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電子申請リンク 2004年7月-12月

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過去に掲載された電子申請に関するサイト紹介です。
 
2004/11/15

第159回国会において成立した「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成16年6月2日法律第73号)」について
http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan21.html
いわゆる「入管法」の改正に関するお知らせ。不法入国・滞在や虚偽の申請等に対して、より厳しい措置が取られています。

お知らせの内容自体は、電子政府に関係ないのですが、法務省の説明も随分と親切になったものだと思いましたので、取り上げてみました。本事例から、電子政府における情報提供を考えて見ましょう。

良い点

情報がわかりやすく整理されていること。

図表等を用いることで、改正のポイントや全体の流れが一目で理解できるようになっています。

多言語での提供

入管法の対象者は、外国人であることが多いので、日本語以外での情報提供は必須となります。今回のお知らせでは、英語、中国語、韓国語を用意しており、これだけでも多くの外国人が理解することができます。

改善したい点

タイトルをわかりやすく

もう少しわかりやすいタイトルの方が、良いでしょう。例えば、「入管法が改正しました」、「不法入国罪の罰金が10倍に!」、「虚偽の申告で在留資格の取消しに!」など内容を想像できるものが、副題にでもあると良いでしょう。

テキスト情報の追加を

内容は解りやすいのですが、ほどんどが画像情報として提供されています。これでは、せっかくの情報が伝わらない可能性が高くなり、検索エンジンにも拾われにくくなります。テキストベースの情報を追加するようにしましょう。

関連するリンクの提供を

情報提供をする場合、関連するリンクを載せることで、情報の質が高まります。行政ホームページの内部に散在する情報を、「入管法の改正」というテーマで結びつけることにより、情報資源の有効活用をしましょう。

例えば、入管法の条文(全文や改正条文)、相談先一覧、申請先一覧などにリンクされているだけでも、かなり使い勝手は向上します。せっかく、入国管理局ホームページもあるのですから、法務省ホームページと連携するようにしましょう。

こうした改善は、高価なシステムも、難しい技術も必要とせず、ちょっとしたルールを決めてしまえば、明日からでも実行できることです。

必要なのは、ほんの少しの気遣いと、わずかばかりの労力だけ。

電子政府を成功させるヒントは、こうした地道な努力や考え方の見直しにこそ隠されていると言えるでしょう。


2004/11/12

構造改革評価報告書3 −IT化の進展と経済−
平成16年11月 内閣府
http://www5.cao.go.jp/j-j/kozo/2004-11/kozo.html

2001年6月の「経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」を踏まえた評価報告書。政府や民間のIT 化へ向けた取組みの進捗や効果を検証し、改革の今後の課題を提示しています。電子政府関連では、行政分野におけるITの活用を取り上げています。資料として「電子政府の進捗と効果に対する評価」「各国の電子政府進捗度」など、事例として、横須賀市、福岡県、札幌市など。

医療や教育分野などでは、特にIT活用が遅れているようですね。IT活用が遅れている分野は、閉鎖性が高く、様々な理由付けにより非効率的な活動が日常化しているように思います。

ITは道具・手段であり、それ自体が目的ではありませんが、IT活用を進めることにより、その対象とされる分野の構造(問題)が明らかにされることも事実だと思います。

電子政府・電子自治体が進められることにより、行政が抱える様々な問題が明らかにされつつあります。ここ2、3年で基礎的なシステム整備(電子申請、電子入札、電子文書管理など)が終わることになりますが、そこで明らかにされた問題に対して、どのような解決策を提示し実行できるかで、電子政府・電子自治体の成功は左右されることになるでしょう。

市民がメリットを感じることができる電子行政サービスの実現を望みます。


2004/10/30

電子投票による模擬投票の結果概要
2004年10月26日 総務省 自治行政局選挙部管理課
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041026_3.html
タッチパネル式の投票機を使い、候補者が多数となる「参議院非拘束名簿式比例代表選挙」および「大規模な市の議会議員選挙」を想定した、模擬投票の結果。

タッチパネル式の装置は、銀行のATM、市町村役場、図書館、CDショップ、カーナビなど日常生活の中で利用される場面が増えてきていますが、その使い勝手については機器の能力はもちろん、情報デザイン(見せ方、並べ方、誘導方法など)によるところが大きいように思います。

