LINEとマイナポータルの連携は有効だが、急いで開始すると逆効果に

LINEとの連携について|マイナポータルとは (内閣府番号制度担当室)
http://www.cao.go.jp/bangouseido/myna/index.html#LineRenkei
現在検討している、LINE株式会社のコミュニケーションアプリ「LINE」との連携イメージは、
1 「LINE」のメッセージで電子申請用URLを取得し、
2  マイナポータルに移動・ログインして電子申請してもらう。
3  電子申請に必要なマイナンバーや氏名等の個人情報を、「LINE」側で取得したり、「LINE」側が保有することはない。
だそうです。ネット上では、「マイナンバーとLINEアカウントが連携する!」といった誤解からプチ炎上してましたが、企業がLINEメッセージを使って宣伝・広告するのと同様に、政府もLINEを利用するようですね。
私の周囲を見ても、ママ友グループなど子育て世代のLINE利用率は非常に高いので、LINEとの連携は、マイナポータルへの誘導手段としては悪くないと思います。企業を相手とした民間サービスなので、コンバージョン率の向上など、宣伝効果を高めるためのヒントやアドバイスもくれるはずです。
関連>>LINE@で販促・ファンを獲得!無料アプリで簡単に始めるビジネス向けLINE
ただ、現在のマイナポータルでは、せっかくアクセスしてもらっても、スマホ等から実際にサービスを利用してもらうことは難しいでしょう。
「LINE」との連携開始時期は、平成29年中の開始を予定しているそうですが、それまでに子育て世代の利用に耐えうるサービスを提供できるとは思えないので、開始時期は遅らせた方が良いと思います。
まずは、実際の利用者層に対してプロトタイプ等でテストを行い、マイナポータルのサービスを、既に普及しているモバイル向け民間オンラインサービスと同じぐらいのレベルにすることが大切です。
およそ使えないレベルのサービスで、下手に「LINE」と連携してしまうと、せっかくアクセスしてくれた人がマイナポータルに悪い印象を持ってしまい、それが口コミで広がるという悪循環になる可能性が高いからです。
くれぐれも税金の無駄遣いにならないよう、拙速な「LINE」との連携は控えて欲しいと思います。


経済財政運営と改革の基本方針2017
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/decision0609.html
平成29年6月9日、「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。マイナンバー関連として、次のようなものがあります。

  1. 地域の活性化や消費拡大に向けてマイナンバーカードの活用による地域経済応援ポイントの導入等を促進する。
  2. 戸籍事務などの公共性の高い分野におけるマイナンバーの利用範囲の拡大を進める。
  3. マイナンバーカードの普及促進に向け、「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ」に基づく官民の取組を強力に推進し、PDCAを確保する観点から、指標等に基づき、定期的に進捗状況を点検・評価する。
  4. 国民生活の利便性の向上に向け、スマートフォンへの利用者証明機能の搭載を含め公的・個人認証の民間部門における活用・普及推進に向けた制度整備を着実に進める。
  5. 課税等インフラの整備を促進するため、マイナンバー制度を活用し、金融及び固定資産情報(登記及び税情報を含む)と所得情報をマッチングするなど、マイナンバーをキーとした仕組みを早急に整備する。

デジタル政府を推進する観点では、戸籍事務でのマイナンバー活用が待たれますが、政府の本丸は、ストックに対する課税を効率的に進められる「金融及び固定資産情報と所得情報とのマッチング」でしょうね。何かと制限が多く使いにくいマイナンバーですが、納税者番号としては、かなり使えるように制度設計されているのです。


未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革 平成29年6月9日閣議決定
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/
健康寿命の延伸、移動革命の実現、サプライチェーンの次世代化、快適なインフラ・まちづくり、FinTechなど。電子政府関連では、データ利活用基盤・制度構築、規制改革・行政手続簡素化・IT化の一体的推進などがあります。
・ブロックチェーン技術について、本年度中を目処に、政府調達や申請手続等の分野で、政府の情報システム等への先行的な導入を見据えた実証に着手する。その際、電子委任状に係る制度やサンドボックス制度の活用、個別機器等の分散型認証の仕組みの構築やブロックチェーンに記録されるデータの真正性確保やアクセス権確認のための公的個人認証の活用、スマートコントラクトを活用した手続の効率化の促進等の実現に向けて、運用・ルール面の課題について検討する。その結果も踏まえ、こうした新たな技術も取り込んだ業務改革により、効率性や利便性の向上に資する革新的な電子行政の実現に向けた計画を、来年度を目処に策定すると。


