルの影
新薬メーカーは、新世代の病院を含む医療サービス経営を志すべきではないか。従来の病院のイメージとは全く異なる、新世代テクノロジーのサービス経営をと。確かに、薬だけ、治療だけでは限界がありますね。本当に意味での「総合医療サービス」が、まだ存在していないのは、電子政府サービスにも通じるところがあります。
 
現場の知恵でシステム運用?そこにプライバシー影響評価
マイナンバー制度で導入された「特定個人情報保護評価」が、期待された効果を発揮できていない現状を、どうするかが問題ですね。
 
市長って本当にシムシティが上手いの? 千葉市長とガチンコ勝負してみた
千葉市長は、新しいタイプの市長ですね。シムシティ、私もiPadでやってます。
先日、めでたく100万人都市になりました(^^)v
 
 
再生エネルギー「神話」の崩壊! 脱原発で頭を抱えるドイツの現状 火力発電所の増殖、そのうえ電気代はフランスの2倍に
火の車の電力会社は、自衛のため、旧式火力をリバイバルさせ、国産の安い燃料である褐炭を使い始めた。現在EUでは、CO2の排出量が一番多い旧式火力5基のうち、4基がドイツで稼働中。もちろんCO2は増加していると。日本は、再生エネルギーが予定通り育たない場合に備えて、火力発電所の高性能化を進めた方が良いかもしれませんね。
関連>>「発電コスト」で判明! 原子力VS火力VS太陽光、一番安い電力は?
エネルギー政策の基本方針は、「S+3E」である。福島第一原発の事故を踏まえた安全確保(Safety)の「S」を大前提に、エネルギー安定供給(Energy security)と経済性(Economy)、環境保全(Environmental conservation)の3つの「E」の同時達成をめざすという考え方だ。日本が持続的に発展していくために、ベストは困難だとしても、ベターの答えは何かが求められていると。
 
クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会(第4回) 平成27年8月18日
医療関係者によるプレゼンテーション資料、とりまとめ骨子(案)など。とりまとめ骨子案を見る限り、日本におけるPHRの実現は無さそうです。。
 
Mapping new ideas for the digital justice system
英国の司法分野におけるデジタルサービス(デジタル司法)を検討する中で、ユーザー視点でのマッピングを実施。英国の電子政府は、国連ランキング等では高い評価を受けていますが、EUの電子政府調査の中では、その評価はあまり高くありません。GOV.UKや「Government Digital Service」は非常に優れたアプローチですが、基本的にはアプリケーション階層への働きかけが中心で、プラットフォーム階層への部分的な取組みが見られる程度です。日本と同じく、抜本的な行政改革やデータ階層へのアプローチができない状況を見ると、本質的なデジタル政府への移行は難しいでしょう。これは、英国が力を入れているオープンデータの強化(欠かせない要素の一つではありますが)だけでは、デジタル政府は実現しないことを意味します。
 
実践編 脱・行政文書、間違いのコピペ丸投げ
特定個人情報保護評価の問題点は、評価書が読みづらい、評価書に記載すべき事項について誤解が多い、国民が意見を述べる機会を限定してしまっているの3点であると。
個人的には、特定個人情報保護評価に書かれている内容や実施について、実効性や強制力が働かないことが最大の問題と考えます。内容について特定個人情報保護委員会等の厳格なチェックがあるわけでもなく、書かれている対策を実施しなくても、それを理由に情報漏えいが起きても、罰則や罰金が課せられるわけではありません。要は、「実施した」という形式的なものにならないための法的措置や担保が何も無いのですよね。これでは「やっつけ仕事」にならざるを得ません。
 
増える介護費 自己負担(下)困惑する自治体 「不正」把握へ事務量増大
未申告の預金があると思われても、口座を開設した金融機関が分からなければ、多数の金融機関の中から照会先を絞り込まなくてはならない。ある自治体の担当者は「限られた人数で、どこまで効率的に調査できるか」と不安を口にする。現金を手元に置く「たんす預金」を調べる方法はなく、厚生労働省も利用者の良心頼みだと認めると。マイナンバーだけでは解決が難しい問題ですね。
 
熊本市、人事委の懲戒免職を修正 [熊本県]
裁決では、男性の行為は、女性が同意していたとまでは認められないが、「わいせつとセクハラの境界線上の行為」と判断。市教委は、女性が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したことを「強制わいせつ致傷罪に該当する」としていたが、市人事委は強制わいせつ致傷罪の成立を否定。女性にわいせつな行為をした市立中の50代男性教諭を懲戒免職にした処分について、男性から不服申し立てを受けて「停職6カ月」に修正する裁決を出したと。
関連>>人事委員会事務局 熊本市
 
つくば市 市民部市民課 臨時職員募集 平成27年8月24日
マイナンバー対応の人手不足を臨時職員で補う中で、一定のセキュリティを維持するのも大変そう。。給与額が低いように思いますが、地方だとこんなものでしょうか。
業務内容:
1. 10月から皆さんに送られるマイナンバーの通知カードと1月から交付される個人番号カードに関する仕事
2. 戸籍,住民票に関する仕事
給与等:6,880円/日 及び通勤手当最大1,220円/日