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電子申請でもクリック&モルタル、紙申請と電子申請の融合を 2001年8月27日

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「電子申請を効果的に利用して、紙申請・窓口業務をより良くしましょう。」という提案です。

要旨:
紙申請と電子申請をバラバラに考えると、行政にとって大きな負担となってしまう。

紙・窓口申請と電子申請が相互に補完しながら、サービス向上・事務効率化に関して相乗効果を生み出すようになれば、窓口における「職員の対応が親切になる」「混雑を解消する」といった目に見える効果も期待できるはず。

 
電子申請の選択肢は行政の負担となる?

電子申請は、行政サービス向上の一環として行われます。そのため、今までの紙(窓口)申請がなくなるということはなく、原則として、紙・窓口申請に加えて電子申請という選択肢が増えることになります。

もちろん、電子申請の方が手数料を安くするといった、電子申請を大いに利用してもらうための施策はあって良いでしょう。でも、あくまで紙・窓口と電子の併用というのが当分の間続くのでしょうね。

ところで、電子申請を始めることで、今までの紙・窓口申請処理の業務+電子申請処理の業務となり、行政の負担が増えてしまい、とっても大変なことになるという意見を聞くことがあります。

まあ、タダでさえ大変な紙・窓口処理に加えて、よーわからん電子申請なるものが追加されるわけですから、単純に考えれば負担増大となりましょう。けれども個人的には、そんなことはないと思っています。こうした考え方は、電子政府・電子申請の本質を理解していないことから出てくるのではないかなあと。

紙・窓口申請と電子申請の相乗効果に期待

「単純に考えれば」というのは、紙・窓口申請処理の業務と電子申請処理の業務を、それぞれ別物としてバラバラに考えた場合です。まさに「縦割り」の発想かと。

紙・窓口であっても電子であっても、申請者の欲するところ(=サービス精神溢れる迅速・簡易な手続)は同じですので、両者がバラバラに稼動してはもったいないのですよね。

つまり、紙・窓口申請と電子申請が相互に補完しながら、サービス向上・事務効率化に関して相乗効果を生み出すようにならなければ、電子申請を導入する意味が半減するということです。

具体的にどんな感じかと言いますと、例えば、JRの駅において切符を買う場合、通常は自動券売機を使うと思います。で、ちょっと複雑な処理が必要だったり、わからないことがあったりすると、人がいる窓口を利用します。銀行でも、ATMを利用する一方で、目的によっては窓口を利用しますよね。

これなどは、ある意味、紙・窓口申請と電子申請の融合だと思います。もちろん、利用者への選択肢として、インターネットを利用した座席予約や、残高確認・振込みなどもできるようになってきていますので、その関係はもう少し複雑になりますが、どの選択肢も目指すところは同じなわけです。

電子申請におけるクリック&モルタルとは?

そこで、電子申請を効果的に利用して、紙申請・窓口業務をより良くするために、作者から提言をいくつか。

職員の対応が親切になる

一昔前は、親切な対応など期待もしなかったのですが(作者の近所の図書館にいた貸出窓口のおじさんなんてホントひどかったもんなあ)、最近はかなり親切な対応になったと思います。と言っても、まだまだこれからですよね(民間企業も似たようなものかも)。そもそも、なんで不親切なのかと考えると

・サービス精神に欠ける
・市民に対して親切にする必要性を感じていない
・非効率的なルーチンワークに疲れきっている

なんて辺りに原因があるのかなあと。

サービス精神の実践はITリテラシーだけでは不十分

電子政府・電子申請における最重要テーマである「行政サービスの質向上」が徹底されて、役所内の文化として定着してきますと、サービス精神も培われてくるでしょう。

と言っても、サービス精神の実践は、自身で考えて行動する能力なしには困難ですので、一人一人の職員が、自身で判断するための情報を入手できる環境にあり、十分なコミュニケーション能力を持っていることが必要になりますね。