模擬投票の結果を見ても、初めて触れる機器を前にして、広く一般の人が容易に理解でき、その場で使いこなすことができるようにするのは、とても難しいことであると理解できます。

ですから、ユーザーを対象にした実証実験は、サービス開始前はもちろん、開始後においても定期的に行われる必要があります。他方、電子申請を初めとした電子政府サービスは、ユーザーを対象にした実証実験が不十分(または結果が反映されていない)のように思います。

将来的には、携帯電話や自宅のテレビから、選挙に参加できるようになるかもしれませんが、その時には、誰もが容易に理解でき使えるものであることを祈るばかりです。


2004/10/12

札幌市IT戦略
平成16年9月27日 北海道札幌市 企画調整局情報化推進部IT推進課
http://www.city.sapporo.jp/johoo/it/torikumi-genzai/itsenryaku.html
ITを積極的かつ最大限に活用することにより、施政方針「さっぽろ元気ビジョン」を実現し、『市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街』を築く支えとなるために策定されたIT活用構想。この戦略に基づき、アクションプログラム(14の具体的施策)を推進中。

平成13年に「札幌市IT経営戦略」を策定し、コールセンターの開設やシステム監査を実施するなど、着実に電子自治体を進めている札幌市です。

コールセンターは、行政CRMを実践する上で重要な役割を担いますが(オーストラリアの行政CRM:NTTデータ)、札幌市のコールセンターは、英語対応、コミュニティ施設の貸室予約、公共交通機関の路線案内といったサービスが追加されるなど、健全に発展しているようです。

ところで、初めに「札幌市IT経営戦略」を見たとき、その先進的な内容に、「有識者やベンダーさんが中心になって書かれたものかな」と思ったのですが、中堅・若手職員が中心となって策定されたものと知って、少なからずの期待を抱いたものでした。

電子政府・電子自治体の成功を決める要因は様々で、多くの条件が満たされ、それらが相乗効果を発揮することで、初めて「成功」が見えてきます。例えば、トップの認識と強力なリーダーシップは必須条件ですが、それに職員が付いて来られなければ、成功は難しくなります。

電子政府・電子自治体を進めるにあたっては、責任者を明確にして、その責任者が条件を一つ一つチェックしながら、定期的に議会、職員、市民に対して状況を説明していくことが大切です。

職員の意識が高く、市民との接点を大切にする札幌市は、日本の電子自治体を語る上で欠かせない存在となることでしょう。


2004/9/27

総務省ホームページへのご意見
平成16年9月22日 総務省
http://www.soumu.go.jp/enquete/enquete.html
選択方式を中心とした、ホームページに関するアンケート募集。

これぐらい簡易な方式だと回答しやすいですね。

ちなみに作者の回答は、

  • 内容についての満足度 2(期待を込めて、ちょっと厳しい目に)
  • 情報の掲載が縦割り的なので、テーマ分類を見直して欲しい
  • 全体的に統一感がなく、サイト内のどこにいるのかわからなくなってしまう点を改善して欲しい

といった感じです。

さて、こうしたアンケートでは、「集まった意見を参考にできる」ことも重要なのですが、国民との距離感を縮めるために、「日常的なコミュニケーション経路を確保しておく」ことに、実は大きな価値があるのです。

特に、省庁のような国の機関は、自治体と比べると国民にとって遠い存在となりがちです。国民との距離が遠くなると、国民の無関心・誤解といった状態を生み出し、国民からの満足あるいは適切な評価を得ることも難しくなります。

そうした意味では、省庁にとって、今回のようなアンケートを実施することは、とても大切なことと言えるでしょう。

残念なのが、こうしたアンケートページの存在が、トップページから見えてこないことです。トップページには「ご意見」なるアイコンがあるのですが、できれば(期間限定でも良いので)「総務省ホームページに対するご意見をお聞かせください」と文章でアピールするのが良いでしょう。

