自治体クラウド、行政の仕事を変えるクラウドのすべて!

自治体クラウド
クリエーター情報なし
学陽書房

3人の著者が、官民の立場から自治体クラウドを解説。クラウドに関する基礎知識から、自治体クラウド実証事業で見えてきた課題、導入の手順、担当者の疑問への回答、災害対策におけるクラウド活用方法など、盛りだくさんの内容です。とりあえず自治体クラウドについて知っておきたい人にはオススメです。

自治体クラウドの現状は、自治体クラウドポータルサイトから入手できます。

北海道、京都、佐賀・大分・宮崎・徳島などで開発実証が行われ、色々と課題が明らかになったので、これから本格的な導入が進められることになるでしょう。参考資料としては、自治体クラウド開発実証事業調査研究報告書「自治体クラウド推進本部有識者懇談会とりまとめ」及び「クラウドサービス導入による効果提案項目(例)」などがあります。

各自治体におけるクラウド対応は、地域の実情(システム共同利用の状況)や自治体の規模によって異なると思います。具体的には、

・国が進める自治体クラウドへの参加
・民間が提供するASP・SaaSの利用
・民間が提供するクラウドの共同利用
・プライベートクラウドの構築
・同一都道府県内市町村等によるコミュニティクラウドの構築

などの選択肢から、各市町村の実情や情報戦略に合ったものを選ぶ(複数選択も可能)ことになります。

この時に注意したいのは、「クラウド」なるものは現在進行形で、5年・10年後にどうなっているのか誰にもわからない(予測が難しい)ということです。

ですから、短期的な視点では「3-5年の短期間でシステム投資を回収できること」が必要です。その上で、投資が改修できた3-5年後に、今のクラウドを継続して利用するか、それとも他のクラウドへ移行するかを自治体側で決められることも必要になります。必要以上に囲い込みされるクラウドサービスは避けたいですし、いつでもサービスを移行できる準備(災害対策にもなる)をしておくことが大切です。

長期的には、公務員や予算が減っていく中で、どのように行政事務を効率化し、行政サービスを維持・改善していくか。そのためには、どのような情報システム投資が必要で、どのような人材の育成・確保をしていくのかといった自治体や地域としての情報戦略(電子政府戦略)が必要になります。

長期の戦略に添った形で、その時に最適と思われるクラウドサービスを選択し実際の効果を上げる(コスト削減、バックアップの強化、業務の効率化など)、あるいは選択を失敗しても傷が浅いうちに別の選択肢へ移行するといったことを繰り返しながら、社会システムや情報システムの変化に対応していくのが、これからの電子政府だと思います。

こうした次世代電子政府を構築していくためには、社会や情報システムの変化に臨機応変かつ総合的な視点で対応できる体制が必要であり、CIO制度の整備(再構築)が期待されるところです。