ITリテラシーは確かに必要ですが、誰もが当たり前にITを使いこなすようになれば、それ以外の能力で差が出ることですし。

非効率的なルーチンワークについては、これこそ電子政府・電子申請の本領発揮の場でしょう。ITを活用して、こうした作業から職員を解放することは、電子政府の大きな目的の一つですね。

ということで、電子政府・電子申請によって、多少なりとも原因を取り除くことができれば、窓口における職員の対応はこれまで以上に親切になることでしょう。これも、電子申請におけるクリック&モルタル効果の一つだと思います。

混雑を解消する

混雑して待たされる業務というのは、

・利用者が多い
・処理が非効率的
・判断基準が不明確

などの原因を抱えているのだと思いますが、利用者の多さについては、選択肢を増やしてあげることで、いくらか解消されることでしょう。選択肢としては、

・自宅のパソコンでオンライン電子申請
・窓口で紙申請
・自宅パソコンで予約して紙申請
・自宅パソコンで入力・印刷して紙申請
・窓口等の側にある申請端末で電子申請
・窓口等の側にあるインターネット接続パソコンで電子申請
・窓口の職員に口頭で電子申請(職員がパソコン等を操作)
・行政書士等の専門家や民間サービスを利用して電子申請

など、ちょっと考えるだけでもけっこうあります。今後は、思っても見ない選択肢も増えることでしょう。パスポートの電子申請モドキでも触れましたが、一部を電子申請(予約)、一部を窓口申請などという選択肢は、けっこう必要なのではと思います。

物理的な側面からのアプローチも大切

また、申請端末などは置く場所によって利用価値が変わってくるように思います。例えば、コンビニに置いてあるむき出しの申請端末は利用しにくいと思いますが、仕切りを作って役所に置いてあれば利用しても良いかなと。使い方等わからないことがある場合でも、コンビニの定員さんよりは役所の職員さんの方が質問しやすいですしね。

いろんな所に設置するのは悪いことではないのですが、一番馴染むのはやはり役所窓口付近かなあと思います。

非効率な処理については、やはりITを活用したシステム作りが必要なのですが、机や書類棚の配置など物理的な側面からのアプローチも大切かなと。例えて言えば、一流レストランの厨房の如くかな。

これは、住民が申請結果等を待つ場所にも必要な考え方だと思います。殺伐とした部屋で硬い椅子に座らせて待たせていることを良しとするようでは、電子政府・電子申請の精神に反するということです。

あいまいな審査基準は自然淘汰される

判断(審査)基準が不明確なものについては、インターネット等で事前にチェックできるシステム作りが急務でしょう。

電子申請においては、現在のように、担当者が代わるたびに提出書類や基準が変わってしまうなんてアホなことから、申請者が解放されることになりますので、不明確な判断基準といったものは自然淘汰されることでしょう。

しかしながら、判断基準が不明確な申請等ほど電子申請化が進まないという傾向がありますので、電子化されるまで何年も辛抱強く待ち続けるというのもバカらしいですよね。

例えば、会社の商号と目的。これがオンラインで確認できたら便利だなあ。そもそも、わざわざ登記所にチェックしにいく必要があること自体、会社設立を妨害して経済停滞に一役買っている気がするなあ。

コンピューターの処理能力も向上して、あいまい検索機能なんかもあるわけですから、Web画面上で設立したい場所と希望商号と目的を入力・選択すれば、自動的に結果が出てくる。こうしておけば、登記官の仕事も減るはずなんですけどね。商業登記のオンライン化は何年も先のようですので、せめてこれぐらいのサービスを期待してもバチはあたらないと思うなあ。

と、いつものように好き勝手なことを言ってますけど、国民も行政も共に利益を享受できるwinwinの電子申請に期待するからこそなんですよね。

eコマースの世界でも、クリック&モルタルの実践はまだまだ発展段階。となれば、電子政府・電子申請におけるクリック&モルタルの可能性も、まだまだこれからであって、考えてみるだけでワクワクすると。

国民と行政が互いに協力しながら、がんばって電子申請の理想形を追求していきたいものです。


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