さらに、集まった意見の集計結果を公開することが大切です(もちろんトップページに掲載)。

「皆様から、こうした意見が集まりました(わかりやすく簡潔に)。この意見を参考にして、いついつまでに、このような改善を行います(できるだけ具体的に)。」

と告知することで、初めて双方向のコミュニケーションが成立し、国民がアンケートに協力した甲斐があったと実感できるのです。

こうした発想は、単に「集まった意見を参考にする」ことを目的としてアンケートを実施したのでは生まれてきません。

「国民との距離感を縮めるために、国民参加を促進するために、日常的なコミュニケーション経路を確保しておく」ことを理解する中で、初めて生まれてくるアイデアなのです。

「政策評価」「情報公開」「説明責任」といった用語に頼ることなく、ウェブを通じた地道な努力とコミュニケーションを続けることこそ、電子政府・電子自治体が成功するための最低条件と言えるでしょう。


2004/9/13

IT戦略本部(第27回)議事次第
平成16年9月10日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai27/27gijisidai.html
評価専門調査会の第二次中間報告書、情報セキュリティ政策、各省のIT政策への取組、IT国際政策の基本的考え方などが議題。配布資料は、評価専門調査会第二次中間報告書、情報セキュリティ基本問題委員会の検討状況、「u-Japan構想」の概要、e−文書法案の骨子、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する平成17年度概算要求など。

評価専門調査会の第二次中間報告書では、PDCAサイクルの導入を明確にし、今まで足りなかった「利用者の視点に立った評価」が進められています。そして、個別分野の評価の中で、電子政府・電子自治体については「まだまだ」とされています。

「オンライン申請」では、課題解決を阻む要因や取るべき施策が、的を得た形で整理されていますので、関係者にはぜひ見て欲しいと思います。

個人的には、これでようやく電子政府先進国の仲間入りをするための準備が整ったように思います。

今回の評価を通じて自らの実力を認識することで、今後何をするべきかが整理できるからです。その整理を間違わなければ、日本の電子政府は新たなる段階へ向けての良いスタートを切ることができるでしょう。何しろ、もともとの潜在能力は極めて高いのですから。


2004/8/11

評価専門調査会(第8回)議事次第
平成16年7月21日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hyouka/dai8/8gijisidai.html
配布資料として、第二次中間報告書「ベンチマークと成果目標」について、各委員からの追加意見書、e-Japan重点計画-2004における成果目標一覧、e-Japan戦略ベンチマーク作成について(非公開)、e-Japan戦略ベンチマーク指標(試案)(非公開)、第10回までのスケジュール(案)、評価専門調査会(第7回)議事要旨など。

今回取り上げたいのは、評価専門調査会(第7回)議事要旨にある、電子申請に関する調査です。

以前ここで紹介したように、利用状況の調査では個別の専用システムの利用率が高く、汎用的なシステムの利用率が極めて低い結果となっています。

しかし、個別の専用システム=成功、汎用的なシステム=失敗、としてしまうほど問題は単純ではありません。確かに、汎用的なシステムが抱える問題は深刻ですが、個別の専用システムも多くの問題を抱えているからです。

そもそも、利用率や利用者数というものは、一つの指標に過ぎず、それが全てではありません。ですから、なぜ利用率が高い(低い)のか、なぜ利用者が多い(少ない)のかという分析をしなければいけません。

そうした分析により、利用率が高いのは、システムの利用を半ば強制されているからであり、そのシステムが優れているわけではないといったことが判明するかもしれません。

逆に、システム自体は優れていても、広報活動が不十分であったり、利用するための手続きが複雑であったりするために利用されないのかもしれません。

今回のような電子政府サービスに関する進捗・利用状況を調査するにあたっては、調査のための調査で終わらせず、成功を活用し、失敗を教訓とする仕組みとセットで行うことが大切なのです。

作者から見ると、汎用的なシステムは確かにひどいものですが、個別の専用システムにも様々な形態があり、まだまだレベルの低い争いをしている状況にあると思います。

もう一つ気になるのが、総務省からの「今のところ、コストという形の判断を前提とした調査は難しい。」という発言です。この回答に、日本の電子政府が抱える問題が凝縮していると言っても良いでしょう。

電子政府・電子申請は、社会に対する投資です。特に電子申請のような利用率・利用者数といった形でコスト管理が行いやすいものについては、企画・構築の段階から、コスト回収について、開始何年までに利用率何%・利用者何人を達成し、何円のコスト回収を目指すとするのが、当たり前のことなのです。