国土強靱化アクションプラン2017 平成29年6月6日 国土強靱化推進本部決定
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kihon.html
重点化プログラム、進捗管理の徹底、最近発生した災害を踏まえた取組の充実、地域計画の策定推進・支援など。熊本地震を踏まえた施策の点検結果を通じたハード・ソフト対策の充実、異常気象等による広域かつ長期的な市街地等の浸水(台風第10号等による東日本から北日本を中心とした大雨被害)などにも触れています。
オープンデータは利用者視点で公開を、国の役割は仕様やルールの整備
内閣官房 政府CIO上席補佐官 平本健二氏に聞く
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/434148/050800013/
オープンデータを活用した市民協働などに積極的に取り組んでいる自治体は、地域コミュニティが強く、自治体の現場の職員が楽しんで取り組んでいる特徴があると。オープンデータの推進を検討している自治体が参考にできるヒントがたくさんありますね。
行政手続きを「サービス」へ転換 官民を区別するのも意味はない
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/239942/060700010/
アスコエの安井さんへのインタビュー記事。「デザイン」には2つの要素があり、一つは利用者が大切なことで、利用者を理解することが大切。もうひとつは、デザインにはデザイン手法というプロセスがあることで、サービスをデザインする手法で進める。また、組織横断でサービスを検討する際には「行政サービスID」を付けるのが効率的と。
データサイエンス・オンライン講座(第3弾)「誰でも使える統計オープンデータ」の開講 平成29年6月6日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei09_01000025.html
公的統計データを入手できるe-Stat(政府統計の総合窓口)、統計データと地図を組み合わせて可視化できる統計GIS等を使い、統計オープンデータを活用したデータ分析の手法を学べますと。
http://gacco.org/stat-japan3/
スマートフォン プライバシー イニシアティブ(SPI)III(案)に対する意見募集
平成29年6月7日(水)から6月26日(月)まで
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000244.html
平成26年度から実施したアプリケーション第三者検証に係る実証実験やSPIの運用の在り方等に係る検討を踏まえ、SPIについて明確化・具体化等を行った「スマートフォン プライバシー イニシアティブIII(案)」を作成。指針が対象とする利用者情報は、「個人情報」のみではなく、いわゆる「プライバシーに関する情報」も含んでいます。
6つの基本原則として、①透明性の確保、②利用者関与の機会の確保、③適正な手段による取得の確保、④適切な安全管理の確保、⑤苦情相談への対応体制の確保、⑥プライバシー・バイ・デザイン。
平成28年度 電子文書の保管におけるタイムスタンプの利用状況に関する調査報告
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/timestamp.html
電子文書管理の現場において、改ざん対策等の検討の一助とすべく、電子文書の保管に関する法令、様々な分野での電子文書の改ざん対策等の事例、タイムスタンプサービスの現状及び国際動向について整理。タイムスタンプ入門書としてもオススメの内容です。
関連>>政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群(平成28年度版)
https://www.nisc.go.jp/active/general/kijun28.html
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版(平成29年5月)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166275.html
eIDAS規則の概要とEUにおける属性認証について
http://www.soumu.go.jp/main_content/000402766.pdf
eID and e-Signature in cross-border situations, the Estonian experience
https://joinup.ec.europa.eu/community/nifo/case/eid-and-e-signature-cross-border-situations-estonian-experience
AI時代には英語学習がますます重要になる3つの理由| 藤沢数希(特別寄稿)
https://souspeak.com/ai-english/
機械翻訳で英語中心主義が加速し、もともと英語ができる人の力を拡張すると。私自身も、最近は英語を日本語に翻訳せず、(モバイル端末の活用で)英語を英語のまま読み解くことが増えてきました。日本語と相性が良い(文法が似ているので機械翻訳の精度が比較的に高い)のは、韓国語とカンナダ語ぐらいしか思いつきません。
加計学園問題って何がどう問題なの?と思った時に読む話
http://jyoshige.com/archives/8857984.html
