バニラ・エアの事件から学ぶ、電子政府のアクセシビリティとユーザビリティ

「バリアフリー」のインフレに歯止めをかけよう
http://agora-web.jp/archives/2026934.html
大事なのは、「合理的な配慮」などの基準を法令で明確に決めることだと。

バニラ・エアの事件については、バリアフリーユニバーサルデザインの違いを理解しないまま、議論されているケースがあるようですね。ユニバーサルデザインは、バリアフリーの後から出てきた用語で、日本でも「バリアフリー」は法律用語として認識されていると思いますが、「ユニバーサルデザイン」はそうした認識にまでは至っていないと思います。

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO091.html
障害者基本法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO084.html
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html
障害者の権利に関する条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html

既存の建物や施設は、ユニバーサルデザインの考え方以前のものも多く、バリアフリー化するためには費用も時間もかかるので、どのタイミングでどのような優先順位を付けて支援・実施するかを調整する必要があります。私がよく利用する近所の公共施設も、出入り口付近がバリアフリー化されたのはつい最近で、耐震補強等の工事が優先的に実施されています。

こうした調整に対して、「不公平だ」「不十分だ」と不満を感じる人も少なくでしょうし、「権利として勝ち取る」という意識も強いのではないかと思います。ただし、あまり強引に進めると、かえって(特にソフト面で)逆効果になる場合もあります。

これに対して、ユニバーサルデザインを採用して作られた建物や施設は、最初からバリアフリーになっている(はずなので)、後でバリアフリー化の追加コストが発生する可能性は少なくなります。

上記の法律にある通り、バリアフリーはもともと「(身体)障害者」を想定したもので、(障害を抱えることが多くなる)高齢者が急速に増加する中で、その重要性が高まってきたと言えます。まさに「他人事ではなくなってきた」ことで、その優先順位はますます高くなっていくでしょう。

関連>>バリアフリー整備状況

他方、ユニバーサルデザインは、全ての人を対象としたもので、「権利として勝ち取る」というよりは、「こうした方が良いよね」「人や社会が優しくなれるよね」という感じのものと私自身は理解しています。

とは言え、「社会をより良いものにしたい」「より多くの人々が幸せに暮らせるようにしたい」という考えは、バリアフリーとユニバーサルデザインに共通するものだと思います。ユニバーサルデザインの登場により、バリアフリーの考え方も大きな影響を受けています。

関連>>ユニバーサルデザイン2020行動計画

ユニバーサルデザインの7原則の一つに、「失敗に対する寛大さ(Tolerance for error)」があります。バニラ・エアの事件についても、不毛な争いや抽象合戦よりは、寛大さをもって建設的な議論が展開されることを望むばかりです。

ところで、電子政府の分野でも、バリアフリーとユニバーサルデザインに類似した問題として、「アクセシビリティユーザビリティ」の問題があります。アクセシビリティは、バリアフリーと同様に「明確な基準を設けて、その遵守を義務化する」といった規制的な手法が有効ですが、ユーザビリティについては、そうした手法に馴染まない面があります。

関連>>電子政府ユーザビリティガイドライン |情報バリアフリー環境の整備

アクセシビリティもユーザビリティも、電子政府サービスやウェブサイトを設計する段階から、そのデザインに組み込んでおくことで、結果的にコストを低く抑えることが可能です。「昔ながらの使えない電子政府サービス」を後で改良することは多くの困難を伴い、いっそのこと初めから作り直したほうが早いし安く済むといった話もあります。

より良い電子政府サービスを実現して、より多くの人々に幸せを感じてもらうためには、アクセシビリティとユーザビリティ、どちらも欠かせない要素です。バニラ・エアの事件とその後の議論に触れることで、今一度、アクセシビリティとユーザビリティの共通点を再確認したいと思いました。

なお、個人的には、こちらの方が問題かと。

参政権を制限する無用な規制
http://agora-web.jp/archives/2026985.html
画像形式ではテキストが抽出できないので、NHKが指摘したように、視覚障害者は選挙情報が入手できないと。総務省が主張する「画像PDFである理由」や「選挙公報を音声ファイル化したり読み上げ可能にしたりすることに対する見解」を読むと、日本のデジタルガバメントは、今回も号令や形だけに終わるのかなと思います。
関連>>総務省|電子政府
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/a_01.htm


第24回新戦略推進専門調査会電子行政分科会 平成29年6月21日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/densi/dai24/gijisidai.html
電子行政に関する各種政府方針の決定、電子行政に関する周辺動向アップデート、 デジタル・ガバメントアイディアボックス2017結果概要、デジタル・ガバメント推進方針を受けた今後の検討の枠組みなど。「子育てタウン:ママフレ」のサービスデザイン(安井構成員提出資料)は、とても良い資料ですね。

「デジタル・ガバメント推進方針」もできたのですから、日本独自のガラパゴス的な「電子行政」という用語の使用は止めた方が良いでしょう。新設される「デジタル・ガバメント技術検討会議」の動向には注目します。「行政手続等・行政保有データの棚卸し」は、目的をもう少し明確にしないと、負担感ばかりが大きくなるでしょう。


年金情報400人分持ち出しか 機構の元上司と元部下を逮捕 漏洩規模は過去最大
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290087-n1.html
淀川年金事務所の端末から、松島容疑者の知人ら20~70代の男女20人分の年金情報が記載された書面を印刷し盗んだ。今後は年金情報を取り扱う際のチェック体制の強化に加え、執務室への監視カメラ設置といった対策を進めると。

