i-Japan戦略2015を読み解く(2)、コンピュータを使いこなせない日本

i-Japan戦略2015を読み解く(1)、希望が持てる社会を目指そうの続きです。今回は、本戦略の主眼点とされる箇所を見ていきましょう。

その内容は、次の4点です。

●「誰でもデジタル技術の恩恵を実感できる」視点

(1)使いやすいデジタル技術

・規模や時間・場所に依存せず
・いつでもどこでも
・安全・安心に
・デジタル技術・情報を活用できる。

(2)デジタル技術の活用に立ちはだかる壁の突破

・デジタル技術の活用を前提としない制度、慣行、組織の壁を
・徹底した業務プロセスの見直し(BPR)を通じて突破する。
・国民本位・顧客本位の
・効率的で国際競争力のある経済社会になる。

(3)デジタル技術利用に当たっての安心の確保

・情報漏えいの不安とリスクに対処する基本ルール作り
・情報流出や障害による影響の軽減
・事業継続性の確保など
・リスクに応じた情報セキュリティを確保する。

(4)デジタル技術・情報の経済社会への浸透を通じた新しい日本の創造

・知識・情報の流通・創造の加速化
・デジタル技術の行政、産業、国民生活との融合で
・日本を発展させる。
・グローバル社会の中で我が国がリーダーシップをとる。

●技術が先行、人や組織が追いついていない

本戦略で核となっているのが、「デジタル技術・情報」という言葉です。この言葉が適切かどうかは別としても、国民から見た場合、ちょっとわかりにくいですね。「デジタル」という言葉は、少なからず「冷たくて人間味に欠ける」といった印象もありますし。。

(財)実務技能検定協会のディジタル技術検定を参照すると、どうやら、「コンピュータを使った情報の”処理”と”制御”に関する技術」というのが「デジタル技術」というものらしい。

つまり、コンピュータを使った技術はずいぶんと進歩・発展したけれど、それを使う側の準備ができていない。。。というのが現在の日本である。だから、それを変えていきましょう、というのが本戦略の主眼なのでしょう。

確かに、世の中の情報量は溢れるばかりですが、そうした情報を選別したり検索したり応用したりといったことは、なかなか難しい。。

日本の教育制度では、メディアリテラシーを内包するような「情報リテラシー」を、子供たちが身につけることは難しいとも感じます。

電子政府を見ても、技術や情報システムが先行する中で、人や組織が変われず追いつけない。

政府内で流通している情報の流れをたどっていくと、多くの無駄や重複や渋滞が発見できます。

で、政府で働く人も、「ホント、無駄だよなー」とか思いながら、そのまま放置してたりします。

●壁の「突破」よりも「内部崩壊」を

そんな風に考えると、(2)の「デジタル技術の活用に立ちはだかる壁の突破」が最も重要な視点と思いますが、この壁を突破するのが至難の業。

手法としては、正面突破よりも自己崩壊するような、あるいは向こう側から壁を壊してくれるように仕向けるのが良いかもしれませんね。

壁は自分たちを守るためにあると思っている人たちに対しては、壁を無理やり壊すのは逆効果と思うので、自らの壁が脅威となって壊さずにはいられない状況を作ってあげるということです。

いずれにせよ、電子政府においては、これまでのやり方を見直すことが大切です。

それは、技術先行型ではなく、国民や行政職員といった「人」を中心としたものです。

「人」がどう感じて考えて行動しているのか、新しい情報システムや制度が導入されることで、「人」がどのような影響を受けて、考え方や行動が変化するのか。

そうしたことへの配慮、分析、対応が重要になっていくことでしょう。

“i-Japan戦略2015を読み解く(2)、コンピュータを使いこなせない日本” に4件のコメントがあります

  1. なんだか虚しい
    イエモリさん、こんばんは。
    情報提供ありがとうございます。

    たしかに、ちょっと長いですね。
    3分ぐらいにまとめてくれると良いのですが。。内容も、電子政府の現状を知っている身としては、ちょっと虚しいです。。

    街頭インタビューで挙がっている住民票(の写し)や戸籍謄本などは、私が担当者だったら、電子署名なしで簡単にオンライン取り寄せできるようにしますけど。もちろん、本人確認やセキュリティの問題もクリアしてです。

    運転免許のオンライン更新なんて、海外では10年ぐらい前からやってますよね。

    やはり、行政や電子政府ベンダーがサービス設計をしている限りは、国民が望む電子政府サービスの実現は難しいでしょう。

  2. 虚しい広報でも、さらに事業は進める
    >街頭インタビューで挙がっている住民票(の写し)や戸籍謄本などは、私が担当者だったら、電子署名なしで簡単にオンライン取り寄せできるようにしますけど。

     総務省は今年度の補正予算にて、ITサポート事業を位置づけ12億円!!支出します。これが全国にて、デジタルデバイドの市民、中小企業を対象に講習会を開催する。

     総務省だから、やっぱり住基カード、電子証明書の取得講習や、実際の手続などの操作説明を行うらしい。

     住民票の写しなどは、その講習での対象手続にはしないようですが・・・・・

     聞くところによると 数十万単位の受講者を予定しているとか。
     道は険しいなぁ。。。。電子政府サービスの実現。

  3. 誰でも簡単に使えない
    イエモリさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。

    講習会の実施ですか。。

    誰でも簡単に使える電子政府サービスだったら、講習会も必要ないのですけどね。。。

    住基カードや電子証明書が必要となると、取得講習が無いと厳しいです。

    本来なら、こんな簡単にこんなことやこんなこともできますよ。と利便性をアピールできるのが電子政府なのですが、いつまで経っても敷居は高いままですね。

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