事業仕分けへの反応で思う危機感の無さ、事業リスクへの対応が急務

事業仕分け第3弾も無事に終わり、テレビや新聞、そしてネット上でも取り上げられています。ニコニコ動画では、著名人を招いての検証番組も放映されました。

現在の事業仕分けは、構想日本が考えるものとは少しずれていますし、予算削減の効果も薄いので、実質的な機能はあまり期待できるものでもありません。官僚の中には、「こうしたパフォーマンスは一時的なもので、今は耐える時期」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、作者の見立ては違います。

現在の事業仕分けは、もっと大変な事態に備える「予行演習」だと思います。

年金破綻、通貨危機、ハイパーインフレなどが起これば、日本自体が国際機関等に仕分けされることになります。「この事業は大切だ」とか言っても、問答無用で切られてしまいます。それを思えば、今の事業仕分けがいかに温くて平和なイベントかわかります。

現政権が戦略的な投資や再分配をしているとは思えませんが、ちょっと切られたぐらいで騒いでいる業界や関係者には、やはり危機感が足りないように思います。

もちろん、電子政府関連の事業や予算が増えた方が、作者にもおこぼれが回ってくる可能性が高まるので、仕分けされると困る面もあります。しかし、専門家として関ってきたからこそ、この分野における無駄使いや構造的な問題もわかるので、安易に事業が企画され予算が通されることへの危機感もあるのです。

個人でも、収入の減少により生活費が占める割合が増え、将来のためにと貯蓄・投資できる割合が減ってきています。国や自治体も同様で、借金の支払いや増え続ける社会保障費により、戦略的な投資としてつぎ込めるお金や人はどんどん少なくなってきます。

だからこそ、事業仕分けのような取組みは必要なのです。手法は別に事業仕分けでなくてもかまいません。日本が直面する危機が現実化していく中で、今後はもっと強力な措置が取られることになるでしょう。

仕分けは行政評価ではないので、よく頑張っていると官僚を褒めることもありません。

専門家による事業精査でもないので、建設的な議論や専門的な見解などを期待するのも間違いです。

日産のカルロス・ゴーン氏が、しがらみの無い社長として、非情と思われるコストカットをしたのと同じように、しがらみの無い人が嫌われ役となって、「切ること」を前提に粛々と作業が進められるべきものなのです。

その意味では、現在の事業仕分けは、まだまだ未成熟です。政治家たちが多くのしがらみを抱えているので、仕分けの対象から逃れている事業もたくさんあるでしょう。

今後は、内部告発を含む専門家や関係者による事業精査によって、仕分け対象を選ぶようにすると良いでしょう。