Google Cloud Platform での保存時の暗号化
https://cloud.google.com/security/encryption-at-rest/default-encryption/
Google では、複数の暗号化レイヤを使用して、Google Cloud Platform プロダクト内のお客様の保存データを保護しています。
Google Cloud Platform では、1 つ以上の暗号化メカニズムを使用して、保存されているお客様のコンテンツを暗号化しています。お客様による操作は必要ありません。等々
暗号化のポリシーは、サービス選択時の理由になり得ますが、モバイルクラウド化が進む電子政府のセキュリティを考える上でのヒントにもなりますね。

小田急電鉄とブロックチェーン技術を活用したスタンプラリーを実施
2017年6月27日 富士通株式会社
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/06/27-1.html
小田急電鉄とともにブロックチェーン技術を活用したスタンプラリーを実施。スタンプラリーでは、個人を特定できない形式で参加者の年齢や性別、居住地域などの属性や獲得したスタンプの場所、時間などの情報を収集し、改ざんが不可能なブロックチェーンの分散台帳上に蓄積し、分析を行うと。ブロックチェーンを使う必要性があるのかな。。

「金融機関におけるFinTechに関する有識者検討会」報告書
2017/06/21 金融情報システムセンター
https://www.fisc.or.jp/isolate/?id=917&c=topics&sid=354
イノベーションとシステムの安全性を両立させるための原則・ルールの提言、FinTech に携わる幅広い事業者に向けた意見表明、重要な情報システムでクラウドサービスを利用する際のリスク管理策の提言、「オープン API」における安全対策の在り方の提言、今後の安対基準等の改訂の考え方など。

世界で加速する「キャッシュレス革命」
http://president.jp/articles/-/22449
スウェーデン、ノルウェー、デンマークはいずれもGDPに対する現金の使用比率が5%を下回る。スウェーデンに至っては現金使用率2%。つまりキャッシュレス率が98%で、決済現場で現金はほとんど使われないと。エストニアの事例も紹介しています。東京オリンピックに向けて、IC型クレジットカードへの対応も大切ですが、利用者視点に立てば、スマホを活用した電子決済への対応が必須ですね。
そう言えば私も、昔は「現金を引き出すために銀行ATMを使って」ましたが、今は「使わない現金が財布に貯まったので、コンビニのATMで現金を預ける」ようになりました。電子マネーもクレジットカードも使えない店では、そもそも買い物をしないと。

横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授 松本勉先生インタビュー
「次世代IT社会に求められる新機能暗号とその性能評価」
https://www.secom.co.jp/zaidan/interview/matsumoto-t1.html
暗号文に対する検索は、現在の技術でも十分に実現可能です。GoogleやYahooのように、キーワードを入力することで該当データがリストアップされる機能があれば、セキュリティを保持しながらビッグデータを効率的に活用できると考えられていますと。松本先生には、行政書士時代にも大変お世話になりました。

自民の支持層はライトな支持層、そして民進党は……
http://jyoshige.com/archives/8871456.html
各党ともほとんどまったく政策論をやらず、ぜんぜん関係無い国政の話(それも森友とか加計とかしょうもないネタ)で盛り上がるという、都民としては非常に不本意な選挙であったと。
個人的には、意地悪婆さん等を都知事に選んできた都民のレベルに合わせた選挙だったなあという感想です。誰が都知事や議員をやっても、国家規模の年間予算と潤沢なキャッシュフローを持つ東京都の運営は、それほどひどいものにはならないので、ポピュリズムに走るのが大半の政治家にとっては得策なのでしょうね。もし私が都民だったら、世界で成長を続ける都市国家を運営するようなリーダーがいないばっかりに、東京都のポテンシャルを生かせないのは、やっぱりもったいないなあと残念に思うでしょうね。

特許行政年次報告書2017年版
http://www.meti.go.jp/press/2017/06/20170629001/20170629001.html
「冒頭特集」では、IoT(InternetofThings、モノのインターネット)、AI(人工知能)、ビッグデータ関連技術の発達により進展する「第四次産業革命」に対応した特許庁の取組を掲載。

不動産オークションに係る宅地建物取引業法の取扱いが明確になりました
http://www.meti.go.jp/press/2017/07/20170704008/20170704008.html
売主の保有する物件の情報を事業者のシステムに登録し、その物件情報を提携する不動産会社に提供しオークションを実施する行為は、宅地建物取引業法第二条第二号の「宅地建物取引業」に該当しないと。

総務省「スマートスクール・プラットフォーム実証事業(「スマートスクール・プラットフォーム」の標準化に向けた実証)」及び文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」に係る提案公募開始 平成29年7月4日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000101.html
児童生徒や教職員が教室、家庭等で授業や自己学習に利用する「授業・学習系システム」と教職員が職員室等で出欠管理や成績評価等に利用する「校務系システム」との間の安全かつ効率的な情報連携と、当該連携により生成されるデータの効果的活用を実現するシステム(スマートスクール・プラットフォーム)についての実証を行う。

先導的教育システム実証事業に係る成果物の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000097.html
クラウド活用の先進事例や導入手順についてまとめた「教育ICTガイドブック Ver.1」と、実装・提供を行うIT事業者にとって参考となる事項を整理した「教育クラウドプラットフォーム参考仕様」などを公表。

「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン案」に係るパブリックコメント(意見公募手続き)の実施 平成29年7月4日
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/1387655.htm
現在、学校を対象とした情報セキュリティポリシーを策定している教育委員会は、策定中も含めて64.1%で、学校における情報セキュリティ対策の考え方が確立しているとは言い難い。教育現場の実態を踏まえた情報セキュリティ対策を確立させることが必要と。
個人的には、セキュリティの前に、業務や役割の分担を見直した方が良いと思います。教育委員会の人が、この膨大なガイドライン案を読むとは思えませんし。

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