ですから、「コストという形の判断を前提とした調査は難しい。」という発言は問題外で、こうした調査を待たずして、各システムを所管する省庁が、コストの判断を前提とした調査を行い(電子申請プロジェクトに含まれるものです)、情報公開するべきなのです。

こうした当たり前のことが実施されず、多額の税金がなんとなく電子政府・電子申請に使われている。これでは、国民からの信頼を得ることはできず、国民からの信頼を得られない電子政府・電子申請は、ランキングで何位に選ばれようと、失敗に他なりません。

日本の電子政府・電子申請の前途は厳しい。そんな印象を改めて持たされる今日この頃です。


2004/8/2

平成16年度eモニターアンケート結果「電子都庁の推進」
2004年7月28日 東京都 生活文化局
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2004/07/60e7s200.htm
東京都が実施する
インターネット都政モニター(eモニター)による、「電子都庁推進計画」の認知度や必要性、取り組むべき課題についてのアンケート結果。「行政手続きや各種申込の電子化」が「必要だと思う」は46%、「ある程度必要だと思う」は50%と。その他に、利用したいITを活用した行政サービスなど。

電子申請を初めとした電子政府・電子自治体サービスの必要性については、今回のアンケート結果を見るように、疑う余地はないところでしょう。これまでも同じようなアンケートが公・民の団体・機関等により実施されていますが、答えは決まって「あった方が良い」「期待する」といったものです。

ところが、いざ電子申請サービスが始まると、一向に利用が進まないといったことが見られます。

どうしてそうなるかと言えば、「住民や企業が期待するサービス」と「実際に提供されるサービス」が一致しないからです。

では、どうして一致しないのかと言えば、サービスの構築・実現にあたって、実際の利用者となる住民や企業が関与しないからです。まさに、「利用者不在のサービス」ということですね。

電子政府・電子自治体は、電子申請などのオンライン行政サービスが大切な要素となりますが、それが全てではありません。むしろ、こうした新しいサービスや試みを進める過程において、住民や企業の関与を確立し、そこから得られる意見やアイデアを活用することが大切なのです。

こうした住民や企業の関与は、できるだけ早い段階(企画、立案等)で行われるべきであり、全体の計画が出来上がってから「形だけの意見募集」をしても、あまり意味がないことは言うまでもありません。

  1. 実際の利用者である住民・企業の企画段階からの関与
  2. 徹底したマーケティングの実施
  3. 適切な評価と改善の仕組み

この3点は、電子政府・電子自治体サービスの成功に必須の要素であるにもかかわらず、現在の日本の電子政府・電子自治体が持ち合わせていない要素です。

逆に言えば、上記3点を守るだけでも、他の自治体に差をつけることが可能となります。


2004/7/20

行政情報を分かりやすく伝える言葉遣いの工夫に関する意識調査(自治体調査)
平成16年6月 国立国語研究所
http://www.kokken.go.jp/katsudo/kenkyu_jyo/genzai/jititai/index.html
行政情報の発信者である自治体の首長・職員を対象にした、住民に分かりやすい言葉で伝える工夫や、住民との円滑なコミュニケーションを図る工夫についての意識調査。調査対象は、全国の680自治体(市区町村)の首長、広報紙担当責任者、ホームページ担当責任者、住民と接する部署の一般行政職員。自治体ホームページの持つ機能、利用状況、工夫努力等がわかります。

今回の調査報告のように、図表を含めてHTML形式で提供されていると、閲覧しやすいので助かりますね。

作者の場合、個人運営のホームページなので、掲載する文章の形式や文体にこだわらず、専門用語やカタカナ用語の使用も控えめにしながら、できるだけわかりやすいものとするようにしていますが、なかなか難しいものです。

自治体ホームページの場合、もちろん電子自治体としての電子申請や電子入札、オンライン予約機能などが重要になりつつありますが、やはり基本となるのは「住民向けの暮らしの情報・生活情報の発信」と言えるでしょう。

アンケート結果に見るとおり、殆どの自治体ホームページでは、「住民向けの暮らしの情報・生活情報の発信」が行われていますが、その一方で改善の余地が多いことも事実です。