前川前次官はまったく信用できないと考える理由では、ポストという「目に見える利権」と引き換えに認可を使い、さんざん行政を歪めておきながら「官邸からの圧力で行政がゆがめられた」って、この人の言うあるべき行政って何なんでしょうかと。全体的に官僚の質とモラルの低下は感じますよね。まずは、若年層官僚の労働環境の改善を進めて欲しいところ。
2017年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/
我が国ものづくり企業の主要課題を、「付加価値の創出・最大化」と「人材不足が顕在化する中での現場力の維持・向上」と捉え、課題解決に向けては、IoT等のデジタルツールの積極活用が鍵を握ると。様々な繋がりにより価値創出を実現する産業“Connected Industries”の実現に向けた取組の重要性についても言及。
Denmark’s eID moves to smartphone
https://joinup.ec.europa.eu/node/161960
1年以内に、デンマークの市民はスマートフォンをeID(NemID)として使用できるようになると。スマートフォンのアプリを活用したeIDは、すでにエストニアで進みつつありますし、現在のNemIDはかなりアナログな発想ですから、デンマークがスマートフォンへ移行するのは自然な流れですね。
関連>>モバイルクラウド対応の電子認証・署名を実現するエストニアの「Smart-ID」
http://www.manaboo.com/wordpress/?p=1748
日本の電子政府サービスが「時代錯誤」にならないために
http://www.manaboo.com/wordpress/?p=1628
Croatia adopts 2020 eGovernment strategy
https://joinup.ec.europa.eu/node/161958
クロアチア政府が、電子政府戦略・政府のデジタル化計画として「Strategiju e-Hrvatska 2020」(e-Croatia 戦略2020)を採択したと。最近の電子政府戦略・計画は、途上国や新興国でも優れた内容で、レベルの高いものが多くなっています。
・公共部門の生産性を高めるためにICTを利用する。
・安全な電子政府サービスを提供する。
・市民との交流を改善し、政府をオープン化する。
・経済競争力を高める。
・公共部門を革新する。
・基本レジストリ、その他の電子記録を整備する(プロビジョニング)。
eGovernment in the European Union June 2017
https://joinup.ec.europa.eu/node/161800
https://joinup.ec.europa.eu/sites/default/files/ckeditor_files/files/eGovernment_in_EU_May_2017_v2_00.pdf
EUの電子政府レポート「EU eGovファクトシート2017」が公開されました。国別プロフィール、最近の開発状況、戦略、法的枠組み、担当責任者・関係者、基盤、市民向けサービス、企業向けサービスなどがわかります。
Icelanders can now download their own health data
https://govinsider.asia/digital-gov/iceland-health-data-app-digi-me/
世界で初めて、アイスランドが市民の健康データのダウンロードを許可すると。ヘルスデータのダウンロードサービスは、米国のブルーボタンなどがありますが、「世界初」としているのは、アイスランドの方がデータ内容がより詳細で、手法も新しいということなんでしょうね。「政府機関の医療データベースがAPIを提供して、民間アプリでデータを利用できるようにする」というのは日本ではまだまだ考えられないことですが、こうした事例は増えていくでしょう。

関連>>米国ブルーボタンPHR 2013年8,800万人→2016年1億5000万人がアクセス
https://qmir.wordpress.com/2017/03/02/blue_button/
Digi.me allowing Icelandic citizens to download their own health data in world first
https://blog.digi.me/2017/05/31/digi-me-allowing-icelandic-citizens-to-download-their-own-health-data-in-world-first/
基本設計は準委任契約、重くなるユーザー責任
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/090600196/052200012/
準委任契約で基本設計書をユーザーが作成するとなれば、設計上の瑕疵は発注者責任になると。
47都道府県の「情報化推進計画」一覧(2017年6月更新)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/243556/060600010/
かれこれ20年近く電子政府・自治体を進めている日本ですが、いまだに「電子化」のレベルにとどまっているのは悲しいことです。。
PCから集中的に電話かけ特殊詐欺に“反撃” NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170612/k10011015281000.html
警察の試算によると、去年このシステムを導入していれば被害総額の7億4100万円のうち、最大17%にあたるおよそ1億2500万円の被害を防ぐことができた可能性があると。悪質な電話勧誘業者もどうにかして欲しい。。