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情報リテラシーを考える、情報へのアクセス権保障の次に来るものは 2000年7月4日

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情報リテラシーは、情報を収集・活用する能力と言われるが、収集した情報を基に自分で何かを創造し、それを持って世界に対して自己の考えを発信していくことで、社会・経済活動に積極的に参加していく。ここまでできて、はじめて情報リテラシーを持ったと言える。
 
今回は、情報リテラシーについて考えてみたいと思います。

さて、デジタルデバイドを解決しようとする場合、みんなを同じレベルにすることと考えるのは危険だと思います(あまりいないと思いますが)。

デジタル社会の恩恵は、各人の可能性を広げてくれることであり、ネットワークの活用により、相互作用的に効果が膨らむことであると作者は考えているのですが、結果として表れる効果は、各人様々であって良いと思うからです。

そこで、考えておきたいのが情報リテラシーについてです。

情報リテラシーは、単にパソコン等のIT機器を使いこなす能力ではなく情報を収集・活用する能力と言われています。

ブラインドタッチができるとか、ワードが使いこなせるとか、パソコンを組み立てられるといったことは、情報リテラシーの一つの要素とはなりえても、本質を担うものでないことは明らかでしょう。

情報を収集・活用する能力と考えた場合、インターネットのホームページを閲覧、情報収集、分析などを行い、それを業務や生活に生かすことで利益を得る。これで情報リテラシーが高いと言えそうですが、実はそうではないのだと思います。

収集した情報を基に自分で何かを創造し、それを持って世界に対して自己の考えを発信していくことで、社会・経済活動に積極的に参加していく。ここまでできて、はじめて情報リテラシーを持ったと言えるのだと思います。

つまり、

1)情報へのアクセス権が保障される

誰もが気軽に情報へアクセスできるということです。これがデジタルデバイド解消の第一歩といえると思います。

2)情報へアクセスする

保障された権利を実行するということです。当然ながら、権利を実行する人としない人がいるでしょう。この問題は、アクセスの容易性を向上させることで解決するでしょう。権利を実行するということ全く意識せずに、アクセス権を行使するようになるのが望ましいですね。

3)多量な情報にショックを受ける

ここでビックリして拒絶してしまう人もいれば、知的好奇心を刺激されて、積極的に情報収集・分析を行う人もいます。

この時点が、デジタルデバイド問題の一側面と考えることも可能でしょう。なぜなら、拒絶してしまう人=情報弱者、と考えることができるからです。子供のように順応性が高ければショックも少ないでしょうし、頑固な大人には試練と言えるかもしれません。

ただし、機器等の性能向上がある中で、常にアクセス権が保障されていれば、何度でもチャレンジできますし、触れる情報を自分で調整することで、ショックを和らげることも可能ですね。

4)情報を基にした創造・創作活動

この部分が、情報リテラシーの本質であると思います。多量の情報に触れることで刺激を受けた知的好奇心のパワーを、知的創作活動に転換するとでも言えましょうか。

創作・創造と言っても、全くゼロから何かを生み出すことだけでなく、ちょっとしたアレンジなども含みます。つまり、少しでも自分で考えて創り出す部分があれば良いのです。ここで生まれるものは、まさに著作物ですね。

5)創作物の発信

この行為こそ、インターネットの有効活用だと思います。自分が作った創作物をインターネットに載せて発信することは、自己の考えを世界に向けて主張することです。

この主張がきっかけになって、新たなビジネスが展開するかもしれませんし、大きな社会活動がスタートするかもしれませんし、新たな文化形成が行われるかもしれないでしょう。

つまり、社会・経済活動に積極的に参加していくという、情報リテラシーが目指すものの一つであると思います。

6)相互作用による新たな刺激と創作

発信した情報に対しては、反応が期待できます。より多くの人の知的好奇心を刺激することができれば、より多くの反応が返ってくるでしょう。ある人が発信した情報を基に、別の人が創作行為を行うのです。情報の還元、リサイクルとも言えましょうか。

このように情報リテラシーというものを考える作者は、デジタルデバイドの問題を考える場合、やはり

すべての人にアクセス権を保障する

ことから始める必要があると思うのです。


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