提供される情報の質、量、鮮度(タイミング)、わかりやすさ、見やすさ、見つけやすさなどが、バランス良く、かつ民間の優れたホームページと同等以上のレベルであることが要求されるのです。

今後の自治体ホームページにおいては、情報提供を支援する「コンテンツ管理」の機能が大切であると思います。また、「住民と行政との双方向コミュニケーション機能」とコンテンツ管理の連携がなければ、本当の電子自治体を実現することは難しいと理解しておきましょう。


2004/7/15

行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会報告書
平成16年3月 経済産業省 商務情報政策局サービス政策課
http://www.meti.go.jp/report/data/g40617aj.html
政府の方針として推進されている「行政アウトソーシング」をテーマにした研究会の報告書。研究会の目的・概要、行政アウトソーシングの現状と課題、行政アウトソーシングとABC、民間ビジネスプラン紹介など。ABC(Activity-Based Costing :活動基準原価計算)を用いて行政のコストを明らかにしながら、そのデータを民間事業者に開示し、民間企業委員が擬似公募入札という形で参加・提案を行っている。

ABC(Activity-Based Costing :活動基準原価計算)などの手法により、行政のコストを明らかにすることは、電子政府・電子申請施策でも大切なプロセスの一つです。

例えば、ある行政手続について電子化を進める場合、既存の業務を見直す必要があります。この「既存の業務を見直す」時に、「既存の業務に必要なコスト」を明らかにすることで、「見直し」と「コスト削減」をリンクさせるのです。

逆に言えば、電子化前の「見直し」で、「コスト削減」が見えてこないものについては、無理に電子化する必要はないと言えるでしょう。

行政手続の電子化は、それだけではコスト削減に繋がらず、むしろコスト高を招きます。ですから、電子化する過程において、いかに現行の業務コストを削減できるかということを意識しておかなければいけないのです。

実際の電子化が完了すると、今度は、その電子政府・電子申請サービスの評価をすることになります。ここで、「既存の業務に必要なコスト」が明らかになっていると、新たに生まれた電子政府・電子申請サービスとの比較が容易になり、より客観的でわかりやすい評価が可能となります。

電子政府・電子申請サービスの実現は、新しい時代に対しての投資です。国民のお金を使った投資である以上、企画から設計・構築・運用にいたるまで、常にコストを意識することが必要です。

こうした考え方は、電子政府バブルも一段落し、地に足の着いた電子政府・電子申請を進めていくにあたって、ますます重要なものとなるでしょう。


2004/7/5

電子政府の推進に関する調査(PDF)
平成16年6月9日 総務省行政評価局
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hyouka/dai7/7siryou3.pdf
評価専門調査会(第7回)の配布資料として公開された、電子政府の推進に関する調査(平成15年12月から16年6月実施)の結果報告書。全府省を対象としており、全国50事業者等の利用者からの意見聴取も実施。

電子政府を推進する上で欠かせないのが情報公開であり、その意味からも今回の調査結果報告書は大変意義深いものです。

報告書でわかるように、各府省の汎用的な電子申請システムについては利用が進んでいない状況にあります。これは、当初から予想されていたものであり、取り立てて騒ぐものではないでしょう。大切なのは、いかに利用を推進して効果を大きくするかということです。

今回の調査で物足りないのは、利用者の負担となる事前準備に、あまり触れていないことです。

例えば、個別の専用システムではインターネットではなく専用回線や機器が必要なものがあり、汎用システムでは、各府省ごとにバラバラなシステムが乱立している状況があるため、個別の準備が必要になります。

また、費用対効果について、まったく触れられていないことは致命的です。

個別の専用システム、各府省の汎用的な電子申請システムが、構築費用がいくらかかって、運用・維持に年間どれぐらいの費用がかかるのかを公開しないと、利用者数・利用割合の情報も生かしきれません。

今回の報告書を見て作者が思うのは、

民間のサービスと比較しても遜色のない、電子政府サービスとしての電子申請については、日本では未だ存在しないと考えた方が良いということであり、

必要な情報(何が必要な情報かを理解していないことは問題であるが、必要な情報と認識しながら公開しない姿勢はもっと悪い)を公開しようとしない(自ら積極的に公開することに意味があります)日本の電子政府は、まだまだ未成熟な段階にいるということです。


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