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電子政府・電子申請のビジョンと戦略 2004年4月22日

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より良い電子政府・電子申請を実現するための、ビジョン・戦略について説明しています。
 
単体で存在しない電子政府・電子申請

電子政府・電子申請のビジョン(思い描く理想のイメージ)は、より大きなビジョンの中で説明するようにしましょう。なぜなら、電子政府・電子申請サービスは、単体で存在するものではないからです。

電子政府・電子申請は、社会・政治・経済情勢と密接に結びつきながら相互に影響を及ぼし、政府全体の考え方や方向性とリンクするものなのです。

例えば、市町村であれば、まず市町村としての大きなビジョン(住み良い社会・街づくり)があり、さらにIT全体を見渡すビジョンがあります。その中に、電子政府・電子申請が存在するのです。

電子政府・電子申請は、確かにITを活用した仕組みですが、本来目指すべきところは、社会・政治・経済といった分野への貢献です。これを理解しないと、本来の目的を見失い、無理に手続の電子化・オンライン化を進め競い合うといった、好ましくない状況が生まれます。

シンプルでわかりやすい戦略を

電子政府・電子申請の戦略は、できるだけシンプルでわかりやすいものとしましょう。

電子政府・電子申請の戦略は、困ったとき、迷った時のガイドとなるものであり、「なぜ電子政府・電子申請が必要か」、「誰のためにあるのか」、「何を電子化するのか」といった疑問に答えてくれるものなのです。

負の側面と向き合うことが大切

戦略の中には、全体像、基本的な考え方、各サービスの概要・魅力・効果などが盛り込まれますが、本当に盛り込まれるべきものは、電子政府・電子申請を取り巻くマイナス要因への認識と対応についてです。

例えば、電子申請サービスを利用することで、市民は、

24時間対応、自宅や職場からの利用、透明性の向上(形式審査と経過確認)などの利益を受ける一方、

必要な機器等の費用、利用前の面倒(環境の準備、使い方の理解)、個人情報保護への不安といった不利益も存在します。

行政にとっても、議会の説得・予算取り、役所内の縦割りの弊害、利害関係の調整など、多くの課題やマイナス要因が存在します。

電子政府・電子申請が失敗する原因の多くは、技術的な問題ではなく、人・組織・文化などの問題と言われます。

こうした問題に対して、戦略という初期の段階で認識・対応しておくことで、電子政府・電子申請が失敗する可能性を減らし、より良い電子政府・電子申請を実現するための基礎を築くことになるのです